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霧に広がる幻想的な花園 雄国沼

雄国山、雄国沼( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

曇り、時々晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: ラビスパ裏磐梯・いこいの森グリーンフィールドの駐車場をお借りする。カーナビには「いこいの森グリーンフィールド」をセット。入り口を入って最初の左への道を入ったところに駐車場あり。30台程度。綺麗なトイレあり。キャンプ場なので無料ではないとの認識でいたが、集金している様子はなかった。

この登山記録の行程

ラビスパ東口駐車場(04:21)・・・雄国山(05:44)・・・雄国山分岐(06:05)・・・雄国沼休憩舎(06:10)・・・雄国沼湿原木道周回(06:28)(散策~07:25)・・・金沢峠(07:37)・・・猫石(08:28)・・・雄国沼休憩舎(09:18)・・・雄国山分岐・・・雄国山(09:38)・・・ラビスパ東口駐車場(10:37)

コース

総距離
約20.9km
累積標高差
上り約1,182m
下り約1,185m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

兼ねてより行きたいと願っていた場所があった。きっかけは一枚の写真。木道の脇に広がる一面黄色の花畑。こんな絵葉書のような場所が本当にあるのか?あるのであれば実際に自分の目でその風景を見てみたい!
場所は雄国沼。裏磐梯にある湖沼で、ニッコウキスゲの大群落で知られていて、なんと面積当たりの生息株数はあの尾瀬を上回るという。
ニッコウキスゲの開花情報とにらめっこしながら結構日を決める。しかし、タイミングが悪く梅雨にも関わらずドンぴしゃでやってきた台風のため木曜日から週末にかけて天気は大崩れだった。それでも台風が過去った直後の土曜日であれば、可能性はあるかと金曜日の夜に仕事を終えてから、過ぎ去る台風を追いかけるように北上する。運転中、ワイパーはフル稼働。果たして明日は止んでくれるのか。
2:00過ぎ、オートキャンプ場「いこいの森グリーンフィールド」に到着。一番乗りだった。日の出まで仮眠をとる。仕事で疲れていたのか、携帯の目覚ましが鳴るまで完全に深い眠りに落ちていた。
4時少し前に車から這い出る。日の出は4時過ぎ。既に空は明るい。どんよりした感じの空だったが、心配していた雨は無いようだ。
身支度を整えて歩き出す。真っ白な霧が立ち込める森の中を進んでいく。一歩踏み込んで感じたのが、森がとても深いという事。植物が豊富で、いろいろな草木が高い密度で群生している。そのせいか、雨上がりの森のにおいがいつもより濃い気がする。その中をよく整備された気持ちの良い登山道が延びている。アップダウンは少なく、最初に高度を上げてしまえば、雄国山までは比較的緩やかな水平移動で、登山と言うよりはハイキング感覚で森林浴が楽しめる。
雄国山の山頂手前に、見晴らし岩があった。たった今、勝手に名前を付けたが無数の足跡がついていたので、きっとみんなも立ち寄っている名所に違いない。これまで深い森を歩いてきたので全く眺望がなかったが、小高い岩の上に立つと視界が開け周囲を見渡すことができた。解放感とともに目の前に雲海に浮かぶ雄大な山が飛び込んできて、思わず声がでる。磐梯山、さすがに存在感がある。
雄国山の山頂には展望台が設置されていた。目的の雄国沼はもう目前に見えるはずだが、今は完全に雲海に沈んでいる。雄国沼は山に周囲を囲まれているので地形的に霧がたまりやすいのだろうか。
いずれにしてもここを降れば念願の雄国沼。はやる気持ちで駆けるように降っていく。斜度が緩やかになり、雄子沢からの「雄国せせらぎ探勝路」コースとの合流地点「雄国山分岐」に到着。更に進むととても大きくて立派な建物が見えてきた。雄国沼休憩舎。窓ガラス越しに覗いてみると中も広々としていて真新しそうな小屋だった。
林道に合流し雄国沼に沿うようにとニッコウキスゲの大群生落がある湿地帯へと向かう。途中、チラホラと鮮やかな黄色い花が目に飛び込んでくる。ここに来るまでに出会った登山者は僅か2人。時間も早いので焦る必要はないが、小高くなった場所で遠くに広がっている黄色い絨毯が一瞬見えるともういてもたってもいられない。金沢峠と湿地帯を結ぶ階段に合流。その階段を「ダダダーッ」と効果音が聞こえそうな勢いで降っていく。と、突然、視界が開ける。緑の中を真っすぐに延びていく木道。その先に広がる黄色い絨毯。まさに写真で見た風景がそこにあった。黄色い絨毯とは決して比喩ではなく、視界いっぱいにニッコウキスゲで埋め尽くされている。自生なのにこんなに密度が濃いなんて。青空の下であれば黄色の鮮やかさがいっそう映えて最高の風景になるに違いない。そういう意味では残念な気もするが、霧の中にぼーっと浮かぶような黄色の風景も幻想的で決して悪くはない。木道は反時計回りに周遊できるようになっていて、ニッコウキスゲの大群生落をゆっくり巡ることが出来るようになっている。
