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御岳山・日の出山(大楢峠経由/鳩ノ巣駅~二俣尾駅)

御岳山929m・日の出山902m( 関東)

パーティ: 3人 (イガドン さん 、ほか2名)

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

電車
その他: 国鉄青梅線鳩ノ巣駅下車。

この登山記録の行程

国鉄青梅線鳩ノ巣駅(00:35)・・・大楢峠(02:05)[休憩 15分]・・・裏参道分岐・・・神代欅・・・随身門・・・御岳山(03:45)[休憩 75分]・・・随身門・・・神代欅・・・日ノ出山(05:55)[休憩 110分]・・・国鉄青梅線二俣尾駅(09:40)

コース

総距離
約17.2km
累積標高差
上り約1,540m
下り約1,612m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

【回想】出発4時間前の18時になって突如テツが参加を表明。昭和62年の初詣山行は三名で行くことになった。出発時刻になりいつものようにタコ選手を呼びに行ったところ、駅前で待ち合わせ予定だったテツがすでに到着していた。三人が揃い、食料を買いに近所のファミリーマートへ向かったが、大晦日の22時すぎ、コンビニの前には20名ほどの暴走族がたむろしていた。ヘンに絡まれてもイヤなので食料は後ほど買うことにし直接駅に向かった。
西武拝島線の車内にはザックを背負った人はわずか。この寒い中、山に行く物好きな人間はあまりいないようだ。拝島駅では一旦改札を出てあらためて国鉄のキップを買い直して青梅線に乗車。終点の青梅で乗換え、プラットホームで40分間待たされた後、奥多摩行き最終電車に乗る。車内は御岳山を目指す初詣客でラッシュ時と変わらぬ混雑ぶり。それでも大多数の人たちは山登りをする格好ではなかった。電車が青梅~宮ノ平間を走行中に年越しを迎えた。年は明けて昭和62年(1987年)になった。
乗客の大半は御嶽神社の表参道である御嶽駅で下車、車内はいつもどおりの静寂に戻った。タコ選手は前回の川苔山行で堪えたのか、今日は懐中電灯を持参していた。鳩ノ巣駅までは過去の山行の想い出話に花が咲いた。
鳩ノ巣駅には終電車を見送る駅員は見当たらなかった。すでに引き揚げていたようだ。この駅に降り立ったのは我々三人と中年男性のお二人。全員裏参道を登り御岳山へ向かうようだ。先頭は我々三人。初の冬山でしかもナイトハイク、否が応にも緊張感は高まる。はじめに鳩ノ巣渓谷にかかる橋を渡り、しばらく民家の間の道を進むと登山道に出た。夜空を見上げると無数の星が瞬き、今にも降ってきそうで一同「気味悪い!」と声を上げた。それでも星座の早見表まで用意してきたタコ選手は星空と早見表を見比べ感激していた。空気が澄んでいるせいもあるが、空にはこんなに多くの星があるんだと実感した瞬間だった。
登山道の両脇には12月28日に降った雪がまだ残っていたが、しかし進むにつれ徐々に山道にも白いものが見られるようになる。樹林帯には依然として無かったが、樹木の無い開けた所では10センチに満たない程度の雪が残っていた。それでも歩くのに支障はなかった。緩やかな道が続き、途中馬頭観音を横目に順調に歩を進めた。馬頭観音を拝むとなぜか日本テレビの人気番組『笑点』馬面の司会者・三遊亭圓楽師匠を連想してしまう。やはり私も桂歌丸師匠の悪口に影響を受けてしまっているらしい。天候も穏やかで寒いはずなのに歩いている最中はむしろ暑いくらいだった。
途端、上の方でものすごい轟音がし始めた。近寄るとスギなどの樹木が激しく揺さぶられていた。ゴーゴーと鳴り響いていたのは突風のせいだった。到着した大楢峠は開けた場所だったが、ちょうど風の通り道になっていたのか、風速20メートルはあろうかと思うほどの突風が終始吹き荒れていた。北風吹きすさぶ中での小休止、タコ選手とテツは盛んにカメラのシャッターを切っていた。大楢峠から通過しても暫くは突風は吹き荒れ続け、轟音の山中を進むことになる。北面が開けた場所に出ると風は収まった。大塚山の稜線が風を遮ってくれているらしい。しかし積雪量は一気に増えた。続いて北東の空が広がる場所に着くと、立て続けに2回流れ星を確認した。一同歓声を上げた。私も16年目にして初めて流れ星を観察することができた。「もう一度流れ星が来ないだろうか!」とずっと夜空を眺めていたら、後方から懐中電灯の光が近づいてきた。互いの顔がはっきりわかるまで近づくと、「ああ、さっき鳩ノ巣駅にいた人たちだね。」と一人の中年男性が声をかけてくれた。先ほどの二人組の方だった。挨拶をかわし、一旦は先に行っていただいたが、また暫くして追い抜くことになる。
