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最後の雪景色と春の苦味フキノトウ 石尊山周遊

石尊山、金山岳( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 石尊山には男坂コースと女坂コースがある。女坂コースの登山口は車道に隣接していて看板が出ていいる。駐車場は女坂登山口の手前(大雑把な表現ですが、海側に向かって高萩方面に100m程降った所)の車道脇に5台ほど縦列駐車可能なスペースがあったので利用させて頂く。

この登山記録の行程

駐車場(08:24)・・・男坂登山口(08:31)・・・西明寺(08:40)・・・石尊山(09:01)・・・金山岳分岐(09:19)・・・金山岳(09:22)・・・十里上峠・・・水力発電所(10:23)・・・女坂登山口(11:10)・・・石尊山(11:43)(昼食~12:10)・・・金山岳分岐・・・金山岳(12:15)・・・駐車場(12:48)

コース

総距離
約14.0km
累積標高差
上り約1,291m
下り約1,288m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

花粉症の薬をしこたま飲みこんで山へと向かう。
目的地は北茨城。昨晩、スマホで「急登」のキーワードで検索した中から、よさげな縦走路の写真が目に止ったので目的地に決めた。石尊山(せきそんさん)と言う山。標高は標高386mしかないが、急登を楽しみつつ周遊もできそうだ。
ちゃんとした駐車場が見当たらず、車を停めるのに時間を要してしまったが、女坂登山口から100m程手前にあった車道脇の空きスペースに駐車をしてスタート。
大変失礼ながら簡単な情報収集しかしていないので、この時点では石尊山の読み方さえ知らない。ぼんやりと女坂と男坂のルートがある程度の知識で歩き出す。
最初に目に入ったのが、女坂ルートの登山口。MAPがあったので、山の配置と全ルートを確認して頭に入れる。
まずは、「急登」でヒットした男坂の登山口へと向かう。距離はさほど離れてはおらず、村の間を抜けて進むと直ぐに到着した。
うっそうとした森の入り口に立った感じ。入っていくと、小さな球状の黄色い花がいっぱい咲いていた。ミツマタだ。まだ全体的に白っぽいが、ふんわりと森の中を妖精が飛び交うように咲くミツマタはとてもロマンティックだ。
西明寺を過ぎると、いよいよ急登モードに突入まっすぐに登山道が上に延びている。低山ながらそこそこ楽しい。トレーニングを兼ねて、意図的に歩幅を広げて脚力だけで登っていく。荒い呼吸音を聞きながら、汗を拭い一心不乱。ランナーズハイのような感覚で、徐々にエンジンがかかり、このまま何千mも空に向かって身体を押し上げたくなる。
登りきると、昨晩の戻り寒波の影響であちこちが白くなっていた。「雪景色だ!」という感嘆で「うひゃー」と変な大声をあげたが、間の悪いことに目の前に登山者が一人いた。たまにある「登山あるある」の恥ずかしいシチュエーションの一つだ。
石尊山の山頂に到着。登りきった正面には、小さな祠が設置されていた。振り返ると、北茨城からいわき方面にかけて続く海岸線がくっきり見えていた。空と海が青くどこまでも広がっている。
山頂では写真を撮るだけにして、そのまま次の目的地へと足を進める。緩やかな縦走路でとても歩きやすい。両脇の樹々が雪で白くなっている。歩いていると太陽の熱を浴びて「パラパラ」と氷の塊が上の方から音を立てて落ちてくる。今年は雪景色をあまり堪能できていなかったので、思わぬ戻り寒波のプレゼントに大感激だ。
金山岳分岐で縦走路から一旦離れて、金山岳へと向かう。とは言っても距離はなくものの数分で着いてしまう。
折り返そうとした時に、一人の登山者がやってきた。挨拶を交わして少し話をしてみると、なんと金沢に住んでいたことがあるとか。しばし、金沢近辺の話題で盛り上がった。石尊山にはよく来られてようで、鉄塔の手前にあった階段も最近仲間の方々と整備されたのだとか。日頃、こうやって安心して山歩きできるのも、そのような方々のお陰だと大変有難く思う。
「よろしかったら十里上峠の手前までお送りしましょうか?」と声をかけて頂いた。もちろん、自由気ままな山歩きなのでガイドは必要なかったが、もう少しお話をお聞きしたかったので、「ぜひ」にとお願いをする。先頭を歩いて頂き、移動しながら山の話をする。山を愛する人の話は聞いていて面白い。
峠の手前でお礼を伝えて、分かれる。別れ際、「峠はもうそこですよ」との言葉通り、すぐに十里上峠に着いた。
峠から下山開始。古道だろうか、林道よりは狭く登山道よりはしっかりした道が続いていた。峠付近の雪景色が一番綺麗だったが、少し下るとすっかり溶けて春山に戻った。歩いている間に季節が進んだよう。
