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4人だけの赤石岳(東尾根)

赤石岳 荒川三山( 南アルプス)

パーティ: 1人 (勅使河原彗碧院 さん )

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行程・コース

天候

1日目、2日目、3日目 ほとんど晴れ

登山口へのアクセス

バス
その他: 畑薙第1ダムのダムサイト駐車場までマイカー、そこから椹島まで送迎バスを利用。この時期に送迎バスを利用するには唯一の営業中である椹島ロッジに宿泊が条件、1人でも予約が必要。

この登山記録の行程

【1日目】
椹島ロッヂ(07:10)・・・カンバ段(10:05)[休憩 105分]・・・赤石小屋(16:10)

【2日目】
赤石小屋(07:40)・・・[休憩 10分]・・・富士見平(09:30)・・・引き返し地点[休憩20分]・・・富士見平・・・赤石小屋(11:35)

【3日目】
赤石小屋(05:20)・・・カンバ段(08:40)[休憩 10分]・・・椹島ロッヂ(09:55)

コース

総距離
約11.3km
累積標高差
上り約1,931m
下り約1,931m
コースタイム
標準10時間5
自己15時間10
倍率1.50

高低図

標準タイム比較グラフ

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

初めて登る赤石岳をGWに目指そうというのが大体無謀でした。
というか、GW最初の入山者が僕でしたので、トレースも殆どなく毎日遭難レベルの道迷いで苦戦を強いられました。



1日目

椹島ロッジに前泊で乗り込んでいた為、当日の目標が赤石小屋までなので、行程的に余裕だとタカを括っていました。出発したのが7:10。少しでも先行者がいればいいな、という目論見で遅めに出発しました。
このルートには「赤石小屋まで○/5」という5分割表示板が付いた休憩場所が有るので、夏道を登る分には大分気が楽です。5分の2に着いたのが9時ごろ。順調です。ここが棚になっていて日陰と日向と両方あるので休憩にもぴったり。ラーメンを食べました。まだまだ気温も高いし活動量もあるのでロンT一枚でも随分と汗をかきました。
樺段の看板があり、ここが小屋までの中間地点ということです。10:05着、まだまだ順調です。ここからコースタイム3時間必要です。
樺段を過ぎた辺りから雪道になってきたので雪の無い座れる場所がある内にアイゼンを装着、しかしジョイントのトラブルですぐに外れてしまいます・・・・ここはヒモでくくって凌ぐことにしました。一応快適。
トラブルもあって5分の3到着が11:36、雪多く踏み抜きに苦戦して5分の4到着が12:36。大体足跡がボンヤリとした古いのしかありません。どこが道なの??
しかもこの先に「ボッカ返し」という急坂があり、これが雪にまみれてマーーー大変!雪もぐすぐすなので何度も踏み抜き膝上まで。コレを引っこ抜こうにも急斜面で大苦戦!おまけにルートも雪に埋もれて分かりづらく、何度もルートから外れてしまい藪の中へ迷い込む始末・・・「小屋まであと30分」という標識を見てガックリ。5分の4から1時間以上掛かっていましたので、「あとまだ30分もあるのかよ!」
・・・・・ところがその『踏み抜き地獄』は30分では越えられなかったのです。

雪も1m近くなってきました。急斜面での踏み抜きも股まで嵌ること数十回、重い荷物を背負ってそこから這い出る度に命を削っていく思いでした。ワカンがあればもっと楽だったかも知れません。
踏み抜きに加え道にも度々迷い、GPSのおかげで大きな迷いはありませんでしたが、この時点で
「もう山頂なんかムリじゃね?」
とは思っていました・・・・今日はともかく赤石小屋まで行かなければ体力的にもう遭難しそうです。コース上で。

ようやくたどり着いたのが赤石小屋の倉庫棟、あのキレイな冬季小屋でした。
写真で見たのと同じ姿で感動!「助かった」という思いもあり感激!どこか近くに本館があるんでしょうが、もう見に行く元気もありません・・・このあたりも踏み抜き地獄なので。

冬季小屋到着がナント!16:10ですよ、アナタ!出発から実に9時間を要していました・・・。
ともあれ、超が付くほどキレイな赤石冬季小屋を独り占め!ここはまだ木の匂いがします。すばらしい!結局この日は誰にも会う事無く、また小屋にも誰も訪れませんでした。取り敢えずドローンで小屋周辺を撮影。この時初めて上の方に赤石小屋の本館を確認出来ました。

