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山笑う一面の大島桜 神峰山と大煙突

神峰山、羽黒山、鞍掛山( 関東)

パーティ: 2人 (Yamakaeru さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

曇りのち晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「かみね公園」をセット。かみね公園頂上駐車場(無料)。大型の駐車場があるが、観光で直ぐにいっぱいになるので早めの到着をお勧めする。綺麗なトイレあり。

この登山記録の行程

かみね公園頂上駐車場(06:48)・・・新田次郎文学碑(06:54)・・・JX金属株式会社前(07:28)・・・座禅石(07:34)・・・赤澤不動尊(07:54)・・・神峰山登山口(参道)(08:10)(休憩~08:50)・・・神峰山(09:36)・・・羽黒山(10:35)・・・分岐・・・大煙突大接近(11:23)(昼食~12:02)・・・分岐・・・大煙突展望台(12:26)・・・鞍掛山(13:34)・・・田次郎文学碑・・・かみね公園展望台(14:09)

コース

総距離
約17.9km
累積標高差
上り約1,160m
下り約1,160m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

茨城の登山家としてとても著名なSさん。紛れもなく、この方も山仙人のお一人と言える。
一昨年、とあるご縁で山をご一緒させて頂いた。残念ながらその時は楽しい山歩きではなく、遭難者の探索のための山歩きだった。時々、お仲間と山歩きを楽しまれているとのことだったので、いつか参加させて頂きますとお願いしていたものの機会が合わないうちにあっという間に1年が過ぎてしまった。
先週、ふとSさんのホームページを見ていると、春の企画を予定されるという。しかも、大好きな神峰山と大煙突コース。早速、「直前で申し訳ありませんが」のお断り付きで、メールをお送りしたところその日のうちに快諾の返信を頂いた。
当日、早朝のかみね公園駐車場に立つ。
朝日が昇ってきたところで、周囲の桜を赤く染めている。海を背景に日立の市街が見渡せる小高い丘。緩やかな斜面には桜が咲き誇っている。いつ来ても素晴らしい場所だ。
Sさんの企画では、8:30に公園に集合した後、乗り合いで登山口まで移動することになっているが、勝手ながら自分だけ足慣らしのため登山口の現地集合とさせて頂いた。
登山口まで、山を歩くか車道を歩くか悩んだが、山を歩くと同じコースで戻ることになり、皆さんと歩く今日のコースを先に使うというのも何となく失礼な気がしたので、車道を歩いていくことにした。丁度、去年に自分が企画した大煙突ツアーの逆周りとほぼ同じだ。
沿道の桜を愛でつつ行き交う車に注意しながら舗装道路を歩いて行く。
死ぬほど嫌いな舗装道路も、あちこちに咲いている春の花に元気づけられる。山際に、濃い黄色のヤマブキが咲いていた。
余裕をもってスタート地点に到着。腰を下ろしてSさん達をゆっくりと待つ。
8時半過ぎに、「ガヤガヤ」と声が聞こえてきた。
「来たかな?」と腰を上げ、声のする方に行ってみると、想像以上に多くの人がいた。全部で20人近くいる。
Sさんから紹介して頂き、挨拶をしてグループの輪に加わる。
前回の捜索でご一緒した見覚えのある方も数名。でも、記憶が定かではないので、こちらから話しかける勇気がなくしり込みしてしまった。その時、「この冬に雲竜に行かれませんでしたか?」と若い男性に声をかけられた。「雲竜? 雲竜渓谷?」と一瞬記憶を手繰るのに時間を要したが、「ひょっとして渓谷の入口で会った方ですか?」と答えると「やっぱり」と続く。雲竜の事をお聞きして10分程会話をしたのを覚えている。まさかこんなところで再会するとは驚きだ。
何度も登っている神峰山ではあるが、今回の登山コースは全くの初めて。存在も知らなかった。さすがはSさん。渋い道を選択される。そもそも登山道というよりは、山頂の神峰神社に向かって延びる参道とのこと。尾根伝いに登っていく古道だ。途中、参道である証に幾つかの鳥居をくぐりながら登っていく。特に飾り立てた鳥居ではないが、くぐる度に身が引き締まる気分になる。鳥居は神聖な結界なのだ。
