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西黒尾根から谷川岳~平標山 ワンデイハイク

谷川岳、オジカ沢ノ頭、大障子ノ頭、万太郎山、エビス大黒ノ頭、仙ノ倉山、平標山( 上信越)

パーティ: 1人 (加藤キーチ(モンターニャ) さん )

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行程・コース

天候

曇り、弱い風あり。陽射しを直接浴びることはなかった。万太郎山の前後でごく弱い小雨。

利用した登山口

土合口   平標登山口  

登山口へのアクセス

電車
その他: 【行き】
(前夜)JRを乗り継ぎ終電で21:05(事故で遅延)土合駅へ。「天神ロッジ」泊。
【帰り】
平標登山口14:15~14:52越後湯沢駅、飲んで食べる。17:13(Maxとき 334号)~18:14大宮駅18:18~18:57恵比寿駅
※平標登山口から越後湯沢駅行きの、南越後観光バスの時刻表(以下リンク先)は古いものであり現在の運行ダイヤとは異なるから要注意。
http://www.minamiechigo.co.jp/crystalnatsu.pdf

この登山記録の行程

土合口(04:50)・・・ガレ沢のコル(06:11)[休憩 3分]・・・トマの耳(07:00)[休憩 3分]・・・谷川岳肩ノ小屋(07:06)[休憩 10分]・・・中ゴー尾根分岐・・・オジカ沢ノ頭避難小屋(07:52)・・・大障子避難小屋(08:23)[休憩 5分]・・・万太郎山(09:27)[休憩 12分]・・・毛渡乗越・・・エビス大黒ノ頭(10:58)・・・仙ノ倉山(11:40)[休憩 10分]・・・平標山(12:18)[休憩 25分]・・・松手山(13:18)[休憩 3分]・・・平標登山口(14:12)

