行程・コース
この登山記録の行程
馬返し(09:16)・・・一合目(09:53)・・・八合目避難小屋[休憩 20分](11:55)・・・不動平避難小屋(12:28)・・・岩手山(薬師岳)[休憩 10分](13:10)・・・不動平避難小屋[休憩 30分](13:37)・・・八合目避難小屋・・・五合目・・・一合目・・・馬返し(15:55)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
天候は晴れ
風がとても強かったです。
2日前、ツアー客が強風のため山頂アタックをとりやめたとか。
その時の風速は30mと聞きました。
私はツアーじゃないので強風でも山頂まで行く気満々で挑みました。
8合目の山小屋まで登るととても風が強くなり、風速計は持ってきませんでしたが
感覚でざっくり風速15mくらいなのかな。
後でバーナーでカップラーメンのお湯を沸かしたのですが、
火力最強で火が消えるほどの風です。
そこから火口の淵まできました。
風を遮るものがないのでさらに強くなりやっと歩けるほど。
感覚で風速25m~30mって感じです。
歩けるが走れない、歩きでもよろけるほど。
台風の時、危険と分かっていて外に出て風を浴びたことがあるのですが、
それくらいの風です。
まあなんとか歩けるので山頂へは行けそうです。
右回りと左回りのどちらかで行くのですが、他の登山者はみんな左回りをしていました。
右回りは火口の内側の浅いところを通ります。
私は右回りをすることにしました。
まず火口の内側に降りていき若干風が弱くなったような気がしました。
先に湯気が出ているところが見え、その先には剣もありました。
岩手山にも剣があったんですねぇ。
このときまだ私は火口の内側にいたのですが、左回りをした4人組が火口の淵を歩いてきました。
やはり淵はかなりの強風で、その4人組は私が内側にいるのを見たのか、淵歩きをやめて火口の内側に降りてきました。
強風なんだなぁって思ったところです。
私もその先は淵歩きになります。
その時、一瞬で周囲が真っ白になりました。
雲が強風で流れてきたのです。
視界は30mほど。
ですが、強風のためかすぐに晴れました。
いや~、こんな強風の中一瞬で目の前が見えなくなったのは怖かったです。
そしてその淵に来たところー・・・
そこはかなりの強風で私は「こんな風では歩けない!」と感じ、
足を止めました。
その時私は足を開き、身体を噴火口側に斜めに向けて足を踏ん張り、さらに、
ストック2本を風下側に突き刺して止まっています。
風は淵の内側から外側に吹いていて、歩ける道幅は20mほどの平坦。
私はその真ん中を歩いているのですが、この強風で飛ばされることが頭をよぎり
風で初めて恐怖を感じました。
歩けないからといっても、いつまでもそこにとどまっていることはできないので、
何か掴まるものはないかと周りを見渡し、2mほど先に膝程度の岩がありました。
その岩まで超強風の中、じわじわと足を進めなんとか岩にしがみつき、座り込みました。
風上に顔を向けると、頬の肉が風になびいて、スカイダイビングをしているかの様な変形様です。
暫く待っても風は一向に弱まる気配はなく、やはりいるまでもここにとどまっているわけにはいかないと思いました。
風に飛ばされる危機で私は恐怖を感じていたので、戻ることも考えました。
私はこの超強風地帯を数十メートル進んでいることと、
前方から一人の登山者がこちらへ向かってきていること。
その登山者は前方300mほど先、その人は風をあまり感じていないようで、
あそこまでいけば、超強風地帯を抜けられると考え、
私は先に進むことを決めました。
しかし、簡単には歩けません。
私の先10mほど先に、同じような小岩がありました。
まずそこまで行くことを決めました。
立つとやはり強風はすさまじく、決してまっすぐは立てません。
また足を開き、体を斜め、ストックを斜め差しして、
少しずつじわりじわりと足を進めます。
やはり超強風でまっすぐ歩こうとしても、風下に体が流されます。
ほんとうにすごい強力な風なんです。
風下側は火口淵の外側、ここから見えるのは遙か下の景色です。
淵の向こう側の傾斜を見えるところまではとても行けません。
どんな傾斜なのか、緩いのか、崖なのか、本当の命がけでしたので、
確認見ることはせず、生きることを優先して先に進みました。
なんとか次の小岩にたどり着き、またしゃがみこんで小岩に身をがっちり掴みました。
このとき思ったのは、風上に顔を向けたとき、もしも拳大の石が飛んできて、
頭に当たったら生きていないなぁとさらなる恐怖です。
先に進むのはとても困難なのですが、このままいつまでもじっとしていられないので、
意を決して歩みを進めました。
この先に掴んで身を任せるこ所はなく、超強風地帯を抜けるまで歩くことになります。
すると2,30mほど進むとやっと風は弱まり、歩ける程度になりました。
とは言っても風は依然強風です。
その先でさっき見たこちらに向かうおじいさんとすれ違い、超風地帯のことを伝え、私は足を進めました。
そこから山頂まで登りです。
登り切って山頂標識で記念撮影、この山頂は先ほどの超強風に比べるとぜんぜん弱いですが、ここも強風です。
その後、男女の登山者が左回りで山頂へたどり着いたのですが、女性の方は強風で標識周囲の岩を掴まり座り込み、バテバテでした。
私は先に進まず、今来た道を戻るように伝え私は下山することにしました。
私は淵を進んでいるのでが、そこも強風、やっと歩けるほど。
風は淵の外から火口側に吹いています。
感覚的に風速25m~30mほど。
さっきの超強風地帯は火口のまったく反対側です。
思ったのですが、超強風地帯の風は、私が今いるところから強風が火口の内側に入り、
火口の内側にはさらなる山にあり、風は淵と山の間を通ることとなり、
その風の通り道は狭まることとなり、風は圧縮されて、淵の反対側では、今の風の2倍近くの強風が発生していたんだ。
と思いました。
超強風地帯、風速計は持っていきませんでしたが、風速50m~60mくらいあったんじゃないかなと思っています。
私は結構ガッチリ体系の95kgです。
体力的にも自信がある私が飛ばされる恐怖を感じるほどの風、
日によっては強弱あると思いますが、みなさん気を付けてください。
淵に立った時もしも強風だったら風下側ルートは避けたほうが良いでしょう。
この日山頂は気温は3度でした。
この2日後、岩手山の強風地帯で死亡者が出てしまいました。
身動き取れず体が凍えて亡くなったそうです。
私が登った日、下山して八合目の山小屋で休憩しているとき、山頂へ向かう人全員に右回りは強風で危険なので左回りをするように伝えました。
このとき私が話しているのを山小屋の主も聞いていたのですが、主の方は危険を知っているはずです。
なぜ登山者に危険を周知しなかったのでしょうか。
いま考えても憤ります。
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