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新緑と新雪の丹沢主脈を縦走(6B)

塔ノ岳、蛭ヶ岳( 関東)

パーティ: 1人 (すてぱん さん )

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行程・コース

天候

1日目快晴、2日目曇り

利用した登山口

大倉   焼山登山口  

登山口へのアクセス

バス
その他: (行き)小田急線渋沢駅から大倉行きバスで大倉 増発便がいくつも出ていた
(帰り)焼山登山口から三ヶ木バス停まで国道413号線を北東に7Km、徒歩1時間20分
三ヶ木バス停から橋本駅北口行きバス

この登山記録の行程

【1日目】
大倉(06:58)・・・観音茶屋(07:22)・・・雑事場ノ平(07:36)・・・駒止茶屋(08:06)・・・小草平(08:26)・・・茅場平(08:46)[休憩 4分]・・・花立山荘(09:10)[休憩 8分]・・・金冷シ・・・塔ノ岳(09:48)[休憩 21分]・・・丹沢山(11:08)[休憩 10分]・・・棚沢ノ頭(12:07)・・・蛭ヶ岳(12:49)

【2日目】
蛭ヶ岳(06:12)・・・地蔵平(07:00)・・・姫次(07:24)[休憩 3分]・・・八丁坂ノ頭(07:40)・・・黍殻山避難小屋(07:54)・・・大平分岐(08:01)・・・平丸分岐(08:18)・・・焼山(08:38)[休憩 7分]・・・焼山登山口(09:50)

コース

総距離
約23.1km
累積標高差
上り約2,377m
下り約2,372m
コースタイム
標準12時間30
自己8時間36
倍率0.69

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

GW前半は、絶好の快晴を狙って新緑と思いがけない新雪をまとった丹沢主脈を縦走してきました。蛭ヶ岳山頂では、太陽柱などちょっと珍しい気象現象にも出会えました。

10連休にもなるGW(おまけに家内は帰省中)、この機会を活かそうと長い縦走を計画していた。しかし、例年そうなのだがGWは、ちょっと標高の高い山になると新緑にはまだ早く、長い休みを活かせる標高のさらに高い山は一度低気圧でも通過すれば冬山に逆戻り。なんとも悩ましい時期なのだ。当初計画していたのは標高2000m超の山域だが、今年は季節の進みが遅く新緑は到底期待できない。おまけに天候も晴れが続きそうにないので断念した。思い悩んだ末に計画したのが、丹沢主脈縦走だった。このコースは二度目だが、距離も長めで普段の週末には手が出しにくい。中腹くらいまでなら新緑も楽しめそうだし、前日の冷たい雨は丹沢山中では雪だっただろうから、雪景色も見られるかもしれない。

渋沢駅は登山者で一杯、大倉行きのバスも増発が次々と出ていたようだが、満員で出発。大倉から見上げる表尾根は、果たして雪で白くなっている。天気も快晴、新緑の中を勇んで出発だ。大倉尾根では、前も後ろも登山者が続いているが、新緑や晴れ渡った空の下に広がる相模灘、そこに浮かぶ房総半島から江ノ島、大島、真鶴半島、伊豆半島までの大展望、そして白い雪をいただいた富士山の展望を楽しみながら登る。新緑はまだ標高700〜800m程度まで、1300mくらいで芽吹き始め、それ以上はまだ冬枯れだ。アセビ、キブシ、ミツバツツジや、マメザクラも目に楽しい。標高を上げていくと、昨日の雪がまだ残っていて、新鮮。

塔ノ岳山頂も多くの登山者が展望を楽しんでいたが、そこから先、丹沢山、さらに蛭ヶ岳へと進むうちに登山者も減ってくる。快晴の空、新雪、明るく開けた笹の稜線、その先に連なる峰々の景色はいつ見ても素晴らしい。ただし、足元は溶けた雪でぐちゃぐちゃだ。

蛭ヶ岳頂上からも、大展望が広がる。山荘前からは北関東から筑波山、都心や横浜、その先に房総半島、塔ノ岳を挟んで相模湾が広がり大島も中空に浮いている。西側は富士山から南アルプス、八ヶ岳までの大展望。手前は檜洞丸や甲相国境尾根が山中湖まで伸びている。

