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予定変更でも女峰山満喫の最高の日

女峰山( 関東)

パーティ: 2人 (Yamakaeru さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

晴れのち雪(山頂から中腹)

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「日光東照宮」をセット。真下にある「西参道第一駐車場」を利用。GoogleMapではその名前で直接ナビができた。夜間でも利用可能で入場前に支払う仕組みなので時間を気にせず利用できる。510円。近くにトイレあり。また目の前に警察があるので治安上も安心。

この登山記録の行程

西参道第一駐車場(02:35)・・・行者堂(03:07)・・・稚児ヶ墓(04:06)・・・白樺金剛(05:02)・・・八風・・・(日の出観賞06:18~06:56)・・・黒岩(07:16)・・・唐沢避難小屋(09:41)・・・女峰山(10:31)・・・唐沢避難小屋(11:17)・・・女峰山の冷水(11:38)・・・荒沢出合(12:35)・・・裏見滝・寂光滝分岐(13:20)・・・寂光滝(02:14)・・・西参道第一駐車場(14:50)

コース

総距離
約21.8km
累積標高差
上り約2,083m
下り約2,083m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

2週間前に、冬タイヤの交換作業で、外したタイヤを持ち上げた際に腰をやってしまった。早朝、冷たいアスファルトに倒れ込むこと10分。暫くは歩くことも出来ず不便だったが、腰痛とは定期的に付き合っているので、ある意味馴れたもの。幸い比較的症状が軽かったこともあり、先週末には痛みは残るもののなんとか歩けるまでに復活した。
となればリハビリ登山!雪山はもう目前。身体を整えておかなければ。

土曜日、休日出勤で夜まで働き、帰宅したその足で荷物を積んで山を目指す。万が一、山の中で腰が悪化した場合に備えて、保険に後輩を連れていく。皇海山にも連れて行った後輩だ。目的地は日光連山。男体山で出会った方から、日光連山が縦走できる素敵なコースがあるとお聞きして以来、一度歩いてみたいと思っていた。
日光連山の中でも、男体山を筆頭に、女峰山、太郎山、大真名子山(おおまなごさん)、小真名子山(こまなごさん)の5座は、家族の山と呼ばれている。実際、男体山の頂から見渡すと、家族という表現が本当に自然で、お父さんの男体山を取り囲むように、山が並んでいる。その中でもお母さんの女峰山は二百名山に選ばれるだけあってひと際素晴らしい山容をしている。女貌山と呼ばれることもあるが、実は女性らしさとは相反した日光連山の中でも最も鋭角な山容をしている。「母は強し」というが、これはアマゾネス級の強さだ。
今回は、その女峰山から登り、太郎山を除く2人の子供達を繋いで、男体山へと抜ける縦走計画。女峰山の標高は2,483m。それだけでも相当な体力を必要とするが、痛みのある腰で、ちゃんと歩き通せるか不安が残る。。。不安が残るからこそのバックアップ「後輩」だが、実は今回も皇海山に続きその彼がやらかしてくれる。。。