コーナーのところにあった広いスペースのところに腰を下ろし、おにぎりを頬張りながら、ゆっくりと風景を楽しむ。改めて見ると、ニッコウキスゲの黄色い花の中に青紫色の花も混じっている。時期は少し過ぎていたがアヤメ(ヒオウギアヤメというらしい)がそのアクセントになっている。その他、レンゲツツジもまだ残っていた。
時折、陽が射してきて周辺の景色を明るくする。シャッターチャンスとばかりに、カメラを構える。このまま晴れてくれればよいと願うが、どちらかと言うと深まるばかり。そう言えば昨日の天気予報では昼過ぎに雨マークがついていたような気がする。快晴はやはり無理か。。。
時間をかけて木道を2周し、ゆっくりと奇跡の風景を楽しむ。時間さえ許せばずーっとここに身を置き、時の移ろいも楽しみながら眺めていたい気分だったが、人も増えてきたので、3週目を諦めて移動を開始する。来た階段を上っていく。折角なので階段の終点となる金沢峠まで登ってみると、木製のテラスがあり登山者が3人ほど休憩をしていた。テラスからの眺めは、雄国山からと同様、真っ白な世界。湿地帯では、時折、晴れ間も見えていたが、上空には厚い霧が滞留しているのだろう。本当であればポスターなどでもよく使われる雄国沼全景のステキな眺望が望めたはずだ。
看板を見るとどうやら雄国沼の大きなマップに周遊できそうな道が書かれていたので、地図で詳細を確認してみると、周囲の山を巡るように道が延びている。このまま帰るのも寂しいと思っていたので、周遊してみることにする。スピードを維持すればそんなに時間はかからないだろう。たぶん。
暫くは、舗装された林道を歩く。眺望もなくただ歩くだけの単なるハイキングだが、濃い霧の中、どこに向かうかも分からず歩くのもなんとなく楽しい。途中から未舗装の林道に変化し、やがて登山道になる。
沢があったので、しゃがみ込んで手で水をすくい上げる。雨が降った後なので濁っているかと思ったが、透き通っていたのでそのまま口に含んでみる。山で沢を見つけた時は基本こうやって水を飲むことにしている。場所場所によって全く味が異なるのが面白い。冷たい水がごくごくと喉を通っていく。のど越しがよくとても甘くて美味しかった。こんな柔らかい感じの水はなかなかないと思う。きっと良質な水なんだろう。
沢周辺には柔らかい栄養をたっぷり蓄えたであろう土が見て取れた。きっとこんな場所にはサンカヨウが生えているに違いないと探してみる。思った通り、群生している場所があったが、実もすっかり落ちて大きな葉っぱだけの状態になっていた。時期的にはそんなもんだと立ち去ろうとしたとき、一条の茎に茶色っぽい花がずらりと並んだ変わった花が目に入る。これは珍しい。まさかコケイランに出会えるとは。これだけでも、霧の中、周遊した甲斐があった。
少しピークになったところで、突然、大きな岩が出現した。岩の前に看板らしきものがあるが完全に朽ち果てていて文字が読めない。おそらくこれが地図にあった猫岩か。近くには猫魔ヶ岳というかなり気になる名前を持った山もある。猫にまつわる伝説でもあるのだろうかと後で調べてみると、その昔、この周辺には猫又が住み着いていて、人を食い殺し悪事の限りを働いていたとか。猫岩は、弘法大師が法力によって化け猫を調伏した際のひれ伏した猫の姿だともいわれている。
大きな岩だが、なんとかよじ登って上に立ってみる。晴れていれば、金沢峠とはまた違った角度で雄国沼の全景が見渡せる素晴らしい場所らしい。
降っていく途中で、太陽の光を感じた。いつの間にか青空が見えている。ついに霧が晴れたのか。このまま晴れるのであればもう一度ニッコウキスゲを見に行こうかと、更にスピードアップ。小野川発電所への水路まで来ると森も開け、対岸がよく見渡せた。確かに晴れつつあったが、湿地帯の方は変わらず厚い雲が覆いかぶさっていた。たぶん、状況は朝とあまり変化ないのかも知れない。
雄国沼休憩舎に戻って、雄国沼の周遊を閉じる。静かだった朝に比べ、大勢の登山者で賑わっていた。ここで湿地帯へ向かうかどうかの最終判断をする。一瞬悩んだが、空はさほど大きな変化はなかったので、そのまま帰路に入ることにする。
今回、ラビスパ東口駐車場から雄国山を抜けて、雄国沼へ歩いてみたが、噂にたがわぬ良い場所だった。幻想的な霧の風景の次は、太陽の下で鮮やかに咲くニッコウキスゲの群集落を見てみたいものだ。

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みんなのコメント

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  • 東北の花は、なんだか色白ですね。大きい銀ちゃん、少し不気味ですね(苦笑)。

  • 薄いピンクが可愛かったでしょ。銀竜草は目玉おやじだけど。^_^
    クマさんにもカモシカさんにも優しい場所です。

  • この時期、天気がなかなか良くなってくれないですね。
    こんな綺麗な所があるのを知りませんでした。

  • 裏磐梯は最高ですよ。五色沼とかも散策には良いところです。^_^

登った山

雄国山

雄国山

1,271m

よく似たコース

雄国山 福島県

雄国沼を囲むようにそびえる2つの山に登る

最適日数
日帰り
コースタイプ
縦走
歩行時間
3時間
難易度
コース定数
13
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