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灼熱下の大汗にもめげず那須岳を巡る

茶臼岳、三本槍岳、朝日岳( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ(酷暑)

登山口へのアクセス

マイカー
その他: ロープウエイからアクセスする場合を除き、山頂にアクセスする一番の駐車場は、ロープウエイの駐車場を過ぎた道路の終点にある県営峠の茶屋無料駐車場となる。160台程度駐車可。ただし、観光者も利用するので早朝までに入ることをお勧めする。トイレあり。
参考までに、ライブカメラが設置されている。
http://www.town.nasu.lg.jp/0224/info-0000000964-1.html

この登山記録の行程

峠の茶屋駐車場(02:26)・・・峰の茶屋跡避難小屋・・・硫黄鉱山跡(03:26)(ミスルート)・・・茶臼岳・山頂(04:00)(日の出鑑賞~04:47)・・・硫黄鉱山跡(05:04)・・・無間地獄(05:15)・・・姥ヶ坂(05:19)・・・牛ヶ首(05:20)・・・日の出平(05:33)・・・沼原・日の出分岐(06:19)・・・沼原・牛ヶ首分岐(06:57)・・・三斗小屋・峰の茶屋跡避難小屋分岐(07:25)・・・三斗小屋(07:46)・・・大峠(08:58)(休憩~09:10)・・・三本槍岳(10:29)(昼食~11:25)・・・北温泉分岐(11:50)・・・清水平(12:09)・・・1900m峰(12:20)・・・朝日岳分岐(12:33)・・・朝日岳・山頂(12:36)・・・恵比寿大黒(13:12)・・・峰の茶屋跡避難小屋(13:20)・・・峠の茶屋駐車場(13:55)

コース

総距離
約21.6km
累積標高差
上り約1,866m
下り約1,865m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