「おおお!あれが赤石小屋かぁ」
今日はもうムリ。

・・・「水場コッチ」の看板がありますが、道も分からず、場所も分からず、水が出ているかも分からない水場を、この雪道探しに行く事が危険だと思い、その辺の雪を溶かして水を獲得。夕餉には一人で酒を呑み、20:30頃就寝。夜は風が強かった様で戸が揺れる音がしていました。赤石冬季小屋は外気温とは5度程の差があってとても暖かい!夜中暑かったのでシュラフカバー外しました・・・。



2日目

今日はまたこれ以上無いくらいの好天です。小屋を出発したのが7:40。遅いとお思いでしょう。しかしこの時間も絶妙でした。

・・・・・スタートからもう道が判りません。道は判らないけれど目指す富士見平がどっちなのかは判るので少しづつは近づいて行けます。朝も早いうちは雪もしまっていて踏み抜きも少ないです。富士見平到着が9:30頃。快晴に富士山が大きく見えて感激!!

しかしこの時間になると雪も緩んで来て、またもや踏み抜き地獄に・・・。その一つ先のピークに上がりがけがもうかなり危険で、そこだけ無理してピークへ上がりましたがその先見える雪の斜面とガレた岩場は道を知らない自分に危険を知らせるのに十分な説得力がありました。カールも稜線も見事に雪に覆われており、この陽気で遠目に見るといつ雪崩が起きても不思議は無い様子です。
時間が遅かったのでそれ以上無理をしようとは思いませんでした。雪が緩んでいたのですぐに「危険」と感じる事ができたのです。ここで今回は引き返そうと決断しました。

なのでせめて撮影だけ、と思いドローンを飛ばします。赤石岳山頂へ向けて飛びますが700m行ってもまだ全然届きません。電波の限界が700m位なのでそこらへんで引き返し。それでも大迫力の映像は撮れました。更に危険が増す前に小屋へ引き返します。
帰りは自分の足跡を辿るだけ・・・のはずがそもそもあっちこっち迷いながらここへ来ているのでどう降りるべきかまた迷い、小屋着が11:35。今日も赤石冬季小屋へ泊まります。

小屋でカップヌードルを喰って「やれやれ」と思って座っていると、丁度お昼ごろだったか、椹島方面から何やら物音が・・・・ヒトだ!


ヒトが来たんだ!!


何と登山者が現れたではありませんか!実に30時間ぶりに見るヒトでした。

「こんにちは」
日本語でコミュニケーションが取れます

・・・・そんな当たり前のことを思い出した瞬間でした。
栃木から来た2人組みとその後カメラを下げたお一人、3人が上がって来ました。
3人とも今日はここで泊まるそうなので、全員分場所を確保する為に部屋を整理、昨日は気付きませんでしたが箒とちりとりがあるので綺麗に掃除。4人入っても荷物を並べてゆったり出来る広い部屋です。

最後に来たお一人は夜中から出発するそうなので小屋の横にテントを張って泊まった様でした。冬季小屋泊まりは3人なので、3人でカンパイ。
栃木のお二人も今回は登頂を断念したとのことでした。

チーズやらソーセージやら大ご馳走をご相伴に預かり、忘れられない味に・・・!なんてウマイものが世の中にはあるもんだろうか・・・・いや山で食うからウマイのか!
重量増もなんのその、必死で担いできて下さったありがたいおつまみでした。
僕は缶詰はシェアしにくいのでスナック系のおつまみをお礼に。軽いのは大事だけど、ソーセージもいいね、と実感しました。


今回初試みの「獺祭スピリタス」を御試飲頂き・・・・(不評でしたが)

「獺祭スピリタス」とは、獺祭(地酒)の酒粕を粉末にしたもの(ネットで購入)を水に溶かし、そこへスピリタスウォッカをちょびっと入れたもので、獺祭の粉末だけでは殆どアルコールが含まれていないのでその分ウォッカでアルコールを出す、という次世代の山岳酒なのです。
濁り酒の代用、といった感じであくまでも重量を軽くして凌ぐ為のお酒です(世界初)。

