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花見尾根( 高尾山 花見ぞね )江戸から明治期のコース

高尾山( 関東)

パーティ: 1人 (バリサイ さん )

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行程・コース

天候

曇り-晴-曇り-晴

登山口へのアクセス

その他
その他: 自宅(23区内)からパスハンターで自走、途中にデポ、そして徒歩。

この登山記録の行程

甲州道中 - 荒井宿 - 高尾天満宮 - 花見ぞね - 蛇滝林道 - 花見ぞね - 金比羅台(七盤嶺) - 1号路 - 薬王院 - 高尾山山頂(紫陽関)

コース

総距離
約6.0km
累積標高差
上り約631m
下り約220m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

高尾駅北口から甲州道中を進み、花見ぞね古道を辿る。明治期まで荒井宿のローカルに踏まれていた登山コース。

上ノ宿である荒井宿からは、この花見ぞねで高尾山に参詣していたそうです。

低山バリエーション、基本的な読図必要、危険箇所あり、特に林道から先は初心者向きではない。

昔はわりと踏み跡も明確なルートでしたが、特に先ごろの台風により崩落が進んだようです。

注・歴史ある近世の古道がかろうじて残されています、その現状紹介です。ルートの推奨ではありません。

もしも訪れのであれば生態系に配慮し、オリジナルルートを外さないよう、踏み荒らすことのないよう心がけて下さい。

また大人数でドカドカ入るような場所ではありません。

現在も、この尾根はそれなりに歩かれているので具体的に紹介します。

ただ、ここが「花見ぞね」という近世の古道であるという点はあまり知られていない、忘れられているでしょう。

_______________________________________________

高尾天満宮-蛇滝林道区間は、マイナールートにはよく見られる、注意して進めば、さほど問題はないであろうと思われる急登の尾根筋。

ネックは蛇滝林道から先の区間、ひたすら三点支持で。とにかく尾根上まで延々崖、あぶない(それで却って紹介できるという、近寄り難い、荒れる心配が低いので)。

蛇滝林道の終点から先、金比羅台方向にトラバースする踏み跡もありますが、それは御料林の巡視経路の名残でしょう。

痩せ尾根の「ゾネ」地形の画像、「ゾネ」は「ソネ」とも言われる地形用語。本来、自然堤防を表すそうですが、それが山では境尾根を表す意味から「オネ」と同義語として用いられるそうです。

「花見」は、麓側に高尾天満宮の天神梅林がひらけているため、それに由来するものでしょう。それで花見ぞね(花見尾根)に。

荒井の集落は駒木野関所が設けられたことにより成立した、わりと新しい集落です。それで旧表記は、新たな集落として、新井だったという史観が。

ただ古代から中世の遺跡が発見されており、古くから人の暮しがあったことは確かなようです。

地勢的にこのルートは、高尾山参詣目的のみでなく、相州への間道としても踏まれていたと考察しているのですが、いかがでしょうか?

先に下ノ宿とされる小名路(江戸後期ルート)、そして中ノ宿の駒木野(江戸前期ルート)を紹介しましたが、この荒井は上ノ宿になります。

(上ノ宿 - 中ノ宿 - 下ノ宿の上中下とは、関所との相対的な位置関係によるものです。)

ところで上ノ宿側ルートで気になるのは、伊能忠敬測量隊はこの花見尾根から薬王院に向かったのではないかという謎が。

先に七曲尾根の紹介で、伊能隊は当時のメインルート、参道でもある七曲を詰めたのでは? と説明しました。この花見尾根も、その伊能隊ルートの候補です。

高尾が描かれている「伊能図」は、私が見た範囲では3種類(他にもあるかもしれません)。それぞれ描かれている角度が微妙に異なるのです。

駒木野関所方向からルートが伸びているものが1種、また、荒井宿方向からルートが伸びているものが2種と、いずれもそのように見えるということですが、この件はまた機会があれば紹介します。

