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風と雪の芸術シュカブラ 谷川岳と一ノ倉岳

谷川岳(トマの耳、オキの耳)、一ノ倉岳( 上信越)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

谷川岳(トマの耳、オキの耳)、一ノ倉岳

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「谷川岳ロープウェイ」をセット。夜間でも一部のエリアは入れるようになっていて、車中での仮眠が可能。トイレも使用可なので有難い。駐車料金は1,000円。

この登山記録の行程

谷川岳ロープウェイ土合口駅(09:05)・・・天神平駅(09:19)・・・熊穴沢ノ頭・・・避難小屋・・・肩ノ小屋(11:02)・・・谷川岳・トマの耳(11:09)・・・谷川岳・オキノ耳(11:26)・・・浅間神社奥ノ院(11:33)・・・一ノ倉岳(12:18)・・・浅間神社奥ノ院(13:01)・・・オキノ耳(13:06)・・・(昼食~13:25)・・・トマの耳(13:33)・・・肩ノ小屋(13:42)・・・避難小屋(14:11)・・・天神平駅(14:44)・・・谷川岳ロープウェイ土合口駅(14:51)

コース

総距離
約13.8km
累積標高差
上り約1,916m
下り約1,914m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

明日(2/22)はニャンコの日ということで、猫の耳を目指して旅に出る。
地元では整った双耳峰の形が猫の耳に似ていることからそう呼ばれている。谷川岳のトマの耳とオキの耳。
土曜日のうちに現地入りを目指して車を走らせる。フロントガラス越しの陽射しが、暑いくらいの春日だった。「雪なんかどこにあるんだ?」と思っていたが、みなかみ町に入った途端、道の両脇に2m近い雪の壁ができていて、さすが豪雪地帯だと感心した。
暗くなって、谷川岳ロープウェイに到着。
武尊岳の川場スキー場と同じく、夜間でも駐車場とトイレが利用できるのは有難い。
駐車場に車を停めて、買ってきた酎ハイ350mlで一人乾杯をする。これが車中泊開始の恒例の合図。スマホで今日アップされた谷川岳の記録を確認する。前回、馬蹄コースを周遊した際は、最後の最後でガスに覆われてしまい、クライマックスとして楽しみにしていたトマの耳とオキの耳では標識を見ただけで自分がどこに立っているのかさえも分からなかった。しかし、明日の天気は申し分なさそう。日本でも有数の冬景色が期待できると心が躍る。
例年であればロープウェイの運行は8時開始となっているが、今年はコロナ禍の影響で1時間遅い9時開始となっている。登山の行程としては遅すぎるが、たまにはゆっくりスタートも良いかと、運転の疲れをとるべくシュラフに潜り込む。寒いだろうとテントブーツを持ってきたが普段着でも十分なほどで、寒さで目が覚めることなく朝まで爆睡だった。
7時に起床。
軽く食事を済ませて6Fの切符売り場へと向かう。
7:30。利用者への配慮か、暖房がよく効いていて快適だった。
窓口は閉まっていたが、既に10個ほどのザックが並べられていた。車中泊をしておきながら、出遅れては意味がないので、自分も列の最後尾にザックを加える。十分な待ち時間。登山届けを書いたり、準備体操をしながら今かいまかと窓口がOPENするのを待つ。
徐々に人があふれてきた。僅か10分ほどで明暗を分けたようで、早めの行動が功を奏したようだった。
混雑を避けるためか、思ったよりも早く窓口のカーテンが開いた。
切符を購入して、乗り場へと向かう。往復2,000円也(2,100円にモンベル割引を利用すると100円安くなる。片道の場合は1,250で割引は対象外)。
乗り場の前の廊下にも長い列ができていた。明らかにスキー、スノボーよりも登山者の方が圧倒的に多い。さすが雪山のメッカ「谷川岳」だけのことはある。
9時を待たずしてロープウェイが動き出したようで、列が少しずつ前へと進んでいく。数分間隔で動いているため、ほどなくして乗り込むことができた。滑らかに動き出した後、駅を出ると同時にグーンと加速して一気に高度を上げていく。振り向くと、真っ白な白毛門が目に入ってきた。頂の上には青空が広がっている。早く谷川岳の稜線を歩きたい。。。
天神平の駅に降り立つ。外に出るとゲレンデが朝日を受けて眩しく輝いていた。リフトに向かうスキーヤーを横目に、アイゼンを装着して出発の準備を整える。2,000m近い山なので珍しく着込んできたが、強い陽射しを見て全部ザックにしまい込んだ。結局、いつもの軽装スタイルで歩き出す。今日は暑くなる上にこんがりと焼きあがりそうだ。日焼け止めをたっぷりと顔に塗りたくっておいた。
緩やかな斜面から徐々に斜度を増していく。前回は肩ノ小屋から天神平へと今とは逆に降ってきたので気にならなかったが、思い起こせば確かに相当な標高差があった。
踏み跡はしっかりしていて歩きやすい。真っ白な斜面に一本の線として綺麗なトレースが延びている。
幸い人もまばらなのでストレスなく歩けるが、気軽に冬山の絶景が楽しめる谷川岳では、出発時間を間違えると、蟻の行列のような大渋滞となってちょっとした斜面も普段の数倍以上時間を要するという。山に来てまで列に並んでストレスを受けるなんて考えたくもない。