突然、山には似つかわしくない建造物が目に入った。策に囲まれた水路がある。近寄って看板を見てなるほどと思う。山の高低差を利用した水路式発電所施設だ。それにしても、山の上とは思えない豊富な水量に驚く。この小さな山にこれだけの保水力があるとは思えないが、一体どこから水を運んでいるのだろうか。
ここから先は林道が延びていたが、斜面をまっすぐに延びている導水路の横が歩けそうだったので、断然そちらの方が面白いだろうと見学がてらに導水路の配管に沿って歩く。点検のため、おそらく下まで途切れることなく歩けるだろう。奥美濃のトガスでも冬に導水路に沿って歩いたのを思い出す。もっともあの時は比べものにならないくらいの急斜面で、雪が崩れて危険極まりなかったが。。。
ふと足元に目をやると、小さいフキノトウがいっぱい群生していた。しゃがんで一番若そうな芽をつまみ、おもむろに口に入れる。むしゃむしゃ。途端に口の中いっぱいに独特の香りとともに春の苦みが広がる。フキノトウと言えば、フキノトウ味噌が大好きだが、新鮮なうちに葉を刻んで、温かいご飯に振りかけるだけでも十分に美味しい通な食べ方だ。また一つ、春を迎えた気分になった。
真っすぐな導水路の脇はとても歩きやすく、滅多には見られない光景なのでマニアにはきっとたまらないだろうと思う。暫くはなだらかな斜面が続くが、ある場所からは一気に急こう配となり配管が急降下している。その先には発電所と思われる建物が見えた。後で調べて分かったが、石岡第一発電所とのこと。HPの解説によると「石岡第一発電所施設は、日立鉱山の電力需要の増加に対応するために久原鉱業所日立鉱山工作課長小平浪平及び同課技士宮長平作を中心として建設が進められた水路式発電所施設で、明治44年10月に竣工した。近代日本有数の銅山として知られる日立鉱山を代表する施設の一つとして、産業技術史上、高い価値があり、また、施設全般にわたって、鉄筋コンクリート技術を用いたわが国で最初の発電所施設である。とりわけ本館は、わが国に現存する最古級の鉄筋コンクリート造建築物として貴重である。」とのこと。やっぱりマニア向けの場所だ。自分もマニア程ではないが、かなり興味が惹かれた。
(引用「https://www.chiikinogennki.soumu.go.jp/furusato/digital/detail/id/kyo/3_691」)
林道に合流。村を抜けて、来る途中に車で通った車道まで出てきた。
見上げると、歩いてきた山々がよく見えた。
駐車した場所まで戻ってきたが、全然、歩き足らないので、そのまま車を通り過ぎ、気になっていた女坂コースに入ってみる。女とつくだけあって、男坂コース程急な斜面はなかったが、なんとなんと、ここはかなりお勧めのコースではないか。森を抜けると展望が開け、真正面に広々とした太平洋が見渡せた。日立方面からいわき方面まで海岸線が綺麗に見えている。絶景なりだ。帰らずに足を延ばしてきて正解だった。:)
更にもうひとつ良かったことが。。。展望台のようなところで、地元の方々と思われる登山者の集団にであった。会話をしていたら、「少し上の場所にタンコウバイが咲いているよ」と教えてもらった。嬉しくなって駆け上がると確かに黄色い可愛らしい花がいっぱい咲いていた。いつもならマンサクもよく見かける頃なのに、今年はまだ一本も見ていない。関東では珍しいのだろうか。植生の違いと言えば、何人かの人にイワウチワの名所を教えて頂いた。でも、自分の感覚では、福井や滋賀の近郊ではイワウチワの群生地はあちこちにあって特段珍しいものではない。ひょっとしてイワウチワもこちらでは珍しいのだろうか。
二回目の石尊山に到着。程よい時間になったのでお昼を食べようと、カップラーメンを取り出し、お湯を沸かそうとしたところガスがないことに気が付く。そういえば新しいのを補充しようと準備していた最中だった。山頂でのラーメンを楽しみにしていたのにショックが大きい。ただ、非常食は常に持ち歩いているので、スペックダウンはしたものの、お腹を満たすことはできた。
食事を終えて、金山岳方面へ向かう。鉄塔の手前で、金山岳で出会った方がお仲間と苦労して設置されたという階段を数えてみた。全部で66段。木を切り出して作ったものだが、本当に丁寧に作られている。
金山岳からは、女坂コースの登山口まで延びている登山道があるので、それを使って下山する。
「急登」のキーワードでたまたま見つけてやってきた山だったが、思わぬ雪景色と春の花、そして春の苦み(味)に出会い、とても充実した一日だった。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • みつまた、見てみたいなぁ

  • きれいだよ。
    ちなみに、藤原岳の表参道の入り口に一本咲いてるけどね。いつも。

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