夕刻にもドラマチックな光景が見られた。沈む太陽の周囲に暈(ハロ)が出て、天候が下り坂の予兆。相模湾からも強い風に乗ってどんどん雲が押し寄せ、滝雲となって西丹沢の山を流れ下る。沈む太陽からは、光の柱がまっすぐに立ち上がる。風は冷たく、カメラを持つ手はたちまち凍えてしまうが、光景というものは、快晴の昼よりも朝夕の光、天候変化で際立つように思う。蛭ヶ岳の山頂もやがて真っ白なガスに飲み込まれてしまった。残念ながら楽しみにしていた都心方向の夜景は、今回もお預けだ。

蛭ヶ岳山荘(要予約、1泊2食7000円)は、前日は吹雪で大勢のキャンセルが出たそうだが、本日は90人以上の満杯。布団一枚に二人は久しぶりの経験だった。出戻り登山者は、超満員の山小屋で本来布団を二人あるいはそれ以上で分け合うはずの場面で、これまで何度も独り占めできた幸運に恵まれてきた。今回はそうもいかず、まあこれだけの好天と景色を楽しめたのだから、十分幸運だと納得した。消灯後、いびきというのはこんなにも様々な種類があるのかと感心したが、持参したアイマスクのおかげか、やがて私もいびきの合奏に加わった(のだと思う)。

翌朝も山荘の周りは、濃いガスに覆われて真っ白。気温は0度で焼山方向に下る出だしの急な木道が、溶け残った雪で再凍結していないか少々心配だったが、幸い乾いていて念のため持参していたチェーンスパイクは出番なし。標高1500mあたりまで下ると、ガスから抜けて雲の下に出たことを知る。

この姫次を経由して焼山に下る尾根は、ブナやミズナラに覆われて美しく静かで、お気に入りの一つ。これで交通の便が良ければいいのだが、あいにく土休日は朝と夕方の二本しかバスが走っていない。もっとも、その不便さが静かで美しい尾根が保たれている理由の一つなのかもしれない。姫次は、富士山の展望が良いところだが、今日は真っ白で何も見えず、ただ鶯の声ばかりが響く。塔ノ岳〜蛭ヶ岳間とは異なり、こちらはぬかるみもほとんどなく、姫次から先は緩やかな下りが続く。東側には、曇天であるにも関わらず都心から湾岸、その先には房総半島まで見ることができた。標高が下るにつれて、冬枯れの景色は、ミツバツツジや新緑、ヒトリシズカなどだんだん彩を増していく。

途中山の神や、焼山登山口にある諏訪神社に、今回の無事登山のお礼をする。あー、今回の登山も楽しかったなと思い返しつつ、パンをかじって一息。三ヶ木のバス停まで1時間半の道を歩く。

