行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
西丹沢ビジターセンター(08:40)・・・ゴーラ沢出合(09:25)[休憩 10分]・・・展望園地(10:25)[休憩 5分]・・・石棚山稜分岐(11:23)・・・檜洞丸(11:35)[休憩 40分]・・・金山谷乗越(13:05)・・・臼ヶ岳(14:15)[休憩 20分]・・・蛭ヶ岳(15:45)
【2日目】
蛭ヶ岳(07:05)・・・棚沢ノ頭(08:00)[休憩 15分]・・・丹沢山(09:05)[休憩 25分]・・・塔ノ岳(10:45)[休憩 20分]・・・金冷シ(11:15)・・・二俣分岐(11:40)[休憩 5分]・・・鍋割山(12:10)[休憩 20分]・・・後沢乗越(13:05)[休憩 5分]・・・二俣(13:45)・・・大倉(14:55)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
日曜出勤の代休が金曜日で、せっかくもらった3連休なので泊まりでやりたいと思い、丹沢の檜洞丸~蛭が岳~丹沢山~塔ノ岳の縦走をやってみることにした。
このルートのうち蛭が岳~丹沢山間は日帰りでやったことがあり檜洞丸~蛭が岳及び丹沢山~塔ノ岳間は未踏ルートになっていた。秋にやってみようかと思っていたが小屋が混雑しているのは目に見えているので、めったにない平日登山のチャンスを生かすことにした。ルートは塔ノ岳から回るか檜洞丸から回るか迷ったが土曜日の予報が微妙だったのでやりにくい檜洞丸~蛭が岳のルートを優先することにした。この回り方だと富士山を背にして歩くことになるので富士山フリークにはお勧めできないが、丹沢山から回った際に蛭が岳を見た時に稜線上の一つのピークにしか見えなかった丹沢最高峰の蛭が岳のボリューム感を感じたくて檜洞丸~蛭が岳のルートを優先した。
アプローチは小田急線と富士急バスを利用してアプローチした。普段通勤で使う駅からは始発で行っても平日ダイヤだと新松田からのバスに間に合わず西丹沢に到着するのが9時半過ぎになってしまう。自転車で10分程度程度の所に違う路線の駅があり、その駅からなら始発電車を利用すれば新宿に5時半前に着くので自宅を5時前に出発。これでも西丹沢には8時半頃なのでとても効率が悪い。自宅から3時間半かけて移動すれば、順調に行けば白馬、乗鞍まで到着してしまうし、湯沢なら2時間見ておけば十分なので正直バカバカしいが仕方ない。一方で自宅から最も時間的に早い登山口も100名山の中から選ぶと丹沢の塩水橋で圏央道相模原ICが開通したことで1時間半かからずに到着したことがあるので非常に皮肉な話だと思う。
西丹沢からは本当は石棚山稜を歩きたいところなのだが、登山届の提出等で出発は遅くなるので最短で檜洞丸に到着するつつじ新道を登った。このルートは去年シロヤシオが咲くころにやっているが去年は不発の年で曇りがちだったこともあり展望も乏しくルートとしては面白味はないが、出発が9時近くということで仕方ないところ。
檜洞丸には昼頃到着。ここの山頂は犬越路方面に2分位下った所が展望がよく、富士山をはじめ南アルプス、八ヶ岳などが望めきれいだった。檜洞丸からは標高差300メートルほど一気に下る。丹沢らしくぬかるんでいて、かなり歩きにくかった。下り切ると明るい尾根道をいくつかのピークを越えていく。奥多摩にありがちな巻き道はないので忠実にピークを踏んでいく感じ。檜洞丸から2時間弱で臼が岳に到着。ここから望む蛭が岳はなかなか立派な山容だった。これが見たかったのでこのルートをとったが、大した苦労ではないが、苦労の甲斐があった。臼が岳をゆるやかに下り蛭が岳の急登を300メートルほど登り返す。この急登は苗場の祓川ルートの山頂直下の急登に似た感じだが、1時間弱で蛭が岳に15時半ころ到着。蛭が岳山頂からは富士山が望めたが、春の霞のせいかぼんやりしていた。
