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「妖精のランタン」を求めて八溝山をゆく

八溝山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 今回は福島県矢祭側からのアクセス。矢祭町茗荷(みょうが)を目指す。バス停「真菜畑」から茗荷林道を登っていく。約5km。最初2kmは舗装されているが、残りは未舗装。ゆっくり走れば軽自動車でも可能。林道奥がゲートで封鎖されている。手前に10台程度の駐車スペースあり。トイレ無し。

この登山記録の行程

林道突き当りの駐車場(07:53)・・・登山口・八溝山看板(08:50)・・・八溝山・展望台(09:56)(昼食~10:36)・・・登山口・八溝山看板・・・林道突き当りの駐車場(12:40)

コース

総距離
約15.3km
累積標高差
上り約1,202m
下り約1,204m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

春先から既にこの日は夏の花を求めて八溝山に行こうと決めていた。以前登った茨城県側のルートではなく、花が多いとされる福島県矢祭側からのアクセスで、場合によっては藪こぎしながら山頂を目指す計画(結果的に藪漕ぎはミスルートの一部のみ)。
今回のミッションは、珍しい夏の花を愛でること。とりわけどうしても見たい花があった。漢字で書くと「蓮華升麻」。蓮華のような花に、サラシナショウマのような葉を持つことから名付けられた1属1種の日本固有の花。レンゲショウマ。
森の貴婦人と言えばオオヤマレンゲ。緑の中にあって純白のその花はまさしく貴婦人にふさわしい。しかし、個人的に貴婦人をイメージする花が他に2つある。一つは山芍薬(ヤマシャクヤク)。そしてもう一つがこのレンゲショウマ。どれも凛と咲いていて、同時にたおやかさと清楚感をあわせ持っている。森で出会った時の感動は言葉に表せない。レンゲショウマを擬人化して貴婦人と呼んだが、一般的には「森の妖精」とか「妖精のランタン」と呼ばれている。自生している姿はまさに奇跡と言える。最近では、その貴重な花の盗掘が問題になっている。盗掘は言語道断。一人でも多くの人に楽しみつつその保護の大切さを理解してもらうために、鑑賞の際にも踏み荒らすことなく注意して欲しいいものだ。

