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八ヶ岳(赤岳~硫黄岳/美濃戸口周回)

赤岳2899m・横岳2825m・硫黄岳2742m( 八ヶ岳)

パーティ: 4人 (イガドン さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

1日目:曇のち霧を伴う雨、2日目:晴時々霧を伴う曇

利用した登山口

美濃戸口  

登山口へのアクセス

バス
その他: 国鉄中央本線茅野駅から諏訪バスで美濃戸口バス停下車。

この登山記録の行程

【1日目】
諏訪バス美濃戸口バス停(11:00)・・・美濃戸(11:45)[休憩 80分]・・・堰堤広場・・・赤岳鉱泉(14:55)[休憩 15分]・・・行者小屋(15:30)

【2日目】
行者小屋(06:00)・・・赤岳(07:50)[休憩 35分]・・・赤岳石室[現赤岳天望荘](09:10)[休憩 5分]・・・三叉峰・・・横岳(10:45)[休憩 5分]・・・大ダルミ(11:15)[休憩 55分]・・・硫黄岳(12:25)[休憩 30分]・・・赤岩ノ頭・・・赤岳鉱泉・・・堰堤広場・・・美濃戸(14:35)[休憩 35分]・・・諏訪バス美濃戸口バス停(15:45)

コース

総距離
約21.7km
累積標高差
上り約2,042m
下り約2,042m
コースタイム
標準12時間25
自己9時間55
倍率0.80

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

【回想/1日目】まだ辺りが暗いため自転車のライトを灯して走る。未明の街道には車は通って2,3台程度、静まり返った中で私の自転車のダイナモの音だけが響いている。ノリ宅の前に着いた時、すでに到着していた松ちゃんがいきなり暗がりから現れた。全員揃ったらすぐ出発の予定だったが、忘れ物に気づき一旦自宅に戻ることになった。出発時刻は遅れてしまったが、幸運なことにノリの親父さんが国分寺駅まで車で送ってくれることになった。前日松ちゃんが全員分用意してくれた国鉄の「往復割引乗車券(国分寺~茅野・小淵沢・野辺山間)」で改札を通る。松ちゃんはいつものようにうるさく早朝のホームで早くも言い合いになる始末だ。
中央線で終点高尾駅まで行き、乗換えの時間を利用して改札近くで駅のスタンプを押す。6時15分発の中央本線各駅停車へ乗車。高尾を出てしばらくは車窓から眺めても空は雲に覆われ、低山にも霧がかかっている。電車が鳥沢駅に到着した時、ノリが「次は松ちゃんに関係のある駅だね。」と言い出し爆笑になった。塩山駅を過ぎた頃に一度青空が顔を覗かせたが、その後は再び厚い灰色の雲に何層にも覆われた。甲府駅では松ちゃんとノリが停車時間僅か3分間で駅弁を買ってきた。韮崎駅では松ちゃんと私が停車時間5分で駅のスタンプを押し戻ってきた。そして極めつけが籏くんの買ってきた缶ジュースがこぼれ、松ちゃんのTシャツにかかりシミになるという”事件”も起きた。こういう時にはお決まりの「罰が当たったんだよ!」で締めくくった。中央本線をめぐるトピックとしては前年に新駅「すずらんの里」ができたことだろうか。
長い電車の旅が終わり、8時58分に茅野駅に到着。用を足してから美濃戸口行きの諏訪バスに乗り込んだ。電車のあとにバスも1時間近く乗っているのは疲れるもので居眠りするしかなかった。特に「疲れた。」を連呼していたのは松ちゃんだった。
登山口の美濃戸口に着いても変わらずの曇天。水筒に水を満たしすぐに出発。小1時間歩いた美濃戸の河原で昼食を摂ることにしたが、準備に手間取り想定以上に時間がかかってしまった。それでも大自然に包まれながらの食事は格別である。一方で空模様はいよいよ怪しくなり、美濃戸山荘に着いたところでどしゃ降りに見舞われた。山荘ではお茶を一杯ごちそうになり、ここからはカッパを着込んでの雨中ハイクになった。雨の中の歩きは苦行以外の何物でもない。柳川北沢沿いの道は岩が多く、黙々と歩いていると聞こえてくるのは沢の流れと雨音だけで何の面白味もない。すると、籏くんが「こういう時にはしり取りをするに限る。」と発案し、旗くん→私→松ちゃん→ノリの順で1時間近く続け気を紛らわした。歩を進めるにすれ雨足は一層激しくなり、雨水がカッパごしに浸透してきたこともあり真夏にもかかわらず寒さで体力も徐々に奪われていった。そんなこともあり赤岳鉱泉に到着した時点で予定変更を決断した。当初予定は硫黄岳経由で硫黄岳石室で宿泊するつもりだったが、悪天候とコンディションを考慮し急きょ行者小屋へ向かうことにした。隊長の松ちゃんの速いペースに他の3人は遅れ気味だったが30分ほどで行者小屋へ到着、私が宿泊者名簿に記入し手続きを行った。
