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秋の遠征その1 霧でも素敵な裏磐梯

会津磐梯山、櫛ヶ峰( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 裏磐梯山登山口を起点は、駐車場は裏磐梯スキー場の入り口前にある無料駐車場。だだっ広い空き地。ただし、トイレはない。よって今回は、裏磐梯ビジターセンターの斜め対面にある桧原湖桧原湖遊覧船乗り場の駐車場で野宿。綺麗なトイレあり。明け方、スキー場の駐車場へ移動。

この登山記録の行程

裏磐梯スキー場駐車場(06:00)・・・銅沼(あかぬま)(06:40)・・・八方台登山口・弘法清水 分岐(07:13)・・・お花畑・弘法清水分岐(07:58)・・・弘法清水(08:20)・・・会津磐梯山(1,816m)(08:44)(休憩~09:08)・・・弘法清水 (09:33)(休憩~10:01)・・・お花畑・猪苗代・渋谷・川上登山口分岐(10:06)・・・磐梯山本峰と櫛ヶ峰のコル(11:00)・・・櫛ヶ峰(1,636m)(11:17)・・・磐梯山本峰と櫛ヶ峰のコル(11:37)・・・裏磐梯スキー場駐車場(12:40)

コース

総距離
約12.8km
累積標高差
上り約1,478m
下り約1,478m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

【前日】
金曜日を休暇にして木曜日の夜から福島入りするつもりが、迷惑台風18号のおかげですっかり予定が狂ってしまった。やむなし、金曜日を完全移動日に変更してゆっくり福島へと向かう。台風は、温帯低気圧に名前を変えていたが、変わらずその勢力は強く、むしろ温帯低気圧になったため、広範囲に雨を呼び込んだ大荒れの天候になっている。
夕方、猪苗代町のスーパーで食材を買い込み、裏磐梯へと向かう。小雨が次第に強い雨に変わっていく。裏磐梯登山口の駐車場があるスキー場まで一気に行ってしまおうかとも思ったが、トイレがないので野宿にふさわしい場所がないかと探しながら車を走らせるが、ワイパーがフル回転するほどの激しい雨でハイビームにしても看板がよく見えない。どこをどう走っているかもよく分からなかったが、「無料駐車場」の文字をかろうじて見つけたので車を停めてみると、そこは五色沼の散策コースの起点 、裏磐梯ビジターセンターだった。五色沼は、大好きな場所で観光として何回も訪れているのでよく知っている。そう言えば、道を挟んだ反対側に桧原湖遊覧船乗り場があって立派なトイレもあったはずと、車をまわしてみる。広い駐車場に停まっている車はなく、電灯が点いた立派なトイレがあった。かくして今日の理想的なお宿が確定した。
横殴りの激しい雨をしのぐため、トイレの屋根の下でお湯を沸かし夕食をとる。少々、落ち着かないが、背に腹は代えられない。そのうち強風から車が左右に揺れるほどの暴風に天候が悪化したが、何とか屋根の下でしのぐことができたのはラッキーだった。