高度をあげるにつれてパウダースノーに変わっていく。てんきとくらすでは午前中はCマークを示していたので強風を懸念していたが、ほぼ無風状態。今日は、あらゆるところで良い方向に運が向いてきている。^_^
左手に白銀の鋭い山が見えた。鋭いところが剣ヶ峰でその隣が武尊山だろうか。
急な斜面を登り切り、肩ノ小屋に到着。休憩を入れようと思ったが、ここまで来れば目的地の猫の耳も目前なので、そのまま進む。最初は「トマの耳」だ。
槍のように鋭く空に向かってせり出しているピーク。これが見たかった。谷川岳と書かれた標識に触れて、周囲を見渡す。360度。圧巻の大パノラマ。赤城山から、日光方面へと目をやると、皇海山や日光白根等が確認できる。手前の白毛門から朝日岳への馬蹄コースの山並みも白が際立って、百名山達に負けず劣らず美しい。
以前は別な場所を指していたらしいが、今日では一般的に谷川岳というと、標高1,963mのここトマの耳を指す。
続いて、もう一つの耳「オキの耳」へ向かう。両耳の距離は短くあっという間にたどり着くことができる。オキの耳は標高1,977mとトマの耳よりも若干高い。先程までいたオキの耳を眺めると、後続の団体が到着したのか大勢の登山者が頂きに立っているのが見えた。
オキの耳には、その昔、富士山の浅間菩薩が地元の人々を祝福せんと降臨したという伝説が残っている。その山岳信仰から、オキの耳から更に進んだところには、浅間神社の奥ノ院が険しい岩稜地帯の中に建て祀られている。稜線上の厳しい風を受けて、鳥居の半分が雪で埋まっていた。
奥ノ院で折り返す予定でいたが、鳥居の横の大きな岩に登ってみると、純白のとても大きな山が目に飛び込んできた。とても魅力的な山容をしている。一ノ倉岳だ。奥の院から一旦降り、そしてグッと反るように登っていく稜線。そこには今にも崩れそうな雪庇が山頂に向かって続いている。眺めているだけで、ドキドキが止まらない。あの稜線を歩いて一ノ倉岳の山頂に立ちたい。そう思ったら、もう身体が自然に動き出していた。
奥ノ院から先を進む登山者は極端に減るためトレースは少し心細くなるが、一か所を除き危険と感じる場所はなかった。ただし、滑落に備えてアイゼンとピッケルは必ず持っていくべきだ。
奥ノ院から降って、一ノ倉岳を見上げる。スケール感を狂わせる程に大きい。間近で見る雪庇は、まるで鋭利な鋸の刃のようだった。むろん雪庇からは十分な距離をとって安全な位置を歩くが、それでも緊張感が高まる。
空を見上げるように登っていく。喧噪のない静寂な世界。純白の美しい世界が、今、自分だけのためにあるなんて、なんて贅沢なことだろうか。
急な斜面を登りきるとなだらかな雪原が出迎えてくれる。標識はすっかり雪の下なので、どこにピークがあるのかも分からないが、とりあえず一番高そうなところを目指してみる。
今まで一ノ倉岳で隠れていた武能岳や七ツ小屋山方面の視界が一気に開ける。馬蹄コースの全景も一望できる。紅葉も最高だったが、雪景色も超一級品だ。やはり谷川岳は素晴らしい。
雪庇に気を付けて距離を溜まっていたが、よく見ると崖ではなく雪庇の下にも行けそうだったので、雪を崩しながら降りてみることにした。これがまた大正解!。
雪庇の真下には、風と雪が造り出す自然の造形美シュカブラが出来上がっていた。それも実に見事なシュカブラ。風紋や雪紋とも呼ばれるが、力強く粗削りな彫刻のようでもあり、それでいて規則正しく並ぶ紋様には繊細さも兼ね備えている。絶対無二の芸術といえる。
どこまでも続くたおやかな稜線を見ているともっと足を延ばしたくなってしまうが、帰路の時間もあるので引き返すことにする。
戻ると、オキの耳とトマの耳では、登山者で溢れかえり大混雑のピークを迎えていた。
それにしても陽射しが熱い。ふと時計を確認してびっくり。いつの間にか13時をとっくに過ぎているではないか。集中して歩いていたので、すっかり時間の感覚が狂っていたようだった。急激にお腹が空いてきたので、人込みから少し離れた雪の上に陣取り昼食を食べる。別れを惜しむように遠くの山々を眺める。冬になると必ず雑誌に特集される谷川岳の絶景。確かに一見の価値がある。今度は、仲間と訪れて、この感動を共有したいものだと思った。

最後に余談として。
群馬に来ると食べたくなるのが「一発ラーメン はしご屋」さん。山から下山してくると、ちょうど昼と夜の営業のはざまで、休憩時間にぶつかってしまうため、なかなかお邪魔することができないが、今回は前日入りだったので谷川岳の決起集会?として行ってきた。
熱すぎて飲めないが、絶品のスープは是非お勧め。また、味も申し分ないが、お店の随所に遊び心があって、そのセンスも面白い。
一発ラーメンと谷川岳を堪能して、これでまた一段とグンマーに近づくことができただろうか。 :)

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  • 真っ白な世界に入りたい

  • どこまでも真っ白な世界。
    孤高の頂。
    幸せな時間です。

登った山

一ノ倉岳

一ノ倉岳

1,974m

谷川岳

谷川岳

1,977m

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