バス停から林道に入り、5km程進むと突然、ゲートで道が封鎖されていた。手前に10台程度の空きスペースがあったので、一番端に車を停めて歩き出す。ドアを開けた瞬間から、「ぶわー」っととんでもない量のアブがまとわりついてくる。虫よけを持ってくれば良かったと後悔したが、時すでに遅し。
ゲートの向こう側には2手に分かれた林道が見えた。ゲートをくぐって左側へと進んでいく。林道の左側には沢が流れていて、涼やかなせせらぎを聞きながら進んでいく。まったく、アブさえいなければ最高なのに。普段、首筋が狙われることはあっても歩き動作を繰り返している間は刺されないとたかをくくっていたら、痛みを感じで気づいた時にはもう遅く、足や手の指までと体中あちこち刺されまくっていた(その夜、両手の指や足がハレ上がり大変なことになった)。
林道の突き当りに到着。八溝山の解説が書かれた大きな看板が立っていた。ここから先は立ち入る人が少ないのか、草も荒れ放題。その為、登りの時には全然気が付かなかったが、八溝山への登山口は、看板手前10m程の左手側に小さな橋が架かっていて、そこからがスタートとなる。周囲を注意深く確認しないと見つけることは困難なので、登られる方は要注意。
という事で、最初はその登山道を見つけることができず、てっきり看板の奥が登山道だと信じ込み、そのまま山の中へ入っていく。しかも、入ったところに石碑が建っていたので、そのまま登山道が延びていると疑うこともしなかった。しかし、数分で道らしい道はなくなってしまう。仕方がないので沢沿いにルートをとる。何度も渡渉を繰り返しながら、最後には、沢の石を踏み台にして沢を直接登っていく。かなりの距離を稼いだが、スビートが維持できず、アブの猛攻撃を受けた。見上げると左側の斜面に緩やかなところがあったので、木の枝を利用しながら登ってみる。すると緩やかに見えた斜面のところに登山道らしきものがあった。こんなに苦労したのに、すぐ脇に道があったとは、、、と、大きく脱力。その後は順調に高度を上げていく。
峰にたどり着くと、笹で覆われた素敵な縦走路が出現した。アップダウンは少なく、緑の絨毯を進んでいく爽快感。茨城側のコースはひたすら山頂を目指して登った記憶があるが、同じ山でも全く山容の異なる登山道があるなんて。八溝山の魅力を一つ知った気がした。ただ、山頂手前の一部で、笹が道を覆い隠している部分があった。腰より低い笹なので道を見失うことはないが、慣れない方には注意が必要だ。
登り切るとガードレールがあって、その隙間から舗装道路になだれ込む。折角登ってきたのに、なんだか味気ないゴール。八溝山の魅力を書いたばかりだが、八溝山は山頂まで車道が走っているのがたまにキズ。一般観光者にとっては便利だが、登山者にとってこれ以上ゲンナリするものはない。
山頂の方へ歩いていくと、見覚えのあるお城をイメージした展望台が見えてきた。これも趣味がいいとは言えないが、登るとかなり高く遠くまで見渡せて最高だ。心地よい風が吹いていたので、そのまま展望台の上で昼食とする。夏の暑い日は、バテないようカレーヌードルに限る。美味し。
たっぷり休憩をとって下山開始。再びアブ地獄を通って下山とする。
最後に、今回主役の花について少し紹介。来るまでは、正直、こんなに花に出会えるとは思っていなかった。最初に目に飛び込んできたのは、鮮やかなオレンジのキツネノカミソリ。地元では限られた山でしか自生していないというのに、ここではたんまり咲いていた。次に、ピエロの帽子と個人的に呼んでいるが、まさにそんな形をしているヤマジノホトトギス。喜んで写真を撮っていたが、これもあちこちに咲いていて、終いには「あっ、ここにもあった。」という感じ。こんなに群生しているのを見たのは初めてかも知れない。そして、ミッションの最大の目的、レンゲショウマ。小さな群生だったが、それぞれの株に2,3輪の小さな花がボーっと光るように咲いていた。レンゲショウマは下から見上げるアングルが一番綺麗だ。こうやって見るとまさに「妖精のランタン」そのもの。数が少ないだけに、みんなでこれから先も大事に見守っていきたいものだ。
おまけにもう一つ紹介。一条の茎に小さなピンクの花が鈴なりに咲いている可愛い花があった。ヌスビトハギだ。盗人とは変わった名前だが、本当に変わっているのはその植物の実。えだ豆のさやが2つ連なったように実をつける(もともとマメ科)。その形が盗人の足跡に似ているというところから名前がついたとか。この形を見て泥棒を発想した昔の人も凄い。
思わぬ花の多さに、楽しいひと時になった。帰ってからハレ上がったアブの刺し跡には、痒くて痛くてかなり苦しんだが。。。
下山後の温泉は、「ユーパル矢祭」を利用。700円。湯質から温泉ではないと思うが、休憩所が広々としていて、ノンビリできたので〇。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 希少な花はラン科に多いのでしょうか?それにしても妖艶と儚さを併せ持っているような妖精ですね。

  • 擬人化すれば、夏の少女はナツエビネかな。どうでしょう。いろんな花があって楽しいですね。覚えられないけど。笑。

  • 白い花はいいですね
    正に貴婦人です
    オオヤマレンゲもまだ見たこと無いので見てみたい花の一つですが
    花の時期は待ったなしなので見に行く時期が難しいです

    これはなんだ???
    はコバノギボウシかも

  • コバノギボウシですか。さすがkuronekoさんですね。

  • 最近教えてもらったばかりです

  • 現在、関東に住んでいますが、北陸と比べると、少し花の種類も違っていて新鮮です。

登った山

八溝山

八溝山

1,022m

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