コース

総距離
約19.4km
累積標高差
上り約2,762m
下り約2,521m
コースタイム
標準13時間40
自己8時間11
倍率0.60

高低図

標準タイム比較グラフ

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

8月はじめの馬蹄形縦走では陽射しにやられてロープウェイに乗ってしまい、西黒尾根を歩かずに終えた。なので今回は「夏休みの宿題の残り」みたいな西黒尾根を登り、谷川岳から平標山を目指すことにした。
【アプローチ】
■前夜、上越線下りの最終を土合駅で降り、ヘッドランプをつけ徒歩10分ほどの「天神ロッジ」のドミトリーに宿泊。二段ベッドがいくつかある大部屋は世界中で見かける安宿の標準的なスタイルで、エアコンがなかったり(ヒーターと扇風機を使用)部屋のシャワーのお湯がでなかったり(大浴場は湯が出る)するが、宿は清潔でなにより布団の上で眠れるのはありがたい。オーストラリア人のご主人と韓国人の女将ファミリーが経営している。ボーダーコリーのラッキーくんの出迎えがあるはずだ。
http://www.tenjinlodge.com/accommodation.php
3時半に起きて用意しておいた朝食を摂り、シャワーを浴び準備を整えて出発する。奇跡的に忘れ物がないようである。
【西黒尾根】
■04:59に林道の登山口から西黒尾根へとりつく。急登のうえ雨降りが続いてトレイルは水が流れている。さっそく大量の汗をかきながら、樹林帯を我慢してひたすら上る。梢を鳴らす程度の風があって助かる。小一時間で樹林帯を抜け、岩場にとりかかる。鎖もところどころにかかっているが、シリアスに難しいところはない。ふり返ると登ってきた尾根や湯檜曽川対岸の山々が朝もやのなかで美しい。抜いたハイカーは4人、そのうち身のこなしが軽いソロの男性は「平標まで、じゃあ一緒です」とのことだったが、長いトレイルを無事にやり終えただろうか。下ってくるハイカーはいなかった。
■西黒尾根は「日本三大急登」のひとつに選ばれているらしい。その真偽はともかく、岩を相手に足の置き場・手のつかみ所を探しながら夢中になって登っているといつのまにか高度を上げており、精神的な疲労はむしろ少なかった。
■07:00ちょうどに谷川岳・トマの耳に着く。登山口からぴったり2時間。先着していたご夫婦に頼まれ写真を何枚か撮り、肩ノ小屋へ移動しザックを下ろして休憩する。この先歩く稜線を眺めながらトレイルミックスを口にして一服した。
【新潟・群馬県境尾根】
■ササ原のあいだを登降を繰り返しながら進んでゆく縦走路は、じつは幅が狭い。根っこのうえに土がかぶさっているためにトレイルのように見えるが、踏み込むと沈んだり・体が傾いたりする場所もある。両側ともササ原で高度感があるわけではないが、ところによっては谷側の傾斜がそれなりにあるので注意を要した。バランスがとりやすいからと左右の脚の間隔をあけて歩くクセがついているが、それができずに「平均台のように、一本のライン上を歩く」細いトレイルは地味に苦労した。
■「ここは悪いな、危ないな」と感じた場所が一箇所。大障子ノ頭からの下り、地図上でも「岩場、濡れていて滑りやすい」とあるが、岩の角が丸くて確実なスタンスを求めにくい。「無くても良い場所にあり、あっても良い場所には無い」法則にしたがってここには鎖がない。晴天が続いても濡れていることが多い地形のように見受けられ、通過には十分な注意が必要だと思う。GPSのログによれば30mほど進むのに6分かけている。
■登降の繰り返しで脚は着実にダメージを受けている。大障子ノ頭08:42から鞍部に下り、万太郎山まで200mちょっとの登りで脚がつる。ひざくらいの高さに足をかけ踏み込んで体を持ち上げた瞬間に、まいどお馴染みの左脚太ももの内側広筋に痛みが走った。伸ばしたりさすったりしながら5分ほどかけて手当てをする。つるのにも慣れてしまい、流行の漢方薬を用いなくても直せるようになってしまった。以降も再発はなかった。
■万太郎山への登りはキツい。標高1954mの万太郎山へ登ったあと1568mの毛渡乗越まで降り、1888mのエビス大黒に登って1784m地点までふたたび降り、最後に2026mの仙ノ倉山まで登り返すことを考えると、万太郎のあとも登りで600mちかくあるので気分も重い。西にむかってこの縦走路を歩く場合は、万太郎への登り~仙ノ倉が体力的な核心部になるだろう。
■09:27万太郎山に着く。3人パーティが2組、だったと思うが先着していた。ひと組は先行していた西向き、もうひと組は東向きのようだ。ザックを降ろし、谷川岳肩ノ小屋以来のまとまった休憩をとる。ふり返ってもこれから先を眺めても素晴らしい景色で、なるほど魅力的な山域だなあと思う。同時に、登山者を惹きつけるこの縦走路は中央分水嶺でもあり、天候の変化によって山行が大きな影響を受けることも多いだろう。
■天気についても書いておく。前々日、前日とも「山登りに向く」天気予報だったこの日、雲量は多いものの視界ははっきりしていてガスもなかった。ただ、大障子ノ頭あたりからだったと記憶するが、1時間以上小雨がパラついた。ごく弱い雨であり、雨具やレインカバーを取り出すまでもなく、むしろミストシャワーの中を歩くような雰囲気だったが、なるほどこの山域の天気予報は難しいなと身をもって体験した。
■万太郎山頂でトレイルミックスをほおばり一服し、毛渡乗越へむかって降りはじめる。山頂に先着していた3人パーティがわずかに先に降りはじめていたのだが、追いつくと一人転んでいる。詳細は省くが、この縦走路をやるには足りない部分があるパーティのように思え、追い抜きながら声をかけようか迷う。しかししっかり声をかけ指示を出しているリーダーがいたので、でしゃばった真似はぜずに通り過ぎた。
