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初夏の風が揺らす鬼怒沼山のワタスゲ

鬼怒沼山、物見山(毘沙門山)( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 女夫渕駐車場を利用。ナビには「女夫淵温泉」を目印に。林道の突き当りにある。無料。綺麗なトイレあり。

この登山記録の行程

女夫渕駐車場(04:16)・・・八丁の湯(05:19)・・・加仁の湯(05:27)・・・日光澤温泉(05:38)・・・丸沼分岐(05:50)・・・オロオソロシの滝展望台(06:06)・・・鬼怒沼湿原(06:57)(休憩~07:25)・・・鬼怒沼山(07:49)・・・物見山(毘沙門山)(08:35)・・・鬼怒沼湿原(08:55)(休憩~09:28)・・・オロオソロシの滝展望台(10:10)・・・丸沼分岐・・・日光澤温泉(10:33)・・・加仁の湯・・・八丁の湯(10:56)・・・女夫渕駐車場(11:48)

コース

総距離
約22.9km
累積標高差
上り約1,676m
下り約1,673m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

昔の上司の誘いで、金曜日の夜から泊まり込みで県内のコテージでアウトドアを愉しんだ。それはそれで楽しかったが、週末に山がないのはやはり寂しいと、帰宅後、洗濯と部屋の掃除をさっさと済ませ、車に荷物を詰め直してそのまま栃木方面へと飛び出す。
梅雨明けのくそ暑い中だからこそ「うへー」となるような登山がしたいと、頭の中に「男体山」を思い浮かべる。
家を出た時点で16時と遅めだったこともあり、栃木県に入って間もなく夕方を迎えた。
夕陽が周囲を赤く染める。
とりわけ大きな山塊が赤く染まっていた。ドキッとするほどに美くしく、ひときわ際立つ那須岳のシルエット。それを見た瞬間に、あのシルエットの向こうに行ってみたいとふと思った。すっと浮かんだのが「行きたいリスト」のページから「鬼怒沼山」の文字。先日の尾瀬に近い、天空の湿原と呼ばれる場所。一度見てみたいと思っていた。「よし、そこに行こう。」
途中のスーパーで買出しをして、くねくね道をひた走り21時にようやく夫婦渕の駐車場に到着。温泉客もいるためか、思ったより多くの車が停まっていた。
外に出ると、大きな月が出ていたので、満天の星空はかき消されて観ることはできなかったが、雲一つない空が綺麗に広がっているのが確認できた。明日も晴天の予感。トイレで顔を洗い早朝行動に備えて就寝とする。
3時半に起床。軽く朝食をとり4時過ぎに出発。
駐車場奥の大きな橋を渡り、林道を登っていく。
本当は、橋を渡り切った右側のところに階段があり、正式ルートはそこから始まるが、薄暗かったのと勢いよく歩いていたのもあり、見落として通過してしまった。
林道のコーナーを3つほど曲がり違和感に気付く。
「川沿いにまっすぐ進むルートだったはず。こんなに蛇行するはオカシイ。」
戻ろうかと悩んだ時に「奥鬼怒沼温泉」の看板が見えた。途切れたガードレールの間から登山道が延びている。「ラッキー!」。ここからルートに戻れそうだ。
登山道を少し進むと、思っていたより早く本来のコースに合流することができた。
透明度の高い清らかな清流に沿って歩く。秘境と言われる大好きな大杉谷に雰囲気がとても似ていた。
河原の方で、タープを張って野営をしている人を見かけた。ブームもあってか最近はブッシュクラフトを楽しむ人が増えている。でも、「こんなところで焚火をしていいのか?」とか思いながら横を通り過ぎる。
登山前の林道歩きは直ぐに飽きてしまうが、川を遡上するように沿って歩くのは楽しい。なにより涼があってよい。
1時間ほど歩くと、いきなりリゾートのような立派な建物が見えてきた。秘湯「八丁の湯」だ。森の中に佇む温泉旅館。よく「都会の喧騒から離れて」みたいなキャッチを聞くが、まさにそんな感じ。ゆとりができたらゆっくり泊まりに来てみたいものだ。(ゆとりってなんだ? 笑)
八丁の湯から、加仁湯を経て日光澤温泉へ。奥鬼怒温泉郷を順に歩いていく。加仁湯と日光澤温泉も八丁の湯とはまた違った趣があって、どちらも旅心をくすぐる外観をしていた。
日光澤温泉まで来たところで道が一旦止まる。
「あれ、この先どうやって進むんだ?」と一瞬戸惑うが、宿の手前に設置されていた登山ポストに気付く。近寄ってみると建物の裏側に抜ける通路があり、その先に登山道の入口がある。どうやらここから本格的な登山が始まるようだ。