獺祭スピリタスのお礼になんと本物のお酒を・・・・!本当はそれが呑みたかったけど重くて諦めたんだよ~~~・・・・。


お二人は明日早いそうなので、20:30には僕も寝ました。


3日目

栃木のお二人は2:30に起床し3時ごろ出かけて行ったのですが、一緒に目覚めてまだ寝直そうと思っていた自分も気が変わり、もう登りたくないが、上の小屋(本館)へ上がればモルゲンロートくらいは見れるだろう、と思って結局起きる事に。日の出が4:53なのはGPSで知っていたのですが、モルゲンロートがいつ出るのかは判りませんでした。
まずは真っ暗闇の小屋の中、コーヒーを淹れ寛ぐ・・・。美味し。
日の出前には上に居なきゃいけないので4時過ぎには本館の周りでスタンバイ。
いつ赤くなるのか判らない中、何枚も写真を取り、結果、日の出10分くらい後にやっと遭遇できました。初のモルゲンロートで感動!やっぱり来て良かった!色は少しオレンジでしたが、朝焼けに染まる赤石岳と聖岳は荘厳でした。(誰も居ません)

さて、モルゲンとったし、もう降りなければ。
下りは雪が緩む前に雪地帯を過ぎてしまいたい、と目論んでいたので5:19に出発したのは確かです。
下りは3時間半もあればいけるだろうと。いうのもまた間違いでした・・・・。

下りは4人分の足跡があります。格段に判りやすいです!しかしそれでも足跡の消えることがあり、いつの間にか2つも西の尾根を下っていた様です・・・・・ここでまた遭難するかと思いました。幸いにも体力があったので100m以上登り返しようやく「あの尾根だ!」と思ったその時、上から降りてくるヒトが!

一人テント泊を強行(いい夜でしたが)した4人目の彼でした。
夜中に空荷で出発し、赤石岳山頂へ往復を試みたそうですが、ラクダの背を越えた辺りで帰りの雪具合が心配というか危険そうなので登頂を諦めたそうです。そこまで行ってその判断は実にクール!拍手を送ります。

超スピードハイカーの彼はあっという間に茂みの中に消えて行きました・・・・。
ようやく道を取り戻した僕は今日始めての道標を発見、それが5分の3でした。到着が8:20。

「アレ?ボッカ返しは??」
ボッカ返しより急な山道を経験した為、もうさっぱり判りません・・・GPS持ってて良かった。
3時間遭難していた為、ここでしばし休憩。

このあたりはもう大分雪解けが進んでおり、来た時とも違う様でした。
雪が無くなってからは快調に飛ばし、椹島ロッジ直前で超スピードハイカーに追いつきました。
椹島ロッジ到着が9:55。丁度水も無くなってヤバイところでした。

そこからのバス出発が10:30、ようやく帰路に着きました。


初めて行く山域に雪の季節、トップバッターで入山すべきでない事を痛感した今回の山行でした。あと、こんなにも雪が深いと新雪でなくともワカンが役立つ事を身に沁みました。この3日間で東尾根を歩いたのは4人だけでした。


総括:「体力のあるうちに諦めよう」






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フォトギャラリー:24枚

こんな倒木がありました。台風の影響だそうです。

赤石小屋の倉庫棟(冬季小屋)。感動のキレイさです。夏にも泊まりたいくらい。

ドローンにて撮影した唯一の静止画・・・映像ばかりでなくもっと写真撮れば良かった。

なので映像からフレームを起こしました。赤石小屋の本館(上)と冬季小屋

富士見平からの富士山

富士見平から赤石小屋

富士山と赤石小屋

赤石岳と小赤石岳

聖岳と奥に上河内岳

引き返し地点にて

この地点で撮影した映像から画像を起こしました。

引いて

引いて

引きまくり!向こうが荒川方面です。

左が赤石岳山頂。避難小屋が見えます。

ラクダの背の向こうに荒川三山

近づきました

稜線の向こうに富士見平、そして富士山!

富士見平、右奥中ほどに赤石小屋、はるか向こうに富士山!

ようやく帰ってきましたドローン画像終わり。

左が赤石小屋本館、右が倉庫(冬季小屋)

富士見平に帰着

赤く染まる赤石岳

聖岳と兔岳

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 レインウェア
登山靴 バックパック サブザック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス
ヘッドランプ タオル 帽子 グローブ サングラス 着替え
地図 ノート・筆記用具 腕時計 カメラ ナイフ 修理用具
ホイッスル 医療品 熊鈴・ベアスプレー 非常食 行動食 テーピングテープ
トレッキングポール GPS機器 テント シュラフ シュラフカバー テントマット
スリーピングマット ストーブ 燃料 ライター カップ クッカー
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【その他】 ラジオ、ドローン

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