行程・コース
この登山記録の行程
上川乗(07:55)・・・浅間峠(08:48)[休憩 4分]・・・土俵岳(09:45)・・・笛吹峠(10:46)[休憩 33分]・・・槇寄山(12:21)[休憩 24分]・・・仲ノ平(13:39)
実際には笛吹峠ではなく数馬峠にて11:17から11:50分にかけてランチ休憩
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
標高1000m以下まで降りてきた紅葉を求めて、けれどもなるべく人込みを避けて、ということで奥多摩でもややマイナーな笹尾根を歩いてきました。
<笹尾根の紅葉の様子>
土曜よりも日曜日の方が天気予報はよさそうだったのですが、朝から曇りで昼前にようやく晴れ間がのぞく天気。風もなく穏やかな登山日和ではありましたが、紅葉は陽を浴びるとひときわ輝くので少し残念な天候でした。肝心な紅葉ですが、笹尾根では土俵岳(1005m)から丸山(1098m)手前あたりまでの標高1000mあたりが最もよく、1200mより上ではほとんど落葉していました。笹尾根は、おおむね山梨側が植林された針葉樹、東京都側の北東斜面は広葉樹のクヌギやミズナラなど雑木林となっており、黄色が主体ですが、時折赤く色づいたカエデが混じります。ただ、私の印象では昨年につづいて今シーズンの紅葉は、今一つです。
ちなみに今回最も鮮やかだったのは、数馬の里のモミジですが、山中で出会う紅葉の好ましさは自分にとっては別物だと思うし、だからこそ庭園の散策ではなく山に登るのだと思います。
<計画上のポイントと笹尾根について>
今回の計画上のポイントは、先週奥多摩のタワ尾根で標高1000~1300mあたりの紅葉がよかったので、それより標高の低い山歩きをのんびりできるところ、秋の行楽シーズンの人込みを避けられそうなところ、赤線つなぎ、ということで多摩川水系と相模川水系を隔てる長大な笹尾根のうち槇寄山から浅間(せんげん)峠の区間を選びました。赤線つなぎということなら生藤山まで(笹尾根はさらに陣馬、高尾につながっています)歩くことも考えたのですが、今回はたおやかな尾根をのんびり歩きたい。もう一つのポイントは、「上川乗バス停」から浅間峠を経て笹尾根を三頭山方向に「登る」のか、「仲の平バス停」から槇寄山を経て逆コースを「下る」かの選択でしたが、数馬に下れば温泉が楽しめることから、今回は笹尾根を「登る」こととしました。たおやかな尾根ですから、どちらを選んでも体力的には大きな違いではないでしょう。
コースは、笹尾根のピークである三頭山(この日も山頂は大勢の登山者で混んでいたそうです)を除けば、登山者が比較的少なく静かですが、「関東ふれあいの道」の一部なので道標などもよく整備され、危険個所はありません。また、東京都側も山梨県側もバスが通じた集落が近く、いくらでもエスケープルートが選べる点も安心です。時折麓からバイクの爆音や集落からのサイレンなども聞こえるのがご愛敬ですが、里山の親しみやすさも特徴だと思います。もっとも、落ち葉でふみ跡がわかりにくい、滑りやすい、木の根や石などが隠れていて躓くことがあるなど、秋山のお約束には注意が必要です。私は、下りで隠れていた木の根に躓いて一度盛大にすっころびました。また、一昨日の雨のせいか、槇寄山からの下りなどはえぐれて泥が露出している箇所が落ち葉で覆い隠されていて一部スリップしやすくなっていました。
笹尾根はあまり展望に恵まれていませんが、土俵岳では北東方向の御前山や大岳山が、数馬(かずま)峠と槇寄山山頂では南西方向が開けていて権現山など山梨側の山や丹沢の峰々が望めます。数馬峠と槇寄山はベンチもあって休憩やランチに好適です。私は数馬峠で丹沢などの山並みを眺めながら、ストーブを取り出してカップ麺とパンのランチとしましたが、ここは冬の陽だまりを楽しむのにも良さそう。数馬へ下る「西原(さいばら)峠」から少し登り返した槇寄山山頂は、展望では数馬峠にやや譲りますが、立派なテーブルもある気持ちの良いところで、のどかな笹尾根を満喫できます。寝転んでしばし、ようやく広がってきた晴れ間を見上げました。両方とも富士山の絶景が望めるそうなのですが、この日は雲に隠れて全く姿をうかがえなかったので、次回の楽しみとしましょう。立ち去りがたいものを感じながら、西原峠を経て数馬へ下ります。
<山里を垣間見る>
今回は、笹尾根が里山なのだということを感じさせることが二つありました。一つは槇寄山から「仲の平バス停」へ下る途中でライフルを携帯した猟師さんに出会ったこと。東京都の依頼で「有害鳥獣駆除」にあたっていて、この日は犬をけしかけ逃げてくるクマやシカなどを仲間と分散して待ち構える「巻き狩り」の最中とのこと。残念ながら写真撮影はやんわり断られてしまいましたが、山中で猟に出会ったのは初めての経験でした。ツキノワグマは大岳山から御前山や三頭山に囲まれた秋川源流域を行き来し、大きなものになると2m、音もたてずに逃げるのだそうです。だから出合い頭の遭遇事故も起こるのだとか。私は念のため小さな熊鈴を鳴らして歩いていたのですが、こんなものでも不意の遭遇を避ける役には立つそうです。あ、だとすれば猟の邪魔になったのではと慌てたのですが、なあに大丈夫ですよとの返事でした(じゃあ、クマよけの効果もあまりない?)。ほら、すぐそこの窪地がイノシシのヌタ場(泥浴びをするところ)ですよ、などと教えてもらいましたが、私にはどこがどこやら要領を得ません。黒澤明の映画に、「デルス・ウザーラ」というシベリア沿海部の猟師とロシアの探検隊の交流を描いたものがありましたが、そこに描かれていた先住民の猟師は実に多くのメッセージを自然から読み取っていました。こうした感性は、週末だけ山歩きに来た私などには全く持ち合わせがないものです。
もう一つは、数馬の里に入ったところで、伐採した木を運び出すためのワイヤー設置作業をしている方々に出会ったこと。以前、枝打ち作業に出会ったことはありましたが、常々、登山道よりはるかに急な斜面での営林作業、なかでも切り出しはどうやってやるのだろうと考えていたものですから、興味津々でした。作業の最中でお忙しそうでしたから、根掘り葉掘り聞けなかったのが残念です。
<下山後の温泉>
「仲の平バス停」に下山後の温泉は、わずかに登り返す兜造りの「蛇の湯温泉たから荘(1000円)」か、となりの「温泉センターバス停」まで徒歩数分だけ下る「数馬の湯(820円)」が選べますが、今回はまだ行ったことがなかった「数馬の湯」につかってきました。茅葺で趣のある「たから荘」に比べて近代的で規模も大きく、食堂も併設されています。アルカリ泉のさっぱりしたお湯で、うたせ湯や露天風呂もあります。
コース定数30、主観的な山のグレーディングA
みんなのコメント