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雁戸山・南雁戸山(笹雁新道往復/シャクナゲ咲き始め)2019

雁戸山・南雁戸山( 東北)

パーティ: 1人 (ブナ太郎 さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 杉林の路肩に5,6台の駐車スペースがあります。奥まで入ると、数台しか止められず、林道の状態もあまりよくありません。杉林のスペースに止めた方が無難です。

この登山記録の行程

笹雁新道入口駐車スペース(6:48)・・笹雁新道登山口(7:01)・・象ヶ沢清水(7:35)【朝食20分】・・風衝地帯(9:07)【休12分】・・1410mピーク(10:14)・・雁戸山山頂(10:56)【休15分】・・南雁戸山山頂(12:00)【休30分】・・【休10分】・・1401mピーク(13:48)・・風衝地帯(14:22)・・笹雁新道登山口(15:49)・・笹雁新道入口駐車スペース(15:58)

コース

総距離
約11.5km
累積標高差
上り約1,359m
下り約1,359m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 3年ぶりの雁戸山である。今回も笹雁新道を往復する。今日のお目当ては、ブナの新緑と初夏の花々である。登山口付近のタニウツギや登山道脇に咲くシラネアオイやキクザキイチゲ、オオバキスミレ、稜線付近のアズマシャクナゲもよいが、1410mピークから雁戸山の肩に向かう鞍部に咲くサンカヨウが気になる。数十株しかない貴重な個体群で、咲く花を見るには時期的にやや早いかもしれない。

 一乃湯温泉の手前を左に折れ、登山道に向かう。駐車場はずっと先なのだが、わずか数台分のスペースしかないため、杉林の広い路肩に車を止めた。登山道入口には十数分歩かなければならないものの、林道の状態を考えるとここに止めた方が無難である。

 6時48分に歩き出す。左手下を流れる水無沢の水音をかき消すようなエゾハルゼミの大合唱を聞きながら、のんびりと歩を進める。登山道入口に着くと、湿地からモリアオガエルの鳴き声が聞こえた。
 そこから小さな薮をかき分けて登山道に入り、狭くなった林道を右、左に折れて進む。崩落地を慎重に過ぎ、また右、左と進んでいくと、川を左手下に見る。ところどころ小さく崩落している道にはラショウモンカズラが咲いている。
 象ヶ沢には7時35分に着いた。登山道から少し下りると、水量豊かな水場に着く。ここが象ヶ沢清水である.伏流水が一気に溢れ出す様子は、豪快である。苔や水場の草の緑が美しい。今日は気温が30度を超えるという予報なので、水筒2本分の冷たい水をここで補給した。

 象ヶ沢から数分で砂防ダムに出会う。まったく水のないダムを越えて振り返ると、樹間にオボコンベ山が小さく見えた。ここからの登山道には、昔の標識をいくつか見る。青と赤の懐かしい造りである。道は岩が多くなり、シダ類が岩を覆っている。
 突き当たりを右に折れ、支沢を登ってブナ林の登山道に入る。ここからが本格的な山歩きとなる。ブナの二次林の木肌は白く、新緑とのコントラストが美しい。遠くツツドリの鳴き声が断続的に聞こえる。ツツドリの鳴き声を聞くと、深山にいるような気分になる。

 象ヶ沢では途切れていたエゾハルゼミの合唱が活発になってきた。林床にはチゴユリ、タチツボスミレが咲いている。つづら折りの登山道は山の中腹を巻き、谷筋を横切って小規模なカラマツ林に入る。再びブナの林になると、クロベの木々の向こうに残雪が見えた。
 ザレ場に出てカラマツ林に入り、それを過ぎるとジグザグの登りが始まる。登山道脇にはシラネアオイやスミレサイシンが目立つ。突然、左手に大規模な崩落地が姿を現す。ここからは急な直登となる。辛い登りに、休みを入れながら耐えていると、目の前にタムシバの白い花を見つけた。
 傾斜が緩むと風衝地帯に着く。ここは相当風が強いらしく、草木の生えないザレ場となっている。直射日光が強く、身体は熱を持っている。日陰を探し、身体を横たえて水分を補給した。象ヶ沢清水の水はおいしい。