那須岳の定義も様々あるようだが、百名山の著者、深田久弥の定義によると代表格である茶臼岳を筆頭に、朝日岳、三本槍岳の総称とされている。よって、制覇するのであれば、三山は必須と、まず茶臼岳の山頂から朝日を拝み、その後、大きく周遊しながら残りの頂を踏む計画とした。そのため、那須には観光を兼ねて前入りをして、登山口である峠の茶屋無料駐車場にテントを構えることにする。
まず観光として殺生石を訪れた。硫黄臭が立ち込める賽の河原的な風景は一見の価値があり、その奥に人々を苦しめた九尾の狐を退治したとされる殺生石が祭られている。さらに殺生石の脇から遊歩道を使って小一時間ほど歩くと恋人の聖地と書かれた那須高原展望台(車で直接アクセス可)へと出る。展望台からは、那須連山を目前に見渡すことができ、名前の通り山頂部分がまるで臼を置いたかのような茶臼岳とその右側に鋭くとがった朝日岳と、那須連山の中でも特徴的な二座が際立っていた。恋人ではなくとも、目指すべき山の雄姿を心に焼き付けておくため、登山前にはぜひ立ち寄って欲しい場所だ。戻る際は、遊歩道ではなくあえて舗装道路をお勧めする。下っていく途中で「つつじ橋」というつり橋が目に入る。橋を渡るだけでも面白いが、渡った奥に「八幡のツツジ群落地」があり、時期が合えばシロヤシオやアカヤシオを含め様々な種類のつつじが楽しめる。今回、ちょうど時期的によく、遊歩道の脇には満開のつつじで真っ赤に染まっていた。
観光から戻り、近くのスーパーで買い出しをした後、峠の茶屋無料駐車場へと向かう。夕暮れも間近。車を停めてベンチの脇にテントを設営する。他にも何台か車が停まっていて、中には椅子等のキャンプ道具を持ち込んでいる人もいた。朝が早いので食事をとって早めの就寝とする。しかし、旧那須高原有料道路が無料化されて以降、気軽にアクセスできるようになったためか、夜になっても星や夜景を眺めに来たカップルが途絶えず、眩しいライトや大きな話声で眠ることができなかった。登山者マナーを求めるのは無理としても、せめてもう少し静かに夜景を楽しんで欲しいものだ。
熟睡を諦めて、予定よりだいぶ早いが1時にはテントを這い出して準備を始める。準備といっても事前に済ませておいたので、やることは殆どないためベンチに腰を掛けて夜空ウオッチングをする。確かにカップルが騒ぐのも頷ける満点の星空だった。今日の日の出は4時半ごろ。30分前には山頂で待機していたいので、それを考えると2時半に出発すれば十分なので相当ゆっくりできる。登山前にこんにまったりとした時間を過ごしたのは初めてだ。
ヘッドライトを点けて出発。朝日岳のシルエットの上に、北斗七星が輝いていた。
小さな鳥居をくぐり、石畳の整備された登山道を登っていく。夜間でも危なげないしっかりとした道だ。空気がよどんでいるのか、明け方前の冷たい空気に交じって生暖かい風が時折吹いてくる。天気予報によれば、今日は昨日以上に記録的な暑さになるという。この時間帯でこの生暖かさ、既に十分異常だと感じる。
森林限界を抜けるとごつごつした岩稜地帯に入る。月明かりに照らされた茶臼山が見えた。この角度では臼というよりコブシにも見える。その左側に急峻な朝日岳のシルエットがあり、左右の山容が対照的で面白い。その2座を結ぶコルのところに峰の茶屋跡避難小屋が建っているのが見えた。登山道はその避難小屋にめがけて一直線に延びている。
峰の茶屋跡避難小屋へ到着。振り返ると、ヘッドライトの光が幾つかチラチラと揺らめいているのが見えた。日の出を目指して一斉に登ってきたのだろう。
時間はたっぷりとある。茶臼岳に向かってゆっくり歩いていく。硫黄採掘跡を過ぎ少し進むと、鼻をつく硫黄臭とともに「グォー」っというガスの噴き出す音が聞こえてきた。ここでミスルートをしたことに気づく。ここは山頂から降りてきた時に通るはずの場所だ。山頂へはここまでの間で、どこか左に折れないといけなかったはず。硫黄採掘跡の分岐点を確認して軌道を修正する。ガレ場で歩きづらかったが、空が明るくなりはじめ道がはっきりしてきたので、ヘッドライトを消して加速しながら登っていく。
お鉢のフチに到着。思ったより小さいお鉢で反対側のところに山頂らしき祠の屋根が見えた。ぐるりと半時計廻りで山頂へ向かう。朝日岳から少し外れた右側の空が赤く染まりつつあった。もう間もなくするとそこから太陽が昇ってくるに違いない。