真夜中の西参道第一駐車場。
510円を機械に投入して入口のゲートをくぐる。観光で賑わう駐車場もさすがに閑散としていた。軽く休憩をした後、荷物をチェックして出発。2時に出たかったが、なんやかんやで30分があっという間に過ぎてしまった。登山口までのルートをろくに調べず、適当に歩いたせいで、無駄に住宅街をウロウロしてしまった。
二荒山神社の横から細い道を進むと、コースの名前にもなっている行者堂に到着。古いお堂で、格子の隙間からライトで奥を照らすと人物像のような絵が見えた。何だろう?と思ったが、神聖なものにライトを当てるのは流石に不謹慎と慌てて消した。ボーっと闇夜に浮かぎあがった白い人物像が少し気味悪くもあった。
行者堂コースの登山口は、お堂正面に向かって左側奥にある。女峰山には幾つかのコースがあるが、その中でも最も長距離で且つ、標高差1,758mの健脚向けとなっている。
荒れた斜面を登っていく。ようやく登山開始。
登り初めは道がはっきりしていないため道を見失いそうになるが、ある程度登っていくと整備された登山道が現れる。
真っ暗闇の森。樹々の下には一面、笹が生い茂っている。樹々の間を縫うように延びている登山道をひたすら進む。歩きやすい道だ。
深夜に山に入ると、むせるような獣の匂いが充満しているが、今日は少しも感じない。冬になり活動する動物が減っているのだろうか。
標高1,000m付近。いつの間にか雑木林のエリアに入っていた。ふと足を止めるて見上げると枝の間から夜空が見えた。ライトを消してみると、超密度の星空が広がっている。そういえば三大流星群も一つ「ふたご座流星群」の時期だ。確か、明朝(12/14)の1時が極大だったはず。今日もそれなりに見えるに違いない。と思った瞬間、「シュッ、シュッ」と幾つかの流れ星が太い線を夜空に描き消えていった。
夏であれば、寝転んで天体ショーを楽しんでいるところだが、足を止めた途端、耐えられない寒さが襲ってくる。手袋も、もうワンランク上を持ってくればよかったと後悔した。指先がたまらなく痛い。
暫く進むと、笹の原っぱに出た。振り返ると、どこかの街灯りが遠くに見えている。満天の星空と夜景の組合せが最高だ。
後輩は、だいぶ後ろの方で「はぁーはぁー」と言いながらついてきている。夜間なので、あまり離れすぎると危険だ。「もう少しスピードアップ!」と声をかける。
岩稜地帯に到着。尾根を外れて左側へトラバースしながら進む。時間は6時手前。かなり明るくなってきた。ハッキリしている笹道とは違い、薄暗い岩稜地帯で道を見極めるのはかなり大変だ。岩に付けられた黄色いマーカーを見落とさないように注意しながら進む。
浮石が多く、足元がかなり不安定だった。後輩はちゃんと来ているか?と振り向くと、案の定、大丈夫ではなく、遥か後ろでコースと全く違う場所でライトが揺れていた。ミスルートをしている。
時計を確認すると6時を過ぎていた。日の出は6:45頃。このまま進んでも尾根に隠れて日の出は見えない。悩んだがやはり日の出は外せない。踵を返して、ついでにコースを外していた後輩を途中で拾い、見晴らしの良かった笹の斜面まで戻る。
冷たい風を避け、斜面の窪地に座り込んで日の出を待つ。目の前には雲の大海原が広がっている。白い中で、水平線だけが縁どったように真っ赤に染まっている。うっとりする光景だが、さすがに寒い。寒すぎる。
震えながら待つこと10分ちょい。
「来たーっ」と心の中で叫ぶ。最も赤くなった部分から揺らめくように大きな太陽が顔を出した。シャッターを押している僅かな間にもどんどん昇ってくる。何度見ても、太陽が産まれ出る瞬間はダイナミックでエネルギッシュだ。右手側には、モルゲンロートに染まった男体山が聳えている。これまた惚れぼれする光景。さすが日光連山を代表する山だけある。男体山は、そもそも二荒山(ふたらさん)と呼ばれていて、この「二荒」を音読みにしたのが「日光」の由来とか。であれば、二荒山を正式名称にすればよいのにと思う。
太陽が完全に昇り切った後も少し余韻に浸りたかったが、寒すぎて筋肉が攣りそうだったので、早々に動き出すことにする。
岩稜地帯を抜けると、前方のコルが見えてきた。その向こう側には、前女峰が顔を出している。女峰山はその左奥だ。
コルで息を整えてから、笹の急斜面に取り付く。そろそろ疲れが出てきたのか、後輩の遅れが目立つようになってきた。なるべくペースを合わせてきたが、あまり落としすぎると逆に疲れてしまうので、自分のペースで歩かせてもらう。明るくなって道もしっかりしているから大丈夫だろう。
急登を終え、水平移動に入る。どんどん進むと、遥か先に白い建物が見えてきた。唐沢避難小屋だ。ここで、後輩を待つことにする。しかし、待つこと15分。一向にやって来る気配がない。いくら何でも遅すぎると、来た道を戻ってみることにした。膝を痛めて休んでいるだけならいいが、踏み外して滑落していたらとんでもないことだ。心配するような危険個所はなかったが、念のため大きな声で名前を呼びながら、斜面下を確認しながら戻る。
かなり戻ったが、それでも姿が見えない。歩いていれば出会わない訳がない。焦りながらスマホを取り出して、LINEのメッセージを送ってみるが反応はない。電話をかけるとコール音は鳴る。少なくとも電波が届くエリアにはいるようだ。LINEと電話を交互に繰り返していたら、80%ほどあったバッテリーが数分の間にみるみる20%まで激減してしまった。低温のため、バッテリーの消費が尋常じゃない。充電用のバッテリーは持っているが、万が一を想定してスマホを控えることにする。仕方がないので、最後に後輩に声をかけた、確実に記憶が残っている場所まで戻ることにする。登ってきた急な斜面を急ぎ足で駆け降りる。その時、ようやく着信音が鳴った。ズボンのポケットから取り出し、ドキドキしながら電話に出ると「涸沢避難小屋に着きました」と惚けた第一声。
「はぁ~?!」
もう一度強めの口調で「はあ???」。。。
