行程・コース
天候
山中は終始ガス、強風。赤岳鉱泉あたりで天候回復、美濃戸口では陽射しが強かった。
利用した登山口
登山口へのアクセス
その他:
行き_
小淵沢のペンションに前泊。
帰り_
美濃戸口14:45(アルピコ交通、直行)~15:23茅野駅15:42(あずさ)~18:04新宿駅
この登山記録の行程
小淵沢(00:50)・・・観音平(02:49)・・・雲海(03:22)[休憩 4分]・・・押手川(04:00)[休憩 4分]・・・編笠山(05:02)[休憩 6分]・・・青年小屋(05:30)[休憩 33分]・・・権現岳(06:57)[休憩 4分]・・・キレット小屋(07:59)[休憩 5分]・・・赤岳(09:02)[休憩 17分]・・・赤岳天望荘・・・三叉峰(10:12)[休憩 3分]・・・横岳(10:20)[休憩 6分]・・・大ダルミ(10:50)・・・硫黄岳(11:08)[休憩 3分]・・・赤岩ノ頭(11:21)[休憩 25分]・・・赤岳鉱泉(12:26)[休憩 10分]・・・堰堤広場・・・美濃戸(13:34)[休憩 3分]・・・美濃戸口(14:06)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
八ヶ岳は大風が吹き荒れていた。防寒防風姿の登山者たちが濡れた岩場やハシゴを強い風に吹かれながら通過する様子は、8月の山とは思えなかった。
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○ 概況
前日夕方までの山の天気予報はいずれも「曇りときどき晴れ」。しかし縦走路に上がってみれば強風が吹きつけ、ガスが岩やクサリやハシゴを濡らしていた。
昨年6月に小淵沢~麦草峠を歩いたときは麦草峠着が17時をまわり、16時前には終わってしまう茅野駅行きのバスに間に合わなかった。編笠山頂までナイトハイクで時間を稼ぎ、余裕をもって麦草峠か白駒池に着く計画だったが、頑固に吹き続く風に降参して硫黄岳でハイキングを打ち切った。
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○ 観音平までのアプローチ
前泊した小海線の線路に近いペンションは馬術関係の泊り客が多く、深夜まで人の出入りと話し声がありよく眠れなかった。ハイカーは山の宿にお世話になるべきなのだろう。
01時前に標高980mの宿をスタート。ヘッドランプはヘルメットと片手にふたつ持つ。道の駅、ゴルフ場と通りすぎながらまっすぐ観音平に上がってゆく。富士見平の手前、車道が大きくカーブする地点から観音平へ破線でコースが記されているので踏みこんでみるも(入口に目印あり)、ササに覆われて踏み跡はほぼ消えており暗闇のオフトレイルに苦労した。02時20分すぎに観音平着、駐車場は7割がた車で埋まっていた。おにぎりをふたつ食べて一服。コースタイム地図に反映されていないがここまで6km歩き500m上っている。
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○ 観音平~編笠山~青年小屋
02時50分に再スタート、2000mくらいから幅広の尾根に岩があらわれだすと踏み跡を見失いがちになりルートを探すのに手こずった。ナイトハイクには向かないトレイルかもしれない。04時30分、小鳥がさえずりはじめたので振り返ると雲がぼんやり明るくなりかけている。おなじころ2350mすぎのハシゴを上がると胸突き八丁の急坂になる。ここはツラいところだ。ハイマツ帯に出たところでヘッドランプを消す。編笠山頂着が05時、すでに1500m以上登っているがここからがきょうのハイキングの本番だ。
大きな岩の頭を踏みながら青年小屋へ降り、少し食べて一服する。風が気になる。出発してゆくパーティやトイレの順番待ちのハイカーはみな防風か保温のアウターを着込んでいる。編笠への登りでうんうんいっていたころには程よかった風は、運動を停止したり強度が下がれば身体を一気に冷やしてしまう。上だけ雨具をつけた。もうひとつ、一服しているあいだにくらくらと眩暈がおきた。二週間前に槍の穂先で高山病&低体温症になりかけたが、濡れて風に吹かれるのが苦手らしい。赤岳鉱泉までの7時間はリスクを少しでも減らそうと禁煙した。
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○ 赤岳まで