ようやく暗闇の歩行にも慣れてきたところで、急に眼前が明るくなり、ケーブルカー御岳山駅と御岳神社をつなぐ表参道分岐に出た。先ほどまであれだけ静まり返っていた周囲が初詣客の会話でざわつき始めた。あとは宿坊を縫うように続くコンクリートの道を、目指す御岳神社本殿まで歩くだけだ。それにしても年が明けたばかりの山上の売店は活気を呈している。御岳神社本殿には3時43分に到着。しばしの腹ごしらえの後、海抜929mからの東京の夜景を堪能した。ストロボをたいたり、5分間くらい開放にしたりと、思い思いに夜景を撮り続けた。タコ選手はあまりの夜景の素晴らしさにテンションが上がり過ぎたのか、集合写真の際にあろうことか真冬の山頂で上半身裸になって写っていた。もうすでにヤバい人だ。
夜景も撮り尽くし日ノ出山へ向かおうと準備している時、ふと宝物殿の石段に見覚えのある御仁を見つけた。それは中学校で数学を教わったRYO先生その人だった。普段なら気軽に声を掛けられそうなところだが、今日は傍らに女性が一緒にいるではないか。声を掛けるか掛けまいか結構迷った。一瞬目が合ったような気がしたが、気づいていないのか、それとも素知らぬふりをしているのか計りかねた。こうなると3人とも、本人か否かを確かめることが面白くなってきて、タコ選手は「RYOちゃんをFOCUSしてやる!」と再びカメラを構え始めた。正体を明かすべく揺さぶりをかけるため再度近づいたが決定的な証拠を得られず、これ以上RYO先生の寒中デートの邪魔をしない方がよいと判断し日ノ出山へと向かった。タコ選手は自分がFOCUSした写真を「RYOちゃんの家に送りつけてやる!」と意気込んでいた。果たして送ったのだろうか?(この当時、写真週刊誌FOCUSになぞらえて、激写することを「FOCUSする」と言っていた。今では死語になっているが)
御岳神社下の売店で肉まんを購入、頬張りながら歩き始めた。日ノ出山までの道は御岳山に比べれば人は疎らになっていたが、目前の東の空がかすかに明るくなってきたのが見えてきたため、まだ薄暗い登山道でペースを上げて人を追い抜き続け、あっという間に日ノ出山山頂に到達した。
広い山頂には初日の出を今か今かと待ち続ける人たちでごったがえし熱気に包まれていた。優に100人は超えているのではないだろうか。ここ日ノ出山は902.3mの三等三角点峰だ。山頂の一番高い場所に三角点はある。ちなみに御岳山山頂には三角点はない。日の出予定時刻まではまだ1時間ほどある。山頂の北側斜面に陣取った我々は北風をもろに受ける位置にあり、次第に凍えてきた。手は悴み、耳は切れそうなくらいに痛み、あまりの寒さに口も動かなくなってきた。周囲の熱気とは裏腹に、やはり寒いものは寒い。こんな寒い思いをしたのは未だかつてないことだ。初日の出の時刻が近づくにつれ、一目見ようと御岳山方面から続々と人が駆けつけ、その流れは絶えることがなかった。寒さに震えながら東の空を見つめ続けた。折からの北風は一層強くなり、左耳の痛みに耐えきれず、軍手をした左手で耳を塞ぐしかなかった。地平線付近には厚い雲が立ち込めており、日の出予定時刻の6時51分を過ぎたがまだ現れない。周囲は待ち続ける人たちのざわめきとシャッター音しか聞こえない。そして6時58分、7分遅れで光が射し始めた。一斉に歓声が上がった。皆がカメラのシャッターを押し続けた。一方で、アコーディオンを演奏する人たちや、続いて歌い始める人まで出てきた。山頂に響きわたる歌声は、1年の始まりを高らかに宣言する希望に満ちた人々の歓びの声でもあった。冷え切った身体も、朝陽を浴びた瞬間その部分だけはほんのり暖かみを感じた。
初日の出の熱気と興奮がおさまり、日ノ出山を後にした。東側の尾根を二俣尾駅方面へと下ることにした。緊張の糸が途切れたせいか、徹夜した疲れが一気に出始めた。まだ駅までは相当あるがここにきて激しい睡魔に襲われはじめた。しかし、ふと日ノ出山方面に耳を傾けると、まだあの歌声が聞こえているではないか。もう一度気持ちを奮い立たせて歩を進めるのだった。






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