帰宅後、顔や手が赤くなっていることに気づいた。もう、日焼け止めをしなければならない季節なんですね。

コース定数53、主観的グレーディングB

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フォトギャラリー:73枚

GW最初の好天予想に、大倉までのバスは満員だったが、続々と臨時便が出ていたようだ

表尾根はうっすら雪をかぶっている

山麓は新緑

新緑の大倉尾根を登っていく登山者たち

富士山も新雪でお化粧直し

ミツバツツジ

花立山荘までは急登で息が上がるが、ここからは江ノ島、三浦半島遠く房総まで見えている

前日に降った雪をかぶったアセビ

満開のマメザクラ

少しだけど積もった新雪の中を行く。気持ちいい

富士山に南アルプス

今日、これから歩く蛭ヶ岳までの稜線

素晴らし景色なのだけれど、足元はぐちゃぐちゃ。アイゼンを履いた時のように、がに股気味にゆっくり進む。

塔ノ岳山頂では、思い思いに展望を楽しむ登山者で一杯。

富士山に南アルプス。八ヶ岳も見えていた

塔ノ岳を振り返る

丹沢山からの富士

立ち枯れたブナ、これも致し方ない移り変わりか。おかげで明るいクマザサの中を行く。

標高が上がると、ミツバツツジの蕾もまだ固い

今日歩いてきた稜線を振り返る。右が塔ノ岳、左に丹沢山。左奥に三浦半島と江ノ島

都心方向の展望も大きく広がっている。左遠景に筑波山

シロヤシオ(別名マツハダ)の蕾もまだ固い

鬼が岩から富士山

鬼が岩から富士山と蛭ヶ岳、中景に檜洞丸

鬼が岩直下の鎖場。特に難しくない

蛭ヶ岳への最後の登りにかかる

うっすら雪をかぶった棚沢ノ頭を振り返る

蛭ヶ岳山頂

山頂からの富士山が大きい

夕刻にドラマチックな光景が待っていた

太陽の両脇に虹が出ている。美しいが、残念ながら天候が崩れる予兆だ

沈む太陽から光の柱(サンピラー)が立ち上がる

滝雲の中に沈んでいく太陽と光の柱

相模湾からゴンゴンと雲が押し寄せ、景色を飲み込んでいく

二日目の朝、小屋の周囲はガスに覆われ真っ白

ガスの流れる尾根を姫次に下る。凍結を心配したが、幸い木道は乾いていた。念の為持参したチェーンスパイクは出番なし

コバイケイソウの群生

アセビ

標高を下げていくと、ガスから抜け、晴れ間がのぞく瞬間も

マメザクラ

カラマツの芽吹き

姫次からも残念ながら展望は利かず

ダンコウバイとマメザクラ

満開のミツバツツジ

焼山の展望台

手前に宮ヶ瀬湖、遠景には今日も房総半島が見えている。なるほど都心の水がめは、こうして山の端に作られているのだな

標高の高いところは雲に覆われている

ヒトリシズカ

標高が下がってくると、滴るような新緑

焼山登山口まで降りてきました。次のバスは6時間後。今回も三ケ木(みかげ)まで歩くことに

道志川の周囲も新緑

GWに入り、道志川沿いのキャンプ場もいっぱいの様子

ちょっと気になった「集乳所」の跡。この辺りで酪農をやっていた時期があったのだろうか?

土休日の焼山登山口からのバスは、朝夕の二本だけで登山には向いていない。国道413号線を7Km、1時間半弱かけて歩いて、三ケ木バス停(バスセンター)に到着。ここからは各方面に多くのバスが出ている。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • すてぱんさん、お久しぶりです。
    同じ時期に西丹沢の畦ヶ丸に登っていました。畦ヶ丸には雪は残っていませんでしたが、檜洞丸の山頂が雪に覆われていたので少し驚きました。雪に覆われた山を登られる方は大変ではないかと思っていましたが、特に問題もなく、素晴らしい眺望を楽しまれて縦走されたようでなによりです。ところで、前回のすてぱんさんの記録にあった「平年との気温差の累積値」の表を興味深く見させていただきましたが、表にもあるように、今年は少し春が足踏みをしているようで、シロヤシオの季節はもう少し先になりそうですね。次回はどこに行かれるのか楽しみにしています。

  • すてぱんさん、こんにちは!

    GW前半は丹沢、蛭ヶ岳に登られていたのですね。一日目は澄み渡った空で素晴らしい景色を堪能
    されて羨ましいです!塔ノ岳山頂の様子は去年初冬に登ったのを懐かしく感じました。
    蛭ヶ岳山荘はとても賑わっていたのですね。二人で1枚の布団でもぐっすり眠れたようですね。

    住居を移されて丹沢は行きやすくなったのでしょうか、今年はすてぱんさんの丹沢レコがたくさん
    拝見できそうで楽しみです!

  • お久しぶりです。

    丹沢も随分歩き 主だったところでは この辺りが残っている位になりました。
    奥多摩の時のように自由自在に歩けるようんになれば良いのですが・・・

    さてこの日は 海で空を見ていました。 環水平アーク 日暈 サンピラーと自然現象が
    盛りだくさんだったんですよね。 自分も山から見たかった。

    今年は春が足踏みして昨年に比べ大分遅く推移していますね。海の方は昨年と違って
    逆にかなり早くキスが釣れだしていますが 自然は面白いですね。

  • カメノコウタロウ さん、コメントありがとうございます。

    そうですね、今年は3月末の桜の季節までは昨年並みだったようですが、そのあとに季節の進みにブレーキがかかっていたようです。本当に昨年の今頃はもうシロヤシオが咲き始めていたなんて、ちょっと驚いてしまいますね。
    GW後半もどこかへ行きたしと思えど、新緑はせいぜい標高1000mくらいまででしょうし、なかなか大型連休を生かした登山計画をひねり出せずに悩ましいです。
    何か良いお知恵があれば、ぜひご教示ください。

