• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

花の苗場山に登り、赤湯の秘湯に下る (6B)

祓川ー苗場山ー赤湯( 上信越)

パーティ: 1人 (すてぱん さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

1日目:晴れ、二日目:晴れのち曇り

登山口へのアクセス

タクシー
その他: (行き)越後湯沢駅からタクシーで和田小屋(約40分 5720円)
(帰り)元橋バス停から越後湯沢駅(590円)

この登山記録の行程

【1日目】
和田小屋(08:16)・・・下ノ芝[休憩 10分](09:08)・・・上ノ芝[休憩 10分](09:57)・・・神楽ヶ峰(10:25)・・・苗場山[休憩 60分](11:35)・・・九合目坪場[休憩 20分](13:15)・・・苗場山(14:10)

【2日目】
苗場山(05:55)・・・九合目半(06:18)・・・フクベノ平(07:52)・・・赤湯温泉山口館[休憩 60分](09:14)・・・林道終点(11:15)・・・元橋(13:12)

コース

総距離
約22.7km
累積標高差
上り約2,073m
下り約2,474m
コースタイム
標準12時間45
自己10時間31
倍率0.82

高低図

標準タイム比較グラフ

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

梅雨の合間を狙って苗場山へ。登山道沿いにはイワカガミやチングルマ、サラサドウダン、シラネアオイなどたくさんの花々、山頂に広がる高層湿原にはワタスゲなどが咲いていた。苗場山の山行記録には、よく「舐めていた」とか「思ったよりもきつかった」というコメントが出てくるが、出戻り登山者の感想も同じだ。標高差や歩行距離では測れない手強さが、この山にはあるように思う。ことにその思いを強くしたのは、赤湯を経た下山コースだ。

<新幹線であっという間に登山口へ>
東京駅6時過ぎの新幹線で越後湯沢に出て、タクシーで和田小屋まで行けば、8時半前には歩き始めることができる。交通費を別にすれば、丹沢や奥多摩に行くよりも気軽にアプローチできる。新幹線はやはり早いと改めて思う。

<よく整備された祓川コース>
和田小屋から登る祓川コースは、一番人気があり、要所要所にベンチや木道の階段などよく整備されているが、大きな石がゴロゴロして段差が大きく、ぬかるんでいるところもあるので注意。イワカガミなどの花を愛でながら登っていける。神楽ヶ峰まで登り着くと初めて苗場山が全貌を現し、一旦鞍部まで下り、急登を山頂に向けて登り返す。途中、雷清水の水場があるが、冷たくて美味しい水だ。苗場山はテーブル状の山容なので、どのコースを取っても最後は急斜面だが、登りきると突然有名な高層湿原が広がり、思わず歓声が湧き上がる。それにしても山上の高層湿原とは、やはり不思議に思う。急登を経ているだけに、伸びやかに広がる草地や池塘は、楽園を思わせる。

祓川コースを往復すれば、日帰りも十分可能だろうが、苦労して辿り着いた山頂の高層湿原をゆっくり楽しむ余裕には欠けるだろう。今回は、自然体験交流センター(山頂ヒュッテ)に宿泊(1泊2食付き8800円、事前予約必要)し、散策や朝夕の山上を楽しむことにした。

ブヨなどの虫が多いので、虫よけ対策は抜かりないように。顔を覆う防虫ネットをつけている人も何人か見かけた。出戻り登山者は、虫よけスプレーを一回使ったが、それで十分だった。ただ、ヒュッテのおじさんの話では、「虫はこれから、もっと凄くなる」そうだ。

<手強いが秘湯も楽しめる赤湯コース>
多くの人は祓川コースを往復するようだが、帰りもタクシー利用ではお財布に痛いし、バスが利用でき、秘湯も楽しめそうな赤湯コースを下山ルートに選んだ。これがかなり手強いルートだった。高層湿原から山頂の平坦部のヘリに進むと、いきなり足場の悪い急降下になる。また、道標や鎖なども整備されているが、祓川コースに比べると道も荒れ気味だ。傾斜が緩むと、シラビソ廊下と言われる尾根伝いになるが、振り返ると苗場山がテーブルマウンテンであることがよくわかる。もし、熱帯雨林にこの山があったなら、ロストワールドの舞台となったベネズエラのアウヤンテプイのようになっていたかもしれないと想像した。シラビソのコースは、再び傾斜を増してブナの大木の森になる。下草も繁茂して緑が滴るようだ。大きい石がゴロゴロ、粘土状粘で滑りやすい急斜面なので注意。道はやがて尾根を離れて沢沿いとなる。

傾斜が緩んで沢にかけられた鉄橋を二つ超え、川原を進むと赤湯温泉山口館だ。500円を箱に入れて、川に面した野趣あふれる露天風呂で汗を流す。ここまで簡単にはたどり着けないだけに、源泉掛け流しの温泉は文字通りの秘湯だ。三つある露天風呂はそれぞれ異なる源泉から引いているそうで、二つは男性用(薬師湯、玉子湯)、女性用(青湯)は囲いがされている。夜間は男女のお風呂が切り替わるそうだ。

<登り返し、また登り返し・・・>
赤湯から元橋バス停まではコースタイムで4時間、まだ先は長いが、気分的にはダラダラした林道の下りくらいしかイメージしていなかった。けれども赤湯コースは、ここからもしごかれる。林道に出るには尾根を一つまたがねばならず、未舗装の林道から小日橋(マイカー利用の人はここで終点)を過ぎ、再度登山道を「下る」。と思っていたら、実はそこからさらに急登が待ち受けている。しかも、この急登はトラロープを頼りに土が崩れた箇所をよじ登るところもあり、荒れている。要所に道標もあるのだが、ちょっと初心者にはオススメしにくいと感じた(それまでが整備されたコースだから、初心者なら道を間違えたと思うかもしれない)。ただ、小日橋までマイカーで入る場合は、この限りではないだろう。

二週間、山から遠ざかっていたこともあろうが、久しぶりに筋肉痛だ。苗場山は、山上のたおやかな高層湿原のイメージが強く優しげだが、舐めたらいかんのである。ルート定数