我々が到着した時には登山者は誰もいなく1号室に通された。部屋に入ると4人ともびしょ濡れになった洋服をすぐに着替えたが、ザックの中の着替えの洋服にも雨水は浸み込んでおり、しかも部屋の電気もまだ点かなかったため一同震えあがっていた。唯一の救いは雨をしのげることだった。旗くんは寒さと睡魔に襲われたのか布団をかぶって昼寝してしまった。他の3人はラジオで高校野球の中継を聴き時間をつぶした。2時間ほど経ち、ようやく寒さから解放された頃に夕食の準備にとりかかった。何らかの理由で隊長から食事係に降格された松ちゃんが黙々と準備をしていた。出来上がった夕食は赤飯、みそ汁、肉じゃがと結構豪華なものになった。食事のおかげで身体もすっかり温まり、19時に床についた。しかし小屋の消灯時刻が21時30分だったため部屋は明るくなかなか寝つけず松ちゃん、ノリと雑談で盛り上がった。そんな中でも旗くんは「グーグー」といびきを立てて眠っている。さすが大物は一味違う!どんな状況に置かれても寝られるのが強みである。喉を潤しに300円のジュースを買いに行ったが、明朝の早発ちを考慮し消灯後はすぐに寝に入った。
【2日目】4時起床の予定だったが全員目が覚めたのは4時45分、寝坊してしまった。慌てて布団をたたみ朝食の準備にとりかかる。東の空を見上げると赤岳には雲がかかっていたが次第に消え、圧巻の姿を現していた。赤岳だけではない、南側には阿弥陀岳と中岳、北に目を転じると横岳・大同心・小同心、その奥には今回の最終目的地である硫黄岳まで望むことができた。食事を済ませ小屋番に挨拶をし、6時ちょうどに行者小屋を出発した。
文三郎尾根の登りは鎖場もある急登を一歩一歩進むことになる。5月に新調したニコンF-501のファインダーを覗き込む。はじめのうちは雲をまとった阿弥陀岳を眺めながら登り、上部に至ると阿弥陀岳は中岳の奥に少し遠のき、逆に赤岳が我々にのしかかってくるかの如く迫ってくる。ザレ場になっている登りは滑りやすいが、初めて通過する鎖場も難なく通過することができた。2,000m後半は未知の高度であり、これまで見たことのない景色が広がってきた。まるで岳人の仲間入りをしたような気分になり盛り上がってくる。これまで至仏山、雲取山と登ってきたが八ヶ岳は明らかにアルペンムードに満ちた日本の高山である。山自体のスケールも桁違いで、赤褐色の岩石は大地からのものすごいエネルギーを感じさせる。また、今回は、松ちゃんから紹介され愛読書になりつつある深田久弥著『日本百名山』をはじめて意識した登山で、新しい時代の訪れを実感する登りになったのも事実だ。赤岳~中岳間の尾根上に出ると中岳方面の登山者をはっきり見ることができ、こちらが「ヤッホー!」と叫ぶとすぐに返してくれた。
いよいよ八ヶ岳の核心部へ突入するところでトラブルが発生、突然カメラのシャッターが切れなくなったのだ。「これから」という時だっただけに実に痛いトラブルになったが、気を取り直して赤岳直下に取り付く。さっきまで晴れ渡り眺望を楽しんでいたがいきなり濃霧に包まれ視界がなくなった。一面の白い世界に、岩場と鎖場の急登の連続、カメラの故障も相まって疲労は増しきつい登りになったが、7時49分待望の八ヶ岳最高峰の赤岳山頂(一等三角点)に到達した。あらためてカメラの故障原因を探ったところ、中でフィルムが絡まりぐしゃぐしゃに折れ曲がっていた。2本目のフィルムは諦めて取り出し、3本目を入れてみたらきちんと動き出したので大丈夫と安堵したが再び絡まることになりやむなく撮影を断念した。惜しいことをしてしまった。それでも日本百名山の高度感を存分に味わい山頂を後にした。稜線上は霧が流れ、山々は見え隠れを繰り返していた。
赤岳を下り始めたところで突然旗くんの履いていた登山靴の靴底が剥がれ始めた。靴ごとタオルを巻いて固定したが、歩くたびにタオルの結び目が緩み何度も巻き直すことになった。赤岳石室までは長い下りが続きザレ場では何度も尻もちをつくことになった。4人が連なるのは危ないと判断し、前衛を旗くんと松ちゃん、後衛をノリと私に隊を二分し間隔を取ることにした。合流した赤岳石室からは前衛がノリ、中衛が旗くん、松ちゃん、後衛に私の三隊に分けた。横岳の一隔に差しかかると登り下りの連続になる。目前のピークを横岳かと思ったら違い、三叉峰・無名峰などの”ニセ横岳”に何度も騙された。尾根の東側はハイマツに覆われ比較的緩やかだが、西側は断崖絶壁の続くスリルのある道が続く。三叉峰ではこの先の行程につき打合せをした。