神峰神社にお参りをして山頂で休憩。天気は曇り。少し霞んでいるが、いつものように大煙突と海が出迎えてくれた。絵画のような完成度の高い風景だ。
参加された皆さんからお菓子を頂く。あっという間に両手がお菓子でいっぱい。自分も配ろうとドーナツを持ってきたが、想定以上の人数に全然足りそうにない。見覚えのあるMさんにそう言うと、「大丈夫。そういう時は、女性優先で配ればOKですよ」とアドバイス。なるほど。
10分ほど休憩をとって出発。
神峰山からは日立アルプスのルートに合流して、途中、大煙突の接近ポイントに立ち寄りながら、かみね公園まで縦走しながら戻る。基本、海に向かって降っていくルートなので、とても歩きやすいコースになっている。
羽黒山で休憩を入れたのち、ルートを一旦外れて大煙突接近ポイントへと向かう。新芽が太陽に透けて輝いていた。有難いことにいつの間にか青空が広がっている。やはり桜には青空が似合う。
大煙突へのルートは、登山ルートとしては使われていないため、荒れてはいるが決して危険な箇所はない。尾根沿いに進むと自然に大煙突に突き当たる。草木が多い茂る夏にきた時には、煙突を見落としてそのまま尾根を降りそうになったこともあるが、この時期であれば、樹々の間からしっかり大煙突が確認できる。倒壊して3分の1しか残っていないにも関わらず、今もなお巨大な煙突が突如、山の中に姿を現す瞬間はとても圧巻だ。
煙突前の敷地境界を分けるフェンス前でお昼ご飯とする。
各々、自由な場所に腰を下ろし食事をとる。
来る途中のコンビニで買った弁当を口に運びながら、反対側の斜面を眺めると大島桜が沢山咲いているのが見えた。普通の桜に比べ、白っぽい花びらが特徴。春を象徴する華やかなピンクも素敵だが、白の桜も清楚でまた格別に美しい。
目の前の斜面を埋め尽くすように、いっぱいの大島桜が咲き誇っている。白い絨毯の中に、山桜の淡いピンクも混じり美しいグラデーションをつくっている。また、新緑のコントラストが絶秒に主役の桜を際立たせている。
隣に座っていた方が、微笑みながら「山が笑っているなあ」という。「山が笑っていますね」と思わず答える。
風流で粋な表現だ。「山が笑う」とは、俳句で用いる春の季語。春になり新芽が出て花が咲き始めた状態をよく「新緑が萌える」というように表現するが、山全体が「色とりどり」に変化していく様を「山が笑う」という。まさに目の前の風景そのもの。淡い白の大島桜の美しさは、きっと写真でも残せないだろう。それを記憶に留め、「山が笑う」という表現で、いつでも記憶から呼び起こす日本人の感性は本当に素晴らしい。また、桜が開花することを「花笑み」という。見ているだけで自然に心が豊かになり誰しも微笑むからだろうか。そんなことを考えながら、咲き誇る桜の風景を心に刻む。
ちなみに、ここの大島桜は大煙突と大きな関係がある。日立鉱山からの煙害との闘いとして、そのシンボルとなる大煙突の建設があるが、それは新田次郎の「ある町の高い煙突」を読んでもらうこととして、煙突により煙害を乗り越えたのち荒れはてた山を戻すため、約260万本の大島桜が植えられたと言われている。目の前の美しい風景にも、深い歴史があるのだ。
しかし、改めて見事な大島桜の乱舞。大島桜を目当てに神峰山に来たのは初めてではないが、こんなに絶好のタイミングで咲き誇る大島桜を見たのは初めてだった。Sさんに大感謝だ。
食事を終えて、大煙突の展望台にも立ち寄りながら、かみね公園へと戻る。公園の桜も太陽の光を浴びて、朝よりも鮮やかなピンク色でゴールを飾ってくれた。
春の風景と会話を楽しみながら、のんびり登山。。。Sさんとそのお仲間に入れて頂き、とても光栄な一日でした。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 花開く new隣人 山笑う

  • 我々は常に山で笑う!だ。
    ^_^

登った山

神峰山

神峰山

587m

羽黒山

羽黒山

491m

鞍掛山

鞍掛山

248m

よく似たコース

神峰山 茨城県

日立市民に親しまれる神峰山縦走コース 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
縦走
歩行時間
3時間38分
難易度
★★
コース定数
16
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