■400m降った毛渡乗越には10:10着。エビス大黒ノ頭と仙ノ倉山の高みを眺め泣きながら帰ろうかと思ったが、そうもいかずに気合を入れなおす。後ろをふりむくとショートパンツのランナーに追いかけられている様子なので、よしそれなら、仙ノ倉まで抜かれずに先着してやるぞと目標を設定する。馬鹿馬鹿しいが、体力も限界なのでなにかのモチベーションが必要だ。
■エビス大黒ノ頭までの標高差300mはこの山行でいちばん苦しかった。ボイスレコーダーに吹き込んだメモの声は今際の際みたいにとぎれとぎれになっているが、勝手にトレイルランナーと競争して(走ってはいない)無理しているのだから当然、そうもなるだろう。10:59、エビス大黒ノ頭を写真を撮っただけで通過する。100m降り、最後の250mを登り返す。ところがどうしたことか、無理をしすぎて限界を突破でもしたのか、足の運びが安定する。途中でひと息いれることもなく辛抱強く登り続け、11:40に仙ノ倉山山頂着。ランナーは5分ほどあとに登ってきた。
■仙ノ倉山のピークは多くのハイカーで賑わい、別世界だった。見渡せる平標山へのトレイルも木道が敷かれたたおやかなものに変化している。体力的な核心部をやり終えてほっとしながら、足先の異変に気づく。夢中で気づかなかったが左足の指先をどこかに打ちつけたらしく、上げかた下ろしかたによって痛む。登山靴なら避けることのできただろうトラブルだがサレワのランニングシューズを恨む気持ちはまったくない。自身の力量不足の結果だ。一服休憩ののち歩き出したが、もうそれまでのような歩き方はできない。ハイカー達の流れにのって木道を歩き、わずかに登って平標山到着は12:18。
■このエリアの塔ノ岳みたいな存在なのだろうか、平標山の広くないピークもお弁当を広げるハイカーでいっぱいだった。バスの時間に余裕があると思いこみ、座りこんでおにぎりを食べ、長々と一服する。
【エピローグ】
■下山は松手山経由か平標山山乃家経由、どちらが良いのかをたずねた地元の人らしい年配のご夫婦がいた。松手山経由で下りるものだとばかり思っていたが、観察しているとこのルートを選ぶハイカーは少なく、みな山乃家方向に降っていくので、不安になってたずねてみたのだ。どっちも時間的にはおんなじだよ、と返事をしながらご夫婦は松手山へのトレイルへ入っていく。しばらくしてから、どうみても平面距離的には短い松手山への道を選び下山を開始する。
■この道は悪かった。ひさしぶりに「階段の丸太を信用せずに」足を下ろさなければならない経験をした。人が少ないから整備がおろそかになっているのかその逆かは知らないが、道の悪さを知っていれば迷わず山乃家を経由したことだろう。痛むつま先で信用できない丸太の急階段の降りはかなりしんどかった。
■そしてなかなかご夫婦に追いつかない。ちょっと無理してピッチを上げてやっと視界に捕らえることができたのだが、足並みのそろったすばらしいスピードで花の種類などを確認しながらにぎやかにおしゃべりをして下っている。クラシカルでコンサバティブな高齢者ハイカーの服装と装備、ご婦人などはザックに蚊取り線香をぶら下げて勢いよく降っているのだから驚嘆する。追い抜くときに、道を教えてもらったお礼をして少し話したが、奥様が「あなた、走るんでしょ?」とうっすら嫌悪感をまじえたニュアンスで尋ねてくる。あわてて片足をあげ、いいえ走りませんよ、こういう靴を履いているのはですね、軽くて楽だからなんですよ、と縷々説明して嫌疑を晴らしておく。追い抜いた後もお二人の声は風に乗ってずっと聞こえていた。松手山13:18からの下り、続く急傾斜&階段でいよいよ脚が動かなくなる。国道の登山口までの1時間は、忍耐の二文字だった。
■14:12、国道17号に出る。バス停を確認してから水場で顔を洗って体をぬぐおうと思っていたが、バス停がみつからない。うろうろしていると、手洗い場からやってきた女性がやはり何かを探している。あの、バス停はどっちでしょう。わたしも探してるんですよ、あ、あっちですね!手洗い場で別々になったらしいお連れが「こっちこっち!」と叫んでいる。急ぎましょう、14時15分のバスが遅れているんですって、逃すと次は2時間後ですよ、という女性の話を聞きながら一緒に走って、「14時50分」と記憶していたバスの時刻が思い違いであることに気づかされた。バス停は国道に出て左にかなり歩いたところにある。
■40分ほどバスに揺られて越後湯沢駅14:52着。駅2階のトイレはスキー客の利用が多いからだろう、スペースに余裕のあるつくりなのでザックの中身をぜんぶ広げ、洗面台を往復しながら体を拭いて上から下まで着替えてしまう。新幹線の切符を確保してからコンコースで食事をし、「ぽんしゅ館」で日本酒を試飲した。お望みならエキナカに温泉まであるから公共交通機関利用のハイカーにはありがたい駅だ。

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装備・携行品

【その他】 サレワのトレランシューズ。テスラのタイツ、ユニクロのショートパンツ。全行程モンベルの速乾性長袖、ブラックダイヤモンドのハーフフィンガーグローブ、ペツルのヘルメット、モンベルのサングラス。ザックはロウアルパインの22リッターに、雨具・ロールペーパー・ヘッドランプ・スマホ・バッテリー充電器と予備電池・Ozmo Pocket・ココヘリ発信機・地図、トレイルミックス300g・カロリーメイト3パック・コンビニおにぎり2個、下山後の着替え一式。キャメルバックのハイドレーションに水2リッター(残量0.5L)。スタート時重量7kg。

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登った山

谷川岳

谷川岳

1,977m

万太郎山

万太郎山

1,954m

仙ノ倉山

仙ノ倉山

2,026m

平標山

平標山

1,984m

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