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夏の男塾 男体山を巡る

男体山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビに「二荒山神社中宮祠」をセット。いろは坂方面から行くと、神社を通り過ぎてすぐの道を右折すると入り口に鳥居があって、鳥居をくぐると登山者専用の駐車場(40台程度、無料)がある。綺麗なトイレあり。

この登山記録の行程

駐車場(04:55)・・・二荒山神社(受付)(05:59)・・・四合目(06:43)・・・九合目(07:51)・・・山頂(08:07)(休憩~09:01)・・・志津避難小屋(10:15)・・・志津乗越(10:20)・・・三本松(11:52)・・・龍頭の滝(12:24)・・・(中禅寺湖の湖畔で昼食)・・・駐車場(13:39)

コース

総距離
約21.6km
累積標高差
上り約1,386m
下り約1,385m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

異常に長かった今年の梅雨。それもいよいよ終りが見えてきた。土曜日の早朝、窓の外に広がる青空を見てそう思った。
午前中に荷物を整えて、午後から移動開始。目指すは日光、男体山。今年の冬、中禅寺湖を挟んで男体山の反対側に位置する社山から半月山までを縦走した際、湖に浮かぶ巨大な島のような男体山を眺めながら、冬とは真逆のシーズンに男体山へ登り、向こう側から社山を見てみたいものだと考えていた。きっと中禅寺湖の青さに、山の緑が映えて美しいはずだ。
男体山は、日光連山を代表する山で標高2486m。云わずと知れた日本百名山の一つでもある。成層火山らしい整った円錐形をしていて、遠くからでも一目で識別ができる。筑波山に代表されるように、日本では双を成す山に男体山と女体山と名付けることが多いが、そういう意味では、日光の男体山は男体山の総本山と呼ぶべきではと、昔から勝手に思っていた。面白いことに日光の男体山は、女峰山と双を成すだけではなく、大真名子山、小真名子山、太郎山と子供を持った火山一家とされている。山岳信仰もあって実に興味深い山だ。
夕方に到着して、観光客もまばらになった中禅寺湖の湖畔でまったりとする。
明日の情報を仕入れておこうと、登山口となる二荒山神社へ行く。男体山は二荒山(ふたらさん)とも呼ばれ、正面には二荒山神社が配置されている。登山道はその敷地内を通ることから、神社に対して登山申請と入山料を支払う仕組みとなっている。
受付は神社の門をくぐって直ぐのところにあった。
6時受付開始と書かれていたので、受付の人に「それ以前には入山できないのですか?」と聞くと、「開門前はダメです」ときつい口調で返ってきた。そんなつもりで聞いたわけではないが、今年の残雪期にも無断で入山した登山者が遭難して救助事案が発生したばかり。きっと不届きものが多いのかも知れない。

夕日が沈むとともに、明日に備えて就寝。同時に大粒の雨が降り出した。梅雨明け前の最後の意地と言わんばかりに、結局、一晩中激しく降り続いた。暑くて不要だろうと寝袋を置いてきたのが完全なる失敗で、寒くて何度か目を覚ます羽目になった。
4時に起床。次第に明るくなる空に徐々に男体山の雄姿が浮かび上がってくる。邪魔な雲はない。絶好の登山日和となる予感がする。
軽く食事をとって、二荒山神社の前で開門を待つ。
6時少し前、フライング気味に門が開き「受付を開始します」との声が響く。既に待機していた20人程の登山者が受付に群がる。自分は昨晩のうちに登山届けに記入を済ませておいたので、あとは受付でお金を支払うだけ。
料金1,000円。通常は500円と聞いているが、今は7月31日~8月7日まで行われている男体山登拝講社大祭期間中なので、大人1,000円になっている。その代わり真っ白なお守りを頂いた。登山の安全祈願だそうだ。ちなみに例年、男体山登拝講社大祭には、大勢の登山者が集まり、深夜登山で日の出を拝む大イベントが行われる。炊き出しなどもあって豪勢らしいが、残念なことに今年は新型コロナウイルスの影響で中止となったらしい。
ふと、受付のおじさんに「熊でるよ。熊鈴ちゃんと持ってますか?」と聞かれた。持っていないとダメなのか?と一瞬戸惑い、思わず「大丈夫です。よく遭遇していますから」と変な答えを返してしまった。怪訝な顔をしながら「いろは坂でもいっぱい出ているから気を付けて」とのこと。きっと素直じゃない登山者と思われただろうか。