権現岳まで300mを登りかえす。風が強くなってくる。濃いガスが風に吹き付けられて、雨降りではないのに山を濡らしている。追い抜くハイカーたちと、ひどい天気ですね、などと会話を交わす。権現岳直後の61段のハシゴの通過は悪く、慎重に下った。こんなことならビブラム底のアプローチシューズを履いてくればよかったと後悔するがもう遅い。クサリ場、ガレ場、岩場だらけのトレイルを用心しながら歩く。
キレット小屋(権現小屋とキレット小屋は閉まっていた)で休んでいたハイカーに、恥ずかしいことだが天気予報を確認したかたずねてみた。「昼まではこんな感じ、午後は回復するそうですよ」とのことで結果的にこの予報は当たりだったようだ。
キレット小屋2470mから赤岳2899mへ、400mの登りはこの日のハイライトのひとつ目になる。ガスで視界がきかずに延々と続くように思われる岩場を、手を使い落石をおこさぬよう気をつけながら登ってゆく。ペンキマークのおかげで道迷いの心配はないと思う。赤岳山頂着が09時過ぎ、観音平からここまで6時間以上かかっており、夜行バスでやってきた疲れのせいでキレット小屋で長々と休憩した昨年より10分遅い。編笠への登りで時間をかけすぎたか。
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○ 横岳通過と硫黄岳まで
本日のハイライトのふたつ目、横岳の岩場の通過にかかる。登りの強烈さはないが、切れ落ちていたり崖っぷちであったりする岩場は岩もクサリもハシゴも濡れているからスリリングを増していた。人は多く、弱い人に声をかけかばいながら、あるいは自分のことで手一杯な様子で難所を通過する登山者たちは、風に吹かれてみな真剣をとおりこし必死の形相だった。
一連の横岳通過を終えて幅の広い鞍部に降りる。植生保護のために両側にロープが張られたこのあたりは緊張から開放されてのんびり歩けるはずだが、今日はそうは問屋が卸さなかった。ますます風が強くなっている。地形からして風の通り道になるのだろう、緩急がほとんどなく一定の圧力で押してくる風は硫黄岳山荘に近づくほど強まってゆく。小石が飛んでこないかと恐怖を感じるほどだった。山荘が稜線を避けて東側に姿勢低く建てられている意味がよくわかった。西側(左)から吹きつける風を避けようと顔を右に背けながら歩いていて気づいたが、風向きが左やや後方になっている。上半身を右に傾けると風が背中を押してくれる按配になった。ガスの中からケルンが次々あらわれる登りは風に助けられて硫黄岳山頂に着いた。ここまで散々な目に遭ったのだから、これくらいアシストがあっても良いだろう。
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○ 下降
硫黄岳着は11時過ぎ。プランでは余裕をもって「10時半リミット、越えたら美濃戸へ下降」と決めていた。調子は全然悪くないので押してゆく手もあるが、風にやる気を削がれてしまっている。早々に山頂を後にして赤岩ノ頭へ。ここは地形の影響か、風は上空を轟々と通り過ぎてゆき登山道付近はわりと弱い。大勢の登山者やランナーたちが場所を選んで休憩していた。東のゆるい斜面を少し下ったハイマツ脇にもぐりこみ食べて休む。
あとはごく一般の登山道になり、赤岳鉱泉、美濃戸を経て美濃戸口へ。バス停に着くころには強烈な日差しにあぶられた。さいきん天気に見放されている。
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●Geographicaによれば、小淵沢~観音平を加えたトラックは距離27.8km、登り累計3066m、降り累計2551m。
(了)
フォトギャラリー:28枚
装備・携行品
【その他】 サレワのSpeed Beat GTX。テスラのタイツにモンベルのショートパンツ、マウンテンハードウェアの速乾性長袖シャツ、ペツルのヘルメット、ブラックダイヤモンドのハーフフィンガーグローブ、青年小屋から雨具の上のみ着用。ザックはロウアルパインの25リッターにモンベルのギアホルダーを外付け。モンベルの雨具上下・薄手フリース・ロールペーパー・ヘッドランプ×2・スマホ・バッテリー充電器と予備電池・地図、キャメルバックのハイドレーションとモンベルのフレックスウォーターパックに水2L+1L=3L。コンビニおにぎり2個、菓子パン、非常食(カロリーメイトとトレイルミックス)。山行後の着替え一式とサンダル。スタート時重量8kg。 |
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