鳥居の横に場所を確保してコーヒーを淹れながら日の出を待つ。
周囲には高い山はなく、空と地平線の境界が真っ赤に染まっていく。赤の濃度がMAXになった時、その境界から卵の黄身のようなプルンとした元気な太陽が顔を出してきた。輪郭を揺らめかせながら一気に昇ってくる。一日の始まり、清々しい光景だ。さぁ、暑くなる。今のうちに距離を稼いでおこう。
お鉢を残り半周を巡って硫黄鉱山跡まで戻り、先ほど間違えた硫黄臭がするところまで戻る。この近辺は無間地獄と呼ばれ、岩肌の所々が硫黄で黄色くなっている。また、その岩の隙間から、先ほどは見えなかったが白い蒸気が激しい音とともに噴き出していた。焼岳でもそうだが、火山の力強さが地面から伝わってきて、まるで山が呼吸しているかのうようでエネルギッシュだ。
姥ヶ坂を超えて牛ヶ首へ。ちょうど峰の茶屋跡避難小屋から見て、茶臼岳の反対側に来た感じだ。茶臼岳を牛の頭に見立て、反り立つような斜面からコルの部分牛の首に見立てているのだろうか。
地図に一瞬目を落とし、次は姥ヶ平を抜けて沼原・牛ヶ首分岐へと目指す。標準タイム25分。
背の高さぐらいだろうか、山桜が登山道の両脇に群生している。花が残っている木もあり、これが満開であればさぞ豪華な景色が楽しめたのだろう。ミネザクラと呼ばれる桜のようだ。そのミネザクラの小路を抜けて、小高い場所へ到着。看板に「日の出平」とある。「あれ?姥ヶ平は?沼原・牛ヶ首分岐はどこ行った??」。もう一度、地図を確認する。言い訳をすれば地図といっても等高線はなく単なるコースをプロットしただけのものだったので、牛ヶ首の時点で完全に方角を勘違いしていたようだ。20分ほどのロス。戻ろうかとも思ったが、マップが設置されていたので現在地と進むべき場所を確認する。少し遠回りになるが、日の出平からも沼原分岐には行けるようだ。どのみちガシガシ歩くつもりだったので数km増えようがなんてことはない。
ミネザクラの群生を抜けて山の裏側へと進む。ここから先はぐっと降りになる。岩稜地帯だった茶臼岳からは一変しここからは新緑の登山コース。そもそも歩く人が少ないのか、荒れ気味ではあったが危険な場所はなかった。
降ってくだって、ようやく沼原・日の出分岐へと到着。ここからは再び登りとなる。だいぶ気温も上がり額に汗が噴き出てくる。そうこうしているうちに、ようやく当初の目的地だった沼原・牛ヶ首分岐に到着。本来であれば25分程度で牛ヶ首から着いたものを、軽い気持ちで踏み込んだが思いの外長い道草となったものだ。笑。
気を取り直して、ようやくスタートラインに立ったつもりで三斗小屋温泉を目指す。那須連山の中腹を突っ切るようなコースで、右手前方に茶臼岳を眺めながら深い森の中を軽くアップダウンしながら歩いていく。
三斗小屋温泉へ到着。山小屋というより老舗の温泉宿のような風格を持った建物が並んでいた。大黒屋と煙草屋の2つ。どちらもそれぞれ違った趣がある。ここは温泉が有名で硫黄の臭いからも本格派の温泉だとわかる。今すぐにでも温泉につかりたくなるが、残念なことに温泉は宿泊者のみとなっている。ただ、建物を見て泊まってみたいと一目ぼれしたのは雲取山の「三条の湯」以来。今日は素通りだが、いつか泊りに来たいものだ。
三斗小屋温泉から大峠を目指す。この区間が今回のコースで一番荒れていた。危険な個所こそないが、涸れ沢がそのまま登山道になっていて石がゴロゴロと歩き難かったり、中ノ沢や峠沢の大きな川を渡渉する場所が3回ほどあった。
峠沢を渡渉したところから大峠にかけては急な登りとなるが、頑張って登り切ると視界が一気に開けてそこに小さいお地蔵さんたちが出迎えてくれる。大峠からは三本槍岳へと向かう道と、その反対側の流石山へと向かう道に分かれている。流石山の稜線は緩やかなカーブを描いていて、見ているだけで気持ちよさそうだった。大峠で休憩をしていた人がいたので話しかけてみると、流石山の大ファンとのことで、「稜線がまるでアルプスのようだ」と大絶賛していた。特にニッコウキスゲが最高と、以前撮った写真を見せて頂いたが、これが思わず声を上げてしまうほど素晴らしい。大峠から山頂へかけての斜面がニッコウキスゲで黄色く染まっている。例えば高山植物で有名な白山にもニッコウキスゲの群生地はあるが、正直、ここまで濃い群生は初めて見た。茶臼山や朝日岳もいいが、「那須連山には流石山等お勧めの山がいっぱいありますよ」とのこと。なるほど奥の深い那須連山。