本日の行程はここで終了として蛭が岳山荘に向かった。予約はしていなかったがシーズンオフの平日であり、泊まることは問題ないと思っていた。小屋の主人に今晩泊まりたいと話を申し入れたところ、予約はどうしたと尋ねられ、どういうつもりでここまで来たのかと尋ねられた。自分は普段から直前の天気予報を見て入山するかどうか決め、泊まりの場合はルートも天候によって変えることがある。このルートも表尾根から西丹沢に抜けた方が展望がいい上、効率的なことはわかっていたが、その場合みやま山荘泊まりになると思っていた。天候の具合でやりにくい方を優先し、蛭が岳山荘を宿泊場所にしただけである。木曜日の帰宅は20時頃で、普段から昼は30分程度しか確保できない。そのような事情から20時までに予約の電話がほしいと言われても対応できない。通常泊まりの場合はほとんどテント泊で営業小屋に泊まることはほとんどないし、営業小屋に泊まる場合でも食事は持参するのがあたり前だと思っているので、登山歴20年くらいになるが小屋で食事を提供してもらったことは1度もない。単独行で行くのに予約を入れたこともないが「どういうつもりでここまで来たんだ」とまで言われたことはない。普段から天候によっては入山しないことも有力な選択肢としており、今回のプランもそこまで言われるほど非常識なものとは思えず、シーズンオフの平日に食事なしで予約なしに16時前に来るのはそこまで非常識なことなのかと予想もしない対応に絶句してしまった。あえて言うなら丹沢はテント泊が禁止されているからということになるが、昨晩ルートを決めたので予約はしていないとだけ告げた。当日は自分も含め8名だけの来訪だったので正直その対応にはビックリした。小屋の主人は日帰りで大倉に抜けようと入山してきたと思ったようだったが、そんな無茶なことは考えも及ばない自分にとっては小屋の負担を考えろと言っているように感じた。
剣岳の早月小屋や雲取山荘等予約を呼び掛けている山小屋はあるし、登山者を管理する側からいえば予約はしてもらった方がいいのはわかっている。ただ前述の小屋はいずれもテント泊が可能で宿泊にあたり選択肢がある。山の時間軸と郷の時間軸とは大きく違っており郷の暮らしの都合からいえば山小屋の都合に合わせることは難しい。繁忙期の週末なら理解できるが、シーズンオフの平日まで郷の暮らしを山の時間軸に合わせることまで要求しているのであればテント泊を禁止する丹沢で泊まろうとは思わない。このプランは予約を呼び掛けている小屋は週末は忙しかろうと思い、週末出勤の代休を利用して実行したもので、そこまで山小屋に負担をかけるものとは思えない。小屋の主人の言葉はこちらの誤解だったとは思うが小屋の案内以降はする話もないので話はしなかった。
水は2リットル1200円と去年やった剣岳の早月小屋よりも2割高かった。小屋からの日没はきれいで、時期によってはダイヤモンド富士が日没時に見られる(東京23区では練馬区役所の展望台から11/21と1/21に見ることが出来、https://www.city.nerima.tokyo.jp/shisetsu/ku/ku/tenbo.html荒川、多摩川の河川敷や橋の上からも見ることが出来ることからそれ程珍しいものだとは思えないが・・・)とのことだったが、ダイヤモンド富士は正月の日の出の際に竜ヶ岳で見ており、わざわざ泊まらなくても見れるので、小屋到着時のやりとりもあって陳腐に聞こえた。また日の出、日の入りの情報提供はあったが、最も気になる天気予報に関する情報提供はなかった。