【当日(遠征1日目)】
4時に起床。雨風が激しくて、十分な眠りは確保できなかったが、長距離運転の疲れは取れている。薄暗くてよく見えないが、厚い雲があるものの心配していた雨は予報通り上がっていた。準備を整え磐梯スキー場を目指す。原湖桧原湖遊覧船乗り場からはさほど遠くなく、砂利道の細い林道を上がっていくと10分程度で到着する。スキー場手前の分岐で左に折れると駐車場というか巨大な空き地があったのでそこに車を停める。天候が不安定だったので、少し様子を見て6時に出発することにする。
磐梯スキー場の建物を左手に、ゲレンデを真っすぐに登っていく。少し登ったたところで振り返ってみると、桧原湖がよく見えた。森が遠くまで広がっていて裏磐梯の自然の豊かさが見て取れる。
更に登ると真っすぐに行く道と右に折れる分岐に出る。登りは右へと進み、途中で八方台登山ルートと合流し山頂を目指す。下山は反時計回りで裏磐梯の斜面を回り込むように歩き、今見えている真っすぐの道を使って戻ってくるルートとする。
ゲレンデも終わると、ようやく山歩きっぽくなる。「山歩きっぽく」と書いたのは、登山道というよりは、林の中の散策コースの表現が適した歩きやすい道が続くから。
「銅沼(あかぬま)」に到着。樹木の向こうにうっすらと池が見える。近づいてみると名前の由来の通り、湖畔が赤っぽい土で囲まれている。一方、水はエメラルドグリーン。霧がかかった山がバックにあり、何とも言えない不思議な風景を作り上げている。会津磐梯山は1,888年に大きな噴火活動があり、磐梯山頂北側が大きく山体崩壊を起こしたとのこと。今、眺めている裏磐梯の削られた荒々しい斜面やその下に広がる深い火口原の森はその時にできたものらしい。ちなみに、通常、噴火というとマグマをイメージするが、この時の山体崩壊は水蒸気爆発によるものだったとか。地形を変化させてしまうほどの水蒸気の圧力。地球規模のくしゃみは、簡単に山を半壊させてしまう。磐梯山は、かつて「いわはしやま」と読んでいたらしく「天に掛かる岩の梯子」を意味していたらしい。名前の由来から、昔はもっと鋭く天に届くような山容をしていたのかと、眺めながら想像を巡らせる。
銅沼を過ぎると、木の階段が出現する。散策モードも終わり、やっと本格的な登山がスタート。
「弘法清水1.6m」の道標。ここで八方台コースと合流。一般的には八方台から登ってくる人の方が多い。
上の方からガヤガヤと人の声が聞こえてきた。今日初めての登山者と遭遇か?登っていくと、沢山の方が休憩されていたところだった。挨拶をすると気さくな返事が返ってくる。全部で19名の大所帯。こちらも足を止めて会話をしてみると、なんと福井県から来たというではないか。遠く離れた東北の山で、一番最初に出会った人達が同じ望郷とはなんという偶然か。福井の山の会「くろゆり」の方々とのこと。「同じ福井です!」と言ったら向こうも驚かれたようで、会話が盛り上がる。不思議に「同郷」というだけで、初めての人でもとても身近に感じることができる。
道を譲ってもらい先を進む。百名山だけあって道がよく整備されているのもあるが、全体的に急斜面は少なくとても登りやすいコースだ。T字路になった分岐点に到着。左側に「お花畑200m」。左側に「弘法清水300m」とある。もっと円を描くようにつながっているので、どちらに行っても弘法清水にはたどり着くが、一旦左のお花畑を見てから戻ってきて看板通りに右へと進み弘法清水を目指す。ちなみにお花畑では、季節的に花はなかったが、とても素敵な場所でシーズンであれば、きっとあちこちに多種の花が咲き誇るに違いない。
弘法清水に到着。小さな釣り鐘があったので、記念に鳴らしてみる。近くには水場があり、パイプから水が勢いよく流れだしていた。弘法清水の由来だろうか。口に含んでみると冷たくてとても美味しかった。
山小屋というか売店と言うか、弘法清水には2つの小屋があった。会津磐梯山にはトイレがないため、携帯トイレが販売されているとガイド情報にあった。試しに聞くと、1つ500円。ただし、福島県からの補助金でその値段となっているため、使わず記念?として持ち帰る場合は補助の対象から外れるので販売できないとのこと。麓の方では800円で販売しているらしいのでどうしても欲しい方は、そちらで購入をしてくださいとのことだった。
山頂を目指す。弘法清水からは残り500m。最後の本格的な登り。たった500mかと思ったが、意外に遠く感じた。ごつごつした岩山が見えてきたらもうゴール。てっぺんには小さな祠が建っていた。周囲は変わらず真っ白な世界。なんとか一瞬でも晴れないかと待ってみるが変化はない。近くで無線愛好家の方が遠くの方と交信をしていた。耳を澄ませてみると、呼びかけに対して那須岳からの応答があった。頂から10m程見下ろしたところに小さな避難小屋が建っていた。その横に会津磐梯山と書かれた大きな看板がある。看板の向こうが表磐梯側になる。少し前までは茶色っぽい古い看板だったと思ったが、建て替えたのか真新しく黄土色で見やすいものになっていた。