ここから先は森林限界の稜線歩きとなる。時間もお昼に近づき、気温も真夏のようにぐんぐん上がってきた。どっと噴き出す額の汗を腕で拭う。いつ熱中症になってもおかしくないぐらい体温も上がってきている。そのせいか、三本槍岳までの道のりが異様に遠く感じた。偽ピークを越えて、さらに次の偽ピーク。分かってはいても「あじぃーあじぃー」とぼやきが入る。そういえばもうお昼。シャリバテも原因の一つか。軽く行動食を口にして、最後のスパートをかける。ようやく視界に入ってきた三本槍岳の山頂。なだらかなスロープ状の道が山頂まで延びていた。
山頂に到着すると、大勢の登山者で賑わっていた。大峠から暫く隠れていた朝日岳と茶臼岳も見える。振り向くと、長かった大峠からの縦走路も一望できた。
石の上に腰を下ろし昼食の準備をする。
山頂の風が気持ちよく、ヒートアップしていた身体もクールダウンできた。昼食をゆっくりと1時間かけてとり、パワーを蓄えてから最後の目標「朝日岳」を目指す。
三本槍岳から一気に降る。それなりの急登だったが、降りきってしまうと、平原のような地形で水平移動が多くなる。さらに進むと湿地帯「清水平」に出る。高山植物が楽しめるのかと期待していたが、あいにく何もなかった。湿地帯というより、別府の地獄めぐりではないが、緑もなく岩肌が露出した火星かどこかの惑星を歩いている不思議な風景だった。
中ノ大倉尾根分岐を過ぎると、朝日岳が真正面に見えてきた。ここから見る角度が一番鋭角で、むしろ名前に「槍」をつけるのであれば、三本槍岳ではなくこっちではないのか?とさえ思う。
朝日岳分岐に到着。ここでも大勢の人が休憩していた。朝日岳山頂はもう目前。分岐から山頂まではピストンをする位置にあり、片道20分もかからない。ただし、短いながらガレ場の急登につき、体力に自信のない方は分岐にザックをデポするとよい。
朝日岳の山頂は、尖がっているため余りスペースはない。幸い、登った時には人が途切れていたので、一番高い岩の上に立ち360度を見渡す。
正面にはスタートした峠の茶屋駐車場。また、森を抜けて峰の茶屋跡避難小屋までつながっている細い道が見えた。そして正面には、空間を埋め尽くすかのように大きな茶臼岳が鎮座している。こうやって茶臼岳を見ると、白っぽくガレた岩肌がどこかの採掘現場ようで、トラックやブルが行き交っていても不思議ではない。文章では伝えにくいが、おそらく同じ印象を持たれた人も多いのではと思う。
山頂からの景色を堪能し分岐まで戻る。ここまでの周遊ループを閉じるべく峰の茶屋跡避難小屋を目指す。朝日岳から峰の茶屋跡避難小屋までは途中にあるピークを回避するように斜面をトラバースしながら進むコースになっている。こちらは同じガレ場でも白っぽい茶臼岳に対し、朝日岳付近は赤茶っぽく、トラバースの道はTVで観るようなアンデスの山々を歩くコースに似ていた。そういう意味では、硫黄臭が漂う火山地帯の茶臼岳。深い森の三斗小屋付近。アップダウンしながら縦走が楽しめる(超暑かったが)大峠から三本槍岳のコース。木道が延びる湿地帯。そして海外の山のような赤茶けた朝日岳と、この周遊コースは実に変化に富んでいて楽しかった。
避難小屋で軽く休憩を取り、そんな周遊を振り返りながら下山する。

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みんなのコメント

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  • 那須の山々、奥深いですね。20km以上歩いてもまだ歩けますね、。いつか登りたいです(^.^)

  • 大峠で出会った方に見せて頂いた流石山のニッコウキスゲの写真、レオさんにもお見せしたかったですね。あんなニッコウキスゲの花畑は見たことがありませんでした。

  • 「ナス」ときたら「とまと」ですね。関東の山は、また趣きが違いますね。

  • あのかパッと開けたら、サザエさんの一家がいそうなトマト山、探しますか^_^

登った山

三本槍岳

三本槍岳

1,917m

那須岳

那須岳

1,915m

朝日岳

朝日岳

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