境内の写真を撮っているうちに、何人かの登山者とトレイルランナーが駆け上がっていった。そんなに慌てなくとも山は逃げないのに。遅れて自分もスタートを切る。
正面右手奥にある小さな登拝門をくぐると、男体山の登山開始となる。石畳の階段が斜面の上の方まで延びている。山岳信仰の山はいっぱいあるが、登拝門による厳かなスタートを切る山も珍しい。門をくぐった瞬間、結界を超えたように空気が変わった感じがした。
石畳の階段はいわば練習のようなもの。一合目から本格的な登山が始まる。男体山は高低差が約1,200mあって、登拝門からほぼほぼ真っすぐに登っていくコースとなっている。直登大好物の自分にはよだれが止まらない。変態の自覚あり。
笹が敷き詰められた森の中を登っていく。朝日の木漏れ日が緑の絨毯を照らしている。朝の静かな時間帯だ。
一旦、三合目で舗装された林道に合流し、再び四合目から登山道へと戻る。四合目からは斜度が増してガレ場が多くなってくる。時々、振り返ると樹々の間から中禅寺湖の湖面が見えた。早く森林限界を突破したいものだ。
八合目を超えると、植生が低い樹林帯へと変化する。周囲の視界が開け、空が近づいてくる。九合目でついに森林限界突破。地面が赤茶けた色になり、改めて登っている山が火山だと再認識する。
一旦立ち止まって呼吸を整える。振り返ると、山に囲まれた深い紺色をした中禅寺湖が見えた。山々の向こうは一面の雲海。その白さが山々の緑と中禅寺湖の蒼さを更に際立たせている。
正面に目を戻すと、山頂がもう目前に見えていた。あと少しだ。

頂上にはニ荒山神社の奥宮や避難小屋が建っている。ニ荒山神社の奥宮でお参りをして、最初に目に飛び込んできた大きな像にご挨拶をする。二荒山大神を祀った像。風景的に伊吹山を思い出す。凛々しい顔立ちをした二荒山大神を写真に収め、今度は奥宮の右側へと進む。途中に釣鐘があり、まだ人も少ないので大きく鳴らしてみようかとも思ったが、とりあえずスルー。
男体山に登ってきた目的の一つ、山頂にある天に向かって聳える大刀に向かって進む。青空バックに写真に収めたいと狙ってきたが、さっきまで青空だったのに刀の方はモクモクとガスっている。正確に言うと、二荒山大神の像の方はいまだ青空なのに僅か100m程の距離で文字通り暗雲(暗くはないが)が分かれている。日光市側の斜面からどんどん雲が競り上がってくるせいだ。
暫く待っても晴れる様子はなかったので、僅かな雲の切れ間を狙って写真撮影。ちなみに、刀が設置されている場所が、男体山の最高地点(標高2,486m)となる。

一旦、二荒山大神の像まで戻り、そのまま真っすぐ男体山神社へと行ってみる。少し下ったところにあるので見逃しがちだが、絶景ポイントとしてここは外せない。中禅寺湖と社山はもちろんのこと、戦場ヶ原や日光白根山など周辺が綺麗に一望できる。
日光白根山方面の山際に、夏の入道雲が「モクモク」と柱のように何本も立ち昇っているのが見えた。あらためて夏が始まったのだと感じた。
2,000mの陽射しはギラつくように刺してくるが、風が爽やかで心地よい。眼下の中禅寺湖の上に雲がふんわりと浮かんでいる。コーヒーゼリーの上に載せたクリームのようだと思った。不思議な風景で見ていて飽きない。
岩に腰を掛けて、ゆっくり雲の変化を楽しむ。いつもは弾丸スタイルなので休憩はほとんどしないが、山頂でこんなにゆっくりしたのは本当に久しぶりだ。1時間があっという間に過ぎてしまった。さすがは百名山。ずっと留まっていたい、そんな気分にさせる山だ。