一本道だったのですれ違わない訳はない。あり得るとしたら、後輩のミスルートか?
勿論、自分は間違っていないという前提だけど、ちゃんと目印を定期的に確認していたから、やはり後輩が怪しい。それにしても緊張感のない後輩に、「イラッ」と思わず暴言を返す。延々、説教したがったが、いよいよバッテリーが無くなってきたので「小屋で待ってろ」と言って電話を切る。
勢いよく降ってきた反動と精神的ダメージが相まって登り返しがとにかく辛かった。
ヘロヘロになりながら、なんとか元の場所まで戻る。小1時間ほどのロスか。そうでなくても遅れ気味だったのに、このロスで縦走中止は確定となった。
進んでいくと涸れ沢のようなガレ場に行き当たった。雪が斜面を削り落とした跡か。上から遥か下の方まで続いている。10m程の幅がある。
ちょうど真向かい側に黄色く塗られた岩が見えた。「えっ、ここを渡るのか?」
数歩渡りかけるが、砂礫の急な斜面で足を置くだけでずるずると滑り落ちる。渡れないことはないが、間違えたら確実に滑落する。これは別にルートがあるはずと。いったん戻って、上へ回避するルートを探してみる。ハッキリとしたルートはなかったが、僅かな踏み跡があったので、それを辿るように少し登ると渡れそうなルートが現れた。これは看板か目印をつけておかないと危険だ。
涸沢避難小屋に到着。遠目には小さく見えたが、避難小屋にしては大きかった。扉を開けると、果たして無事、後輩がいた。悪びれた様子がない後輩に再びイラッ1。
縦走中止を告げると、後輩も足が限界だったようで、むしろホッとしている。イラッ2。
計画変更で、とりあえず女峰山の山頂は最低限極め、再び折り返して小屋の手前にある分岐点から別ルートで女峰山を周遊するように下山する。行程的には計画していた縦走とさほど変わらない距離だが、終始降りなので時間は圧倒的に早いはずだ。
まずは、小屋から樹林帯を抜けて山頂を目指す。樹林帯はそう長くはなく、直ぐにガレ場にぶつかる。先程、小屋の手前にあったガレ場よりも格段に規模が大きい。100m以上の幅がある。上の方を見上げると女峰山の頂が見えた。山頂の手前からごっそり削り落とされ、遥か下の方まで続いている。踏み外したらシャレにならない。
ゆっくりゆっくり慎重に進む。反対側に渡った後は、今度は直登にコースをとる。急な上に、ザレているので滑り易い。
ふと空を見上げると、さっきまで青空だったのにいつの間にか鼠色の雲が張り出してきていた。男体山がすっかり霞んでいる。「もう少し待ってくれ!」と願いながら登っていく。
ガレ場を脱出して、最後の登り。冷たい風とともに白いものが頬にあたるようになってきた。男体山が霞んでいるのを見て、ひょっとしてとは思っていたが、雪が降りだしたようだった。
山頂に到着。小さな祠がまず出迎えてくれる。山頂はその奥の数m登ったところにある。祠にお参りをした後、頂へ立つ。小真名子山方面へと続くナイフエッジのような縦走路が見えた。つくづく先を進めないのが悔しい。かなり雪が強まってきたが、なんとか日光白根山も確認することができた。それにしても急峻な頂だ。女峰山と書かれた標識のすぐ後ろ側は垂直の壁だった。上から見下ろすとかなりのスリル感だった。
登りごたえのある良い山だった。直登タイプの男体山もそれなりにハードだが、ある意味、女峰山の方が大変だったかも知れない。やはり男性よりも女性が強いというのは世の常識か。
頂きの感動をもう少し味わっていたかったが、あまりにも寒かったので早々に降ることとする。ちなみにガレ場の降りは登り以上に危険だった。
小屋に戻る。手前にある分岐点から水場の方へと降っていく。水場は10分程度と看板に書かれていたが、実際にはそれ以上に遠く感じた。岩の間から細いパイプが延びていて、その先から「ちょろちょろ」と水が出ていた。試しに飲んでみると冷たくはなかったが、まろやかで美味しかった。
ここから1時間半程、一心不乱で高度を下げていく。
足がプルプルしてきた頃、ようやく砂防の人工的な構造物が見えてきた。そうなると分岐点も近い。
馬立の分岐点からモッコ平方面へと進む。「平」と名前がついているように、ここから先はなだらかな笹の斜面をゆっくりと歩く。見渡す限りの笹の平原。その草原をかき分けるように一本のライン(笹道)が美しいカーブを描きながら延びている。
最初は、急登の降りから解放され、映画のワンシーンのように歩いていると喜んでいたが、歩いても歩いても先が見えない笹の海。しまいには笹地獄と呪いたくなる。しかし、一方で、その長距離をメンテナンスしている方々がいるということは実に凄い事だと思う。安全に歩けるのもその方々のお陰と感謝する。
長い道のりも、足を動かしていればいつかは終わりを迎える。寂光滝のお堂が目に入った時は、拳を握って「うしっ!」と声を出してしまった。
寂光滝からは数kmの舗装道路を歩き駐車場へと戻る。
計画変更となってしまったが、女峰山を濃厚に堪能できたので、これはこれで良しとする。いつか改めて、ご家族巡りにチャレンジだ!!

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みんなのコメント

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  • 素晴らしい景色を見ると、全てが浄化されますね。

  • 素晴らしい日の出と雲海ですね。癒されました。
    リハビリにしては相変わらずハードですね?
    今日、野坂山に登りましたが雪多いですよ。

  • Shouさん、でも煩悩がすぐにたまるのです。次の山ーって。笑

  • レオさん、今日はこっちは快晴でした。でも、やっぱり雪が恋しいですね。
    立ち往生している人がいるので、山にだけ積もってくれるのが一番いいのですが。

登った山

女峰山

女峰山

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