 ここからは笹原である。刈り払いされた道には小規模な残雪があり、それを踏んで萎縮林に入る。道の上部には木々の枝が張り出して歩きにくい。ここを歩くには帽子が必需品である。
 矮小化したアオモリトドマツを過ぎると、広く平坦な稜線に出る。遠くに雁戸山が顔を出している。この稜線上の道をあそこまで歩いていくのである。稜線上にはハイマツ、ドウダン、ミネザクラ、ミネカエデ、アズマシャクナゲなど、多様な木々が生えている。風雪の影響で、どれも背丈が低い。刈り払いが不十分なため、顔や頭に木々の枝が当って歩くのに難儀する。ところどころで見るアズマシャクナゲは大半が蕾だが、数輪咲いている個体もある.来週には見頃を迎えるだろう。

 1410mピークには10時14分に着く。ここから見る対岸の雁戸山は迫力がある。山腹の残雪はほとんど消え、新緑が裾から山頂に向けて駆け上がっている。平坦な山頂部の右手には蟻の戸渡り、その向こうに朝日連峰が見えている。左手には南雁戸山が荒々しく聳え、その先には屏風岳、後烏帽子山を中心とした蔵王連峰の峰々が広がっている。雁戸山と南雁戸山の間に熊野岳も見える。
 ピークからは鞍部に50mほど下り、そこから今度は150m登る。ミネザクラを見ながら鞍部に下ると、そこにはシラネアオイやキクザキイチゲが咲いていた。さらに進むと湿り気が多くなり、そこには今日お目当てのサンカヨウを数十株見つけた。どれもまだ蕾である。奥を見ると、たった一株、花を開かせているものがある。久しぶりに見るサンカヨウの花である。 
 鞍部からの登りには青のキクザキイチゲと紫のスミレサイシン、黄色のオオバキスミレが満開である。特にオオバキスミレの群生が素晴らしい。この頃には、気温が高いためか、3週間ぶりの山歩きのためか、足がきつくなってくる。ゆっくりゆっくり進んで、ようやく雁戸山の肩に乗り上げた。ここから山頂までは、もうわずかの距離である。

 雁戸山山頂には10時56分に着く。4名の登山者が休んでいた。今日は日差しが強く、まるで真夏である。水分を補給し、バナナを食べた後、山頂部を一周する。360度の展望である。蔵王連峰、朝日連峰、月山、二口山塊、船形連峰などが手に取るように見える。仙台平野方面には釜房湖を見つけた。

 15分程休み、南雁戸山に向かう。3週間ぶりの山歩きに加え、真夏の暑さである。南雁戸山には向かわずに戻ろうかとも考えたが、岩場に咲くミヤマキンバイやアズマシャクナゲの向こうに鎮座する熊野岳を見たくて、南雁戸山まで行くことにした。
 ところが足の様子が芳しくない。急勾配を鞍部に下り、南雁戸山へ登り返す途中で、太腿が攣りそうになった。屈伸したり、もんだりして、これをなだめ、ゆっくり進んでいく。道端に群生しているシラネアオイを見て気を紛らし、ようやく稜線に乗り上げる。

 稜線から先は岩場である。三点保持で慎重に登る。岩はしっかりしているので、見た目程危険ではない。しばらく行くと、ミヤマキンバイの黄色が目に飛び込んできた。群生地は狭く、数十株が身を寄せている。中央部のオレンジ色がアクセントになっており、風に揺れる花々をしばらく眺めた。
 岩場から稜線に乗り上げ、曲がりくねったアオモリトドマツを超えると、南雁戸山山頂はすぐそこである。山頂には誰もいなかった。腰を下ろして、山形県側に広がる景色を眺める。残雪の熊野岳が大きい。新緑は裾野から山頂に登ってきていて、山麓部は緑一色である。山形盆地の向こうに連なる朝日連峰は大分霞んできた。月山は霞の中で見えない。
 山頂でソバを食べる。暑い時のソバは殊の外おいしい。

 帰りは元来た道をそのまま戻る。雁戸山への登り返しがきついが、1410mピークへの登り返しはそれほどもない。鞍部では、キクザキイチゲ、サンカヨウ、オオバキスミレ、シラネアオイ、ツバメオモトなどの花に心を洗われ、木陰で小休止した。
 1410mピークでは休憩せずに下る。足の具合は今ひとつだが、立ち止まって小休止するとどうにか回復するようだ。風衝地帯を過ぎ、ザレ場を見てカラマツ林に入り、ブナの美林に入ると象ヶ沢は近い。象ヶ沢で冷たい水を補給し、駐車スペースには15時58分に到着した。この日の最高気温は31度を越えていたという。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 レインウェア
登山靴 バックパック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ
タオル 帽子 グローブ 地図 コンパス
ノート・筆記用具 腕時計 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ ツエルト
健康保険証 ホイッスル 医療品 虫除け 行動食 テーピングテープ
トレッキングポール

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登った山

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