看板の横にあった道を降りてその真下に回ってみる。数m降りたところに大きな岩があり、なんでも鈴木さんという方(いったい誰?)が名付けたという「リオデジャネ岩」。磐梯町が一望できる場所で、両手を広げて立つとまるでリオデジャネイロのコルコバードの丘にある白いキリスト像の風景にシンクロするとか。「リオデジャネイロ岩」ではなくあえて止めているのは「リオデじゃね?!岩」と掛けているのかな?と想像すると名付けのセンスが感じられた。すっかり雲の中で何も見えないが、とりあえず真似てみる。笑。
弘法清水へ戻り、弘法清水小屋で休憩する。目的は入口のメニューにあった「なめこ汁」。ご夫婦らしいお二人が運営されていて、注文すると笑顔で答えてくれた。温かくてダシのきいた汁を「ゴクゴク」。なめこが「ツルン」とのど越し良く飛び込んでくる。肌寒いのもあって最高に美味しかった。「地物ですか?」と聞くと残念ながら福島第一発電所の事故以来、地元のキノコ類には規制がかかったままとのこと。いまだに事故の影響がこのような形で残っているのだと改めて認識する。そもそも自分が本格的に山に向き合おうと思った切っ掛けとなった事故。今こうして福島の山に立っていると、当時の様々な感情が蘇ってくる。
小屋のご主人がとても気さくな方で、いろんな話を聞かせて頂いた。また、宇都宮から来られたソロの女性も加わり会話が盛り上がる。居心地が良くてつい長居をしてしまったが、ゆっくりもしていられないのでお別れを言う。
弘法清水から降りは、川上登山口コース方面への道を選択する。このコースは、裏磐梯登山口コースに周遊して戻ることができる他、猪苗代、渋谷へのコースにもつながっている。裏磐梯観光協会のガイドによるとガレ場や迷いやすい箇所があるため注意とされていた。天候がよくないので危険かな?とも思ったが、行ってみたい場所があったので降ってみることにした。降ってみると、警戒していたような危険な場所はなく、要所に赤と白のマーキングがあったため注意さえしていれば迷うような場所もなかった。
磐梯山本峰を過ぎるとガレ場から樹林帯へと景色が移る。斜面も急さを増すため木の階段と手すりが設置されていた。真っすぐに延びた階段だったので、勢いよく降ってしまったが、かなり降った所で「行きたかった場所」をとうに過ぎていることに気が付く。行きたかった場所とは、会津磐梯山の本峰の横に聳えているもう一つの象徴的な頂、櫛ヶ峰。地図を確認すると、手すりの前にあったコルの部分から分岐するのが正しかったようだ。降ってきた急な斜面を見上げ一瞬迷うが、「初心貫徹!」と登り返して櫛ヶ峰を目指す。
息を切らせながらコルまで戻る。見落としたのも仕方ない。どこを見ても分岐点らしいものはなかった。コルから延びている尾根を目印に登っていく。尾根と言っても左側は大きく崩れていて崖上になっている。左側もそれなりに勾配がきつい。足場はザレていて、しかも強風を遮るものがないため、馴れていないと姿勢を保つのもなかなか厳しい。
鋭く尖ったピークを越えればと思ったが、それは偽ピークで本物は少し奥へと進んだところにあった。標識があるかと期待したが、それらしいものはなく、代わりに地震観測用の計測器が設置されていた。
風がビュービューと冷たく吹き荒れていたのでピークだけ踏んで撤収とする。ザレた斜面に足を置くと自重でズルっとなるため慎重に降っていく。
足元に集中していたので、一瞬気が付くのが遅れたが、顔を上げると劇場のカーテンが開いていくかのように霧が「サーッ」と引いていった。会津磐梯山の本峰とそこから広がる裾野までの大パノラマ。「来たー!」、大興奮。手前には沼ノ平。麓の猪苗代町方面までよく見える。夢中で写真を撮ったが、パノラマのスケールが大きすぎて一枚の写真にはこの感動は入りきらなかった。
元のコースに戻り、もう一度手すりのある急斜面を降っていく。降りきると一旦水平移動に入る。水蒸気爆発で崩れた時にできたカール状の空間で濃い緑が広がっている。雪解け時には多量の水が流れるのだろうか、ゴロゴロと丸い大きな石が並んだ賽の河原のような場所もあった。振り返ると会津磐梯山の斜面が屏風のように周囲を囲んでいる。どことなく大好きな伯耆大山の南壁に似ていると思った。
スキー場の分岐点に到着し周遊の輪を閉じ、スキー場のゲストハウス脇を抜けて車へと戻る。
会津磐梯山の裏側、いわゆる裏磐梯は想像していた以上に変化に富んで自然豊かな良いコースだった。今度は、晴れた日に表磐梯からこの山を楽しみたいものだ。

五色沼を散策した後、次の目的地、安達太良山へと向かう。

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みんなのコメント

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  • 荒々しい斜面も、迎え入れてくれる感がいいですね。

  • 櫛ヶ峰は降ってきてよく見たら×が書いてあったね。登りの時は霧で気が付かなかったけど。それほど危険でもなかったけど。

登った山

磐梯山

磐梯山

1,816m

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