  • すてぱんさん、こんにちは。
    連休前半戦は、今やホームゲレンデの丹沢を縦走されたのですね。日曜日の朝、中央線から見えた丹沢がかなり白かったので、もしやと思いましたが、土曜日は雪だったのですね。
    丹沢の主脈は歩いたことがありませんが、やはり素晴らしいですね!
    いつか歩いて見たいとも思いますが、日帰り出来ないのが悩ましいところです。
    連休後半で何処を歩かれるのか、令和の初企画を楽しみにお待ちしております。

  • すー さん、コメントありがとうございます。

    蛭ヶ岳山荘は賑わいすぎて、肩が凝ってしまいました。身動き取れないというと大げさですけど、山に来てまで混雑というのは、ちょっとね。
    まだ下界で課題が山積していて、なかなか週末も山には出かけられそうもありません。GWは長めの縦走できる、良い機会なのですがね。昨年は半月以上季節の進みが早く、GWに多くの山域で花や新緑が楽しめましたが、今年はかなり遅いですよね。先日拝見した、ハイキングコースなどはこの季節を楽しむにはもってこいの場所とお見受けしました。

  • いっき さん、コメントありがとうございます。

    あの好天に潮風に吹かれながら海釣り、想像するだに楽しそうですね。私は、どうも水が苦手で、山に登ってしまいますけれど。あの日は山上からも遠く房総半島から相模湾、伊豆半島までよく見えました。きっと季節外れの寒気が入って、空気が澄んでいたのでしょう。
    太陽柱も、意識してみたのは、もしかしたら初めてだったかもしれません。うまく言葉にできないのですが、丹沢は奥多摩とはまた違った魅力があるように思います。素敵なところを見つけられたら、レコなどで是非教えていただければと思います。

  • ガバオ さん 、コメントありがとうございます。

    いや、ハードルを上げないでください!
    どうもGWというのは、休みはまとまって取れるのに、私にとってはどの山に登れがいいのか悩ましい時期です。そもそもGWにと温めていた計画は、季節の進みが早かった昨年なら良かったのでしょうが、今シーズンの天候では「歩いただけ」になってしまいそうで、見送ることにしてしまいました。
    ピークを踏むのも山登りですが、その山の一番いい時期に登って楽しむのも登山ですよね。何度でも足を運べばいいのでしょうけれど、それもなんだか気に入らない。そう考えると、私は身動きが取れなくなってしまって、下手をするとGW後半は家でどこに登ろうか悩んで過ごした、なんてバカな展開も十分想像できてしまうんですよね。
    さて、ガバオさんがどこに登られたのか、レコを探すことにいたします!

  • すてぱんさん、鏡平にコメント頂いたYamakaeruです。太陽柱の写真があるかと訪ねてみましたが、写真はなかったものの新緑の写真に癒されました。他の記録ではシロヤシオもありましたが、この時期は新緑と花に心躍りますね。
    自分も今日は花を探して山歩きしていました。
    この四月から拠点を関東に移したので、いつかどこかでお会いするかもしれませんね。^_^

  • Yamakaeru さん、コメントありがとうございます

    小さな(短い)ものですけど、太陽柱の写真を2枚掲載しています。
    この時期は、新緑に花と楽しみがいっぱいですね。

    今後とも素敵なレコを楽しみにしております

  • 太陽柱の写真、拝見しました。自然の神秘で美しいですね。5/11にも環水平アークが観測されたそうですね。小秀山に登っていた友人から写真が送られてきました。
    自分も先日、シロヤシオとアカヤシオを探して山歩きしていたのですが、すてぱんさんのレポも今後いろいろと参考にさせて頂きます。有難うございました。

登った山

蛭ヶ岳

蛭ヶ岳

1,673m

丹沢山

丹沢山

1,567m

塔ノ岳

塔ノ岳

1,491m

焼山

焼山

1,059m

黍殻山

黍殻山

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