濃霧が続いている天候と、靴底が剥がれ5分に一回はタオルを巻き直している旗くんの状態を考慮し、ここから東側に杣添尾根を進み野辺山方面へ下った方がよいのではないかと提案したが、旗くんの「行ける!」という強い意志を尊重しそのまま進むことにした。すぐのところに横岳山頂(奥ノ院)があり、八ヶ岳連峰中2番目の高さを誇るピークを踏んだ。赤岳のような顕著な頂上ではなかったが、左手には大同心・小同心の特異な岩を間近に眺めることができた。硫黄岳方面を進んでいると次第に空腹に悩まされてきた。旗くんは硫黄岳山頂での昼食を望んでいたが、一同耐えかねて硫黄岳石室の前で摂ることにした。しかし休憩を取ると西からの強い風もあり一気に身体が冷えて寒くなった。早々に食事を済ませ硫黄岳へと急いだ。硫黄岳の登りには火山岩がゴロゴロしており、遠い昔の噴火の名残があちらこちらで見てとれる。コマクサが咲き誇っていたのも印象的だ。硫黄岳山頂まではそれほど時間はかからなかった。やはりこの山は北面の爆裂火口がすさまじく、思わず立ちすくんでしまうほどの迫力である。松ちゃんは山頂東端にある三角点を確認しに行き、三等三角点だとわかった。大きなケルンのある山頂からは阿弥陀岳、中岳と、これまで歩いてきた赤岳、横岳を一望することができた。
時間の関係もありのんびりすることなく硫黄岳を後にした。出発しようとしたときに家族連れのおじさんから松ちゃんのザックの背負い方に問題があると声を掛けてきてご指導いただいた。赤岳鉱泉までの急な下りでは足が痛くなった。赤岳鉱泉では休むことなく美濃戸山荘へ向かった。一方、旗くんの靴はいよいよ深刻な状態になってきた。靴底は両方とも剥がれてしまった。歩を進めるのに悪戦苦闘している旗くんには松ちゃんが付き、私とノリは少し前を歩いた。美濃戸山荘ではお茶とジュースで喉を潤した。悪条件のもと旗くんは懸命に歩き続け、公約通り美濃戸口まで戻ってきた。
売店でキーホルダーを買っていると、旗くんとノリがタクシーに乗ろうとしていた。運ちゃんが「茅野駅まで(4人分の料金がバスと同じ)3,200円で乗せて行ってあげるよ。」と言ってくれたためだ。タクシーに乗ると運ちゃんは「赤岳に登られたのですか?」と問いかけてきた。誰も答えないので私が「赤岳から横岳、硫黄岳へ行きました。」と答えた。気さくな運ちゃんに「この辺の名産品はどういう物がありますか?」と聞いてみると、「蕎麦、羊羹、こおり豆腐」とおっしゃっていた。
茅野駅ではまず松ちゃんと私が土産物屋へ行き、私は信州蕎麦と蕎麦羊羹を買い、松ちゃんは栗まんじゅうを購入した。ザックのところまで戻り、松ちゃんが「早く電車に乗ろう!」と皆を急かしたためノリが「オレたち荷物番をしていてまだ土産を買っていないんだ。勝手すぎるよ。」と激怒。旗くんも「そうだ。」と同調し、松ちゃんは反省。結局一本遅い電車に乗ることで決着。時間に余裕ができたため待合所でのんびりしていた。プラットホームに入ると旗くんが予め買っていたスプライト1.5Lを飲もうと開栓したところ、相当振られていたせいか炭酸飲料特有の泡が勢いよく周囲に飛び散り、焦って蓋を押さえるハプニングが発生。ちょうど停車中の特急あずさの多くの乗客が窓越しにこの光景を目の当たりにすることとなり、声は聞こえずとも車内では爆笑の渦に包まれていたようだった。ホーム上は水浸しならぬ”ジュース浸し”となり、さすがの旗くんも参っていた。
復路の電車も往路と同様、中央線各駅停車で立川行き。茅野駅で乗車した時は、松ちゃんと私が全車両をくまなく探したものの空きの座席はなかったが、信濃境駅で4人とも座ることができた。そこからはずっと雑談の花が咲き、甲府駅では36分間の停車を利用して、きっぷに途中下車印をもらい松ちゃんと夜の甲府駅前を散策。戻ってから松ちゃんとノリは駅弁をほおばっていた。電車が甲府駅を出ると旗くんは寝に入った。寝ている間に松ちゃんとノリは旗くんにいたずらをした。起きている時に同じことをやったらタダでは済まなかっただろう。国分寺駅から西武線に乗換え、松ちゃんは青梅街道駅で下車。小平駅前では中学時代の同級生橋本くんに偶然出会った。西武ライオンズ球場でプロ野球(対近鉄バファローズ戦)を観戦してきたそうだ。自転車を置いていたノリ宅から夜道を、楽しい2日間を振り返りながら家路を急いだ。

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登った山

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赤岳

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