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フォトギャラリー:12枚

小仏関跡から甲州道中をさらに西、荒井宿に入り小仏川を渡る。するとここ、天神梅林に囲まれた高尾天満宮が。

高尾天満宮脇を通過、花見ぞね(花見尾根)を詰めます。蛇滝林道まで、それなりに急登がつづきます。このルートに展望はありません。

尾根道の様子。先の台風により、さらに荒廃が進んだようです。

両側崖の痩せ尾根です、この地形が「ゾネ」です。花見ぞねの由来は感想欄にて説明。

やがて平坦な地形にかかると蛇滝林道手前のサイン。紅葉したモクレンの木の下で一休み。

蛇滝林道。古道は林道により寸断。岩尾根なので、林道を通す際、おそらくダイナマイトで吹っ飛ばしたのだと思われます。この先はルートが消滅。さらに花見ぞねを辿ります。ザックの置かれている後側の崖に取り付く。この時点で無理と感じたら、林道でエスケープ可能。普通は? ここで林道側に進む方がほとんどだと思います。

グサグサのズルズル、所々に岩、ほとんどカオス。しかし、よくよく観察すると尾根筋に獣道が通じているので、慎重にそこを辿ります。四つん這いでくぐり抜けます。

金比羅台に向かうトラバース道。本来、このトラバースで金比羅台に出るのですが、崩壊がひどく、あぶないので、花見尾根を詰めました。(尾根上に上がる手前で古道は分岐、そのまま詰めると薬王院方面、手前でトラバースすると金比羅台。)

とにかく、この尾根上に出る。金比羅台のやや上、城見坂手前(城見台手前)、七盤嶺の上の尾根筋です。

尾根上から南側を見下ろすと、まるで商店街のような雑踏は1号路。まだ山の中ですが、なんだか下界に戻れた気分?

尾根上で大休憩、やっと一息。あとは1号路に合流、少し戻り金比羅台、それか薬王院に向かい、そして高尾山山頂に。

おまけ。高尾駅北口国道20号沿い「高尾 萬盛堂」。創業明治43年、高尾周辺の和菓子屋では最古の内の1件。萬盛堂がありがたいのは、硬化防止剤などケミカル不使用の点。昔のままの味。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 レインウェア
登山靴 バックパック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ
タオル 帽子 グローブ サングラス 地図 コンパス
ノート・筆記用具 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ 修理用具 ツエルト
健康保険証 ホイッスル 医療品 虫除け 熊鈴・ベアスプレー 非常食
行動食 テーピングテープ トレッキングポール
【その他】 パスハンター

みんなのコメント

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  • バリサイさん、こんにちは

    今回は江戸から明治期にかけてのコースなのですね。いやあ、自分では真似ができませんし、何がどう面白いのかうまくお伝えできないのですが、とても興味深く拝見しました(月並みな表現で恐縮です)。

    「パスハンター」で移動されたとは一体何のことだ?聞きなれない言葉だなと思って調べてみて、またびっくり。都内から自転車で移動されていたのですね。

  • 山の古道には当時のまま時が停止しているかのような不思議さがあり、そこに惹かれてしまうのですが、と、自分でもなにやってんだかわかんないですけど…Mmm まあ完全に忘れられない内に、荒れる心配のないであろう古道はこのように紹介しとこうと。多少なりとも参考になれば、興味を持っていただければ幸いです。

  • 以前から、蛇滝林道から金毘羅台の道へ抜けられないかと思っていて、おそらくこれが登り道だろうと思っていたところがバリサイの写真と一致したので、確信しました。
     数日前、バリサイの情報をもとに歩いてみました。まず、梅郷橋で小仏川をわたり、七曲ルートで金毘羅台の道に抜けました。そして、一号路から地図を頼りに先ほどの登り道をめざして下りました。確かにかなり荒れていて苦労しましたが、なんとかめざした登り口の近くに降りることができました。そこからは、花見尾根のコースは以前歩いたことがあるので、林道を少し下ったところから高尾天満宮の裏手に降りました。
     バリサイの古文書等の調査には感心致しました。そして高尾の古道について興味を持ちました。 大変参考になる情報ありがとうございました。

  • 参考になったようでなによりですね。
    高尾山の尾根筋は、その地勢からも、古くから各方面にルートが通じていたようです。
    その多くは修験者による行道として開かれ、それが後、たとえば小仏峠を越える甲州道中のような街道に発展と。
    そんな古くからの道が、わりと当時のままに残されています(裏の裏ルート的ですが)。
    豊かな生態系が紹介されることがママありますが、近世の古道が現存する(その名残が濃く)という意味でも興味深い山域です。

登った山

高尾山

高尾山

599m

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