テレビは備え付けてあったが小屋の主人は自分はテレビは見ないと言っており、電源を入れることはなく音楽を流していた。他の宿泊客に小屋で提供された食事を見たが、ご飯と作り置きの総菜が5、6品置いてありそれを自由にとって食べるスタイルだったが、微妙な感じ。小屋の主人は宿泊客は放置して常連客が持ち込んだすき焼き鍋で鍋奉行。翌朝は大した世話にはなっていないが「お世話になりました」とあいさつはしたが返事はなかった。山小屋にアメニティもおもてなしも求めてはいないが、丹沢で泊まるなら食事にも定評があり、設備もきれいで、料金も安いみやま山荘の方がいいように思った。
翌日は朝からガスっていた。出発を遅らせれば多少よくなるような気もしたが7時頃には小屋を出た。丹沢山に向かう稜線では霧氷がついていた。天候の好転を期待して意識的にゆっくり歩を進め、途中から少しずつ天候も回復しブロッケンも見れた。丹沢山に向かう途上では塔ノ岳への稜線も望める程度に天候は回復してきて、丹沢山では富士山も頭を雲の上に出していた。丹沢山から塔ノ岳への稜線も明るい稜線で天候の回復もあってところどころ富士山も望め、反対側には大山も望めたがすっきり晴れ渡るということはなかった。塔ノ岳に到着すると霧で、展望はなかったが12月にやっていることから山頂での展望は初めからどうでもよかった。塔ノ岳から丹沢山の稜線は戸沢からなら日帰りルートなので今後も機会はあると思う。
塔ノ岳からは鍋割山稜を下山した。樹間からは歩いてきた稜線が望め、反対側には真鶴半島もうっすら見えた。鍋割山では名物の鍋割うどんは盛況だった。うどんは1500円とお高いが、蛭が岳山荘で小屋の主人が常連さんと話をしているのを耳にした話によると歩荷の「なんとか」さん(丹沢では知らない人はモグリだそうだが、自分は知らないし耳にはしたが記憶には残っていない)はやりたくてやっているわけではないとの趣旨の話をしているとのこと。地形的にヘリでの荷揚げは難しいのはわかるが、そんな負担をさせてまでうどんを欲しがる発想は自分にはないのであっさりパス。鍋割山では天候はかなり回復し、富士山もきれいだった。鍋割山からは二股を経由し長い林道下り大倉へ下山。大倉にある戸川公園では早咲きの河津桜が満開だった。なお今回のルート上に積雪はなかった。
ついでなのでビジターセンターに寄ってみた。以前来た時に何のために作ったのかよくわからなかった三の塔の休憩所が紹介されていた。悪天候や落雷に備えるためとあったが、なぜ避難小屋ではないのかよくは分からなかったが宿泊は禁止とのこと。
以前から丹沢は自分が訪れるほかの山域とは異質な感じがしていたが、今回までその理由がよくわからなかった。今回泊まりで来てみて感じたのは一言でいうと丹沢は「都会」なのだと思った。かなりの予算を使って奥多摩以上に手を入れた登山道、車両通行止めの関係者のみが利用する舗装された林道、事故の際の責任問題のために予算措置と規制を進める行政、山中での物価や会員制クラブのような山小屋での塩対応と端々に都会の論理を感じた。また、水場の少なさやテント泊禁止など窮屈感がある。
少々しょっぱい話が多くなったが、あまり手垢が入っていない山域に非日常性を感じ、山歩きには非日常性を求める自分にとっては通勤電車でのアプローチと相まって非日常性を感じにくい山域だと思った。ずっと丹沢は少しあか抜けない田舎を壊していない奥多摩と同じイメージでいたが、それは自分の誤解で目指しているのは高尾であるような気がした。高尾は自分にとっては山で酒を飲むために来るところで池袋や新宿、渋谷と変わらない。自宅から3時間半かけて山の中の「都会」に来ているのだから違和感を感じるのは当然かもしれないと感じた。