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豪快滝群遡行と湿原と巨大磨崖仏

神爾滝、八雲ヶ原湿原(大津市)( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (マローズ さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

バス
その他: JR湖西線比良駅から江若バスに乗車し、12分で「山麓リフト前」バス停降車。尚、比良登山リフトや比良ロープウェイ、江若バスの路線は’00年代に入り、廃止されたため、現在、比良駅から山麓リフト前バス停跡までは徒歩になる。

この登山記録の行程

山麓リフト前バス停(20数分)雌滝(40分ほど)雄滝(30分ほど)登山道に合流(1時間ほど)北比良峠(15分)八雲ヶ原(20数分)天巧磨崖仏(10分弱)比良ロープウェイ山上駅
※当時のコース図等は廃棄しているため、コースやコースタイムは正確ではない。

コース

総距離
約4.0km
累積標高差
上り約734m
下り約111m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

琵琶湖に流れ込む比良川の上流は、明るい花崗岩の谷・神爾谷(じんじのたに)となっており、雌滝(落差15m)と雄滝(落差18m)を中心とした滝群・神爾滝が懸かり、沢登りルートがあるが、滝群は上流に進むに連れ、豪快さを増す。両滝やその他の滝も落差こそ小さいものの、水量が多く、谷に轟音を轟かせている。
谷の遡行を終えると蟻地獄と呼ばれる、奇岩が林立するザレ場に達し、北比良峠からは山野草の宝庫である高層湿原・八雲ヶ原を回遊する。
八淵滝の遡行コースのように、誰でも遡行できる訳ではないが、神爾滝最大の雄滝(四の滝)までは特に難しい箇所はない。

バス停から北上し、釈迦谷を渡ると道は二手に分かれる。本道は右手の方だが、それでは谷の遡行を最初からできないので、左の道に入る。道はほどなく踏み跡と化し、不明瞭になる。

神爾谷を渡ると、六基の砂防ダムが連続する広い河原の右岸を上って行く。
雌滝(一の滝)は直瀑で滝壺も狭いが、形は良く、水量も多いので、実際の落差よりも高く感じる。
左手の岩場に鎖場があり、これを伝って滝を越える。

登り切ると谷はやや開け、二段に落ちる落差13mの二の滝が現れる。滝壺こそ形成されてないものの、雌滝よりも豪快で、二段目は五条にもなって飛沫を上げている。まるで水が岩を断ち割って落下しているかのように感じられる。写真でもそれが伝わることだろう。
この滝は東側を巻いたと思う。

谷が右にカーブした先の滝は、傾斜のある落差5mほどの滝壺を擁す三の滝だが、水量の多さから落差十数mの規模のように錯覚する。
この滝は左岸を登って越える。

谷は今度、左にカーブを描くが、しばらく進むとこれまでにない轟音が聞こえ出し、谷最大の滝・雄滝(四の滝)が姿を現す。滝の形状はややいびつで、上部の幅は狭く、中段で突き出した岩に当たり、弾けるように飛び散っている。この滝も迫力があり、落差は25m以上あるように感じられる。

この滝の所で右手の道を上がって登山道に出たのか、それとも雄滝の更に上流にある、滝が連続するゴルジュ部を越えてから登山道に出たのか、記憶が定かではない。
前者の場合、前述のゴルジュ帯の右手上方を進み、それを越えてから谷を渡り、右岸を遡行する。再び鎖場も現れる。

谷が涸れ沢となり、樹林帯を抜けると扇状地のザレ場になり、高さ七、八メートルほどの先の尖った花崗岩が林立する箇所に到るが、ここを「蟻地獄」と呼ぶ。
やがて、正面谷から分岐して尾根を上がってくるダケ道に合流し、比良ロープウェイ山上駅側の北比良峠に立つが、峠の手前か先に琵琶湖を望む絶景ポイントがあったと思う。その景色の中では、特に雄松崎にある小松沼と琵琶湖に浮かぶ沖島が印象的。沼の東側は天橋立を彷彿させる。沖島は周囲6.8kmで、日本唯一の湖の有人島。保元・平治の乱に敗れた近江源氏の落ち武者によって開拓されたと言われており、戦国期には複数の城を擁す軍事拠点だった。

峠からは八雲ヶ原湿原へと向かう。湿原は国定公園特別保護区に指定された、周囲を山々に囲まれた湿原だが、元々は鴨川源流が奥ノ深谷の方へ流れていた頃の川跡が湿原化したもの。春にはショウジョウバカマ、初夏にはシャクナゲやレンゲツツジ、盛夏にはトキソウやカキラン、サワギキョウ等、四季を通じて多種の花々が咲き誇る。

湿原には木道が敷かれ、自然観察できるようになっているが、湿原の中には八雲池という池もある。この池の側には当時、比良山スキー場の無粋な建物が複数あったが、スキー場もロープウェイ等と共に廃業した模様で、現在では建物は撤去されているという。

八雲池北方の八雲ヒュッテ(廃業)から南東に折れ、比良ロッジ(廃業)付近の分岐から南西に折れて山上駅へと向かうが、途中、左手に天巧磨崖仏への小径が分岐する。天巧磨崖仏とは、巾20m、高さ10mの花崗岩が人型の六体に分かれもので、それぞれに六観音が充てられている。

何千何万年という歳月をかけ、風雨によって浸食された自然の芸術だが、比良山(比良山系)は奈良時代、東大寺開基・良弁僧正によって開山された霊山で、密教的な観音信仰が発達していたので、その影響によるものだろう。
昭和41年、谷口久次郎知事が、「天が巧みに崖を磨いて造った仏」と評し、「天巧磨崖仏・六体観音」と命名した。

ロープウェイが廃止された今日では、北比良峠からダケ道を下って正面谷からイン谷口へ下山するか、金糞峠まで山脈を縦走し、そこから正面谷を下るといいだろう。

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