登山ポストの近くに水場があった。コップが設置されていたので、ナミナミ注いで飲んでみる。ヒンヤリとしていて極上の味だった。降ってきた時は大汗をかいているだろうから、この冷たさきっと最高に違いない。帰りの楽しみが増えた。
登山口を少し進んだところにある小さな橋を渡り対岸へと渡る。ここから先は一気に鬼怒沼湿原へと高度を上げていく。ガイドブック等ではかなりの急登と書かれていたので楽しみだ。
オロオソロシの滝展望台へ到着。反対側の山の中腹に一条の滝が見えた。
足を止めると途端に汗が「ぶわっ」と噴き出してくるが、森の中の空気はヒンヤリと心地よく、思っていたよりは歩きやすい。
滝展望台からは更に斜度が増す。とは言え、想像ほどではなく、直登部分は思いの外短かった。あくまで急登好きの個人的(変人の)な感想ではあるが。。。
全体コースのイメージとしては、滝展望台からグッと直登したのち、トラバース的に左横方向へと移動して、その後緩やかに登っていく感じ。
その緩やかな登りも徐々に水平移動となり、そうなると目指す湿地帯も近い。
木道が現れると同時に森を抜ける。
抜けた瞬間、山の上とは思えないような風景が突如出現する。まさに「天空の湿原」。
抜けた瞬間、解放感と共に湧き上がってくる感動は、実際に汗をかきながら登ってこないと味わえないだろう。
一面に広がる緑の湿原。その中を、木道が緩やかにカーブを描きながら延びている。
大小の池塘があちこちに点在している。青い空に白い雲、それが池塘の水面にも映り込んでいる。
鬼怒沼山は「日本で最も高い高層湿原」と呼ばれている。実際には苗場山とか平ヶ岳の池塘の方が高い場所にあるのだが、これだけ多くの池塘に恵まれている高い標高にある湿原は確かにそうはないだろう。
誰も登ってこないうちに、木道に寝転びながら空を見上げ湿原と一体になる。
森の中にはしつこいくらい虫が飛んでいたが、光が射しこむ湿原までは入ってこないようだ。その陽射しはとても強いが、爽やかな風が吹いていて、むしろ心地よい。このまま目を閉じるとそのまま寝てしまいそうだった。
湿原の植物たちに目を向けると、びっしりとモウセンゴケが生えていた。カメラをズームして観察してみると、繊毛のような触手がなんとも愛らしい。以前、真夜中に湿地帯を歩いたことがあるが、息ができないほど虫が飛び交っていたのを思い出した。こんなにびっしりとモウセンゴケがあって、生き延びていけるのかと心配になるが、その倍以上に虫もいて、そうやって生態系が成り立っているのだろうと、ひとり感心する。
鬼怒沼山は眺望がないため、登山としては人気がないというが、ここまで素敵な風景があれば眺望はむしろ余計だ。真っ白な雲とワタスゲ。真っ青な空と池塘の水面。そして緑一色の湿原。この3色をベースに季節の移り変わりがあれば言うことなしだ。
このままずっと風景を眺めていたかったが、時間も限られているため鬼怒沼山の方へも足を延ばしてみる。
鬼怒沼山へは湿地帯の奥から登っていくが、既に湿地帯は高所にあるので30分程度でたどり着くことができる。向かう途中、遠くに燧ヶ岳が見えた。遥かなる尾瀬。先週歩いたばかりなのにもう恋しくなってくる。今度は秋に訪れてみたいものだ。
鬼怒沼山の山頂に到着。確かに眺望がまるでない。それならもう一つの山頂はどうだと、一旦、湿地帯へと降りてそのまま反対側にある物見山へと登ってみる。
物見山も湿地帯から30分程度。名前からして、きっと眺望があると信じていたが、ギリ、至仏山が確認できたが、やはり眺望は乏しかった。
再び湿地帯に戻り、最後にじっくりと風景を心に刻み、下山する。
帰宅後、山の報告をしたところ先輩から、鬼怒沼山から尾瀬へいつか縦走しようと連絡があった。なるほどそれは素敵だ。鬼怒沼山へ、いつかまた。

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みんなのコメント

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  • 湿原ブーム到来~

  • 白山の3つのミッションにもお付き合いください。
    ちなみに今週末の岳蔵さんは、なかなかいいコース歩きますよ。普通の人じゃ歩けないなぁ。

登った山

鬼怒沼山

鬼怒沼山

2,141m

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