登ってきた道を折り返そうかとも思ったが、まだまだ歩き足りない。出会った方に聞くと、裏側にも下山できるとのこと。気ままに降りてみるのもいいかと思い、そちらのコースを使うことにした。裏側のルートは、刀があった場所から尾根沿いに降っていく。正面のルートとは対照的で、森の中を蛇行するように降っていく。途中、大真名子山や太郎山等がよく見えた。
斜度が緩やかになり水平移動に入ると立派な避難小屋が見えてくる。志津避難小屋。
そこから林道に合流し、志津乗越を経てここから長い林道歩きに入る。
鳥のさえずりを聞きながら歩く。1時間強歩いたところで梵字飯場跡(新駐車場)に到着。車が入ってこないと思ったら、梵字飯場跡で通行止めになっていた。梵字飯場跡が男体山、大真子山、太郎山等への起点になっているようだ。
更に倍以上の時間をかけて三本松に到着。以前にも立ち寄ったことがあるが戦場ヶ原に近い公園で観光地化されているため人で溢れかえっていた。汗ダラダラの登山者が観光客にまぎれるにはあまりにも異質だったので、早々にバス停を探す。
果たしてバスはあるか?バス停に駆け寄って時刻表を確認する。思わず2回も見返してしまったが、10分前に出てしまっているではないか。次のバスは1時間後。「バスあるある」と予想はしていたが、タイミングが悪い時はこんなものか。
広々とした公園でお店も沢山あるので時間をつぶすのには問題ないが、これも何かの縁とバスを待たずに歩くことにした。男体山は綺麗な円錐形。下山してきた時間と距離から推定するときっと10kmもない距離だろう。いい加減な計算だが、山歩きでは距離感を磨くことも大事なスキルの一つだ。
車が激しく行き交うので歩き出したことを少し後悔したが、普段だと一瞬で通り過ぎてしまう戦場ヶ原をゆっくり眺めることができたのは貴重だった。今年の冬、雪が舞う戦場ヶ原を一人歩いたことを思い出す。緑の草原の中に男体山が聳えている。朝一番に駆け上ったのに、今は全く違う角度から山を眺めていることに不思議さを感じる。山頂には相変わらず雲がかかっていた。
中禅寺湖に到着。湖畔沿いの遊歩道を歩く。山屋としては、整備されたアスファルトよりも、土の感触と軽いアップダウンを歩く方がやはり楽しい。なにより緑のトンネルを歩いているようで横手にはたえず湖が見えていてまるで絵画のような風景だった。バスに乗らなくて正解だった。
途中、水辺に降りて、昼食をとる。残ったお湯でコーヒーを淹れながら、湖畔で水遊びをしている人たちを眺める。自分も、ホームの琵琶湖ではよくカヤックやキャンプを楽しんだものだ。
バスよりは若干時間が要したが、それでも予想よりは十分早く二荒山神社に戻ってきた。予定外の周遊までしてしまったが、念願の男体山に無事登頂。変化もあって実に楽しいコースだった。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 眼下の中禅寺湖と周りの山々、絶景ですね。以前、日光に観光で行ったとき戦場ケ原から見たどっしりした男体山にいつか登りたいと思いました(^.^)

  • レオさん、コメント有難うございます。
    そうなんですよね。
    どこから見ても男体山は凛々しいですよね。
    山で知り合った方から、その近辺の縦走路を教えてもらいました。レオさんにも遊びに来て欲しいですね。

  • 男塾に入れるように頑張ります。押忍!

  • 煮えたぎるマグマのお風呂に入んないとね、ら

登った山

男体山

男体山

2,486m

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