行程・コース
天候
晴れのち雪
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「高峰高原ビジターセンター」をセット。ホテルやスキー場もあるので、きとんと除雪されているため、スタッドレスやチェーンを装備していれば、冬季でも問題ない。高峰高原ビジターセンター前に黒斑山登山者用の駐車場(無料)がある。20~30台程度。冬季?はトイレが使用できないため事前に済ませておくこと。
登山口は、駐車場から見てビジターセンターの裏側、道を渡ったところにある。
この登山記録の行程
高峰高原ビジターセンター前駐車場(07:15)・・・車坂峠(登山口)(07:16)・・・<表コース>・・・コマクサ展望台(08:03)・・・槍ヶ鞘(08:28)・・・トーミの頭(08:47)・・・黒斑山(09:10)・・・蛇骨岳(09:45)・・・仙人岳(10:00)・・・仙人岳の先(10:35)・・・蛇骨岳(10:52)・・・黒斑山(11:30)(昼食~12:04)・・・トーミの頭(12:17)・・・分岐・・・<中コース>・・・高峰高原ビジターセンター前駐車場(12:53)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
浅間山外輪山の黒斑山(くろふやま)。
登りたい雪山リストの上位にあったガトーショコラこと浅間山を眺めに、満を持して外輪山の黒斑山に行ってきた。
黒斑山は標高2,404mながら、登山口の車坂峠で既に1,973mと高く、標高差は僅か450m弱しかない。登山道も整備されているため、家族連れでも気軽に登れる雪山として知られている。それでいて、雄大な浅間山を最前列の特等席から眺めることができるというとても贅沢な山だ。
出発のギリギリ。車に乗り込んでもまだ行き先を決めかねていたが、天気図を睨みながら最後は野生の勘で「黒斑山」を選ぶ。てんきとくらすではAll-Cになっていたが、午前中であれば快晴に恵まれるはず。多少の風があっても殆どが樹林帯にある黒斑山であれば心配するほどの影響はないはずだ。
朝日と共に、駐車場に到着。太陽の光を受けて、遠くに八ヶ岳が赤く染まっているのが見えた。
果たして、天気は快晴。青空が広がっていた。霞が少々入っていたが、近くにある山の輪郭ははっきりしている。これは「いける!」だ。
密かな出番を期待してスノーシューを背負いスタートする。
登山口では5名程度の登山者が楽しそうに会話をしながらアイゼンを装着していた。ツボ足で進もうかとも思ったが、念のため自分もアイゼンを装着することにする。
登山道には「表コース」と「中コース」があるが、まずはスタンダードに表コースを使って「トーミの頭」と呼ばれる稜線上の大展望ポイントを目指す。
登山口のゲートを過ぎるといきなり斜面が始まる。樹林帯をひたすら真っすぐ登っていく。運転中に見た道路脇の看板では「-5度」が表示されていたが、思っていたほどは寒くはない。息を切らせながら、斜面を登っていく。2,000m級の山だけあって、サラサラのパウダースノーだ。踏み固められてはいるが、北陸の重い雪と違いアイゼンの力が抜けて歩き難い。いや、雪は言い訳でどうもここ最近の運動不足からめっきり体力が落ちているようだ。スピードがまったく乗らない。年齢的に、筋肉を失うのは一瞬だと思うと寂しい限りだ。
樹林帯の隙間から浅間山の姿を捉えることができた。せっかくだから稜線に出る瞬間までは、サプライズ的に目隠ししておいて欲しかったが、長く夢見た浅間山を目前にして、俄然元気が出てきた。進む足にも力が入る。
斜面を登り切り、槍ヶ鞘に到着。
大きく視界が開けて、ついに浅間山の目前に立つ。すそ野を大きく広げた巨大なガトーショコラ。雄大という言葉がよくあてはまる。ただただ美しい。。。
右側には剣ヶ峰。左側にはこれから進むトーミの頭が見える。まるで獣の顎のような特徴的な形をした断崖が延びている。一度降って、その断崖に沿って急こう配を登っていく。
また一歩、浅間山に近づいた感じがする。
トーミの頭からは、浅間山とそれをとり囲むように広がる外輪山の全景が見渡せる。外輪山はまさにクレーターの形状そのものだった。
ここで「トーミの頭」という変わった名称が気になる。谷川岳にある「トマの耳」や「オクの耳」もいい加減、日本語離れした名称だが、「トーミ」って外国人の名前のようにも聞こえる。調べてみると語源はやはり日本語のようで、トーミは「遠見」から来ているとのこと。確かにここからの眺望は最高だ。とはいえ何故故に「遠見の頭」なのか。分かったようで、よく分からない語源だ。ちなみに谷川岳の「トマ」と「オキ」はそれぞれ「手前」と「奥」を意味する。猫の耳とも表現されるが、並んだ二つの耳(ピーク)は遠くから見るととても愛らしい。
さて、トーミの頭からは外輪山の稜線歩きとなる。
「ゴーッ」と凄い風の音が聞こえるが、幸い樹林帯の中は無風で歩きやすかった。登山口付近ではカラマツを多く見かけたが、稜線付近ではいつしかシラビソに変わっていた。雪をかぶってクリスマスツリーのようなシラビソのトンネルを進む。アップダウンも少なくピクニックのようで楽しい。
黒斑山の山頂に到着。山頂と言っても、特に目立ったピークはなく標識がなければ通り過ぎてしまいそうな場所。崖っぷちに展望が開けていて、黒斑山と書かれた標識の向こうに大きく浅間山が聳えている。トーミの頭からの展望とはまた少し違った表情が楽しめる。トーミの頭では前掛山しか見えなかったが、その奥に浅間山の山頂の一部が覗いている。
黒斑山から約30分で蛇骨岳へと到着。
途中、崖下の湯の平に一頭のカモシカを見かけた。豆粒のように小さかったのですぐに見失ってしまったが、湯の平の雪原を悠々と歩いていた。浅間山の麓に広がる森林。上から眺めてもトレースらしきものは見当たらない。どうやら、ここ数日人間は入り込んでいない様子。静けさを愉しむ森の主を想像した。
樹林帯を抜けると蛇骨岳(標柱)。その先は、むき出しの岩稜が仙人岳方面へと延びている。
多くの登山者は黒斑山もしくは蛇骨岳で折り返すが、まだ時間には余裕があったので仙人岳へ向かうことにする。
樹林帯の守護が無くなり、強い風が直接吹き付けてくる。ザックの後ろに取り付けたスノーシューがさらに風の抵抗を増して、時折、足がふらつく。
仙人岳に到着。ごつごつした岩のピークに立つ。浅間山がまた一回り大きくなった。こうなるともっと近くで眺めたくなり、もう少し外輪山を行けるところまで進んでみる。
足元に「この先は火口から2km以内」と書かれた小さな看板があった。浅間山が手に取るように近い。前掛山を巻きながら浅間山の山頂へと続く登山道が、薄っすらと雪の中に確認できた。トーミの頭から眺めた外輪山の全景を、今は反対側から眺めている。こちらかもまた素晴らしい眺望だ。
お昼の時間が近づいてきたので、折り返して黒斑山で昼食をとる。
ご飯ものは凍るので、今日の昼食は簡単なお総菜パン。見納めとばかりに浅間山のガトーショコラを目に焼き付けつつ、湯気立つコーヒーを頂く。雪山で一番贅沢な時間だと思う。
お昼から雪マークがついていたが、天気予報通り小さな雪が舞いだした。あっという間に浅間山がガスの中へと消えていく。
下山開始。トーミの頭から槍ヶ鞘へ向かう途中の分岐で右へと折れて、中コースに入る。中コースは尾根を歩く表コースと違い、斜面をトラバースするように延びているので、比較的緩やかなコースとなっている。
雪が舞う幻想的な森の中を黙々と歩く。約2km。静けさの中に、突如、谷間を乱反射しながら音楽が聞こえてくるとゴールも近い。スタート地点のすぐ脇にあるアサマ2000スキー場。ゲレンデではきっと大勢の人がスキーを楽しんでいるに違いない。
結局、スノーシューの出番はなかったが、念願のガトーショコラを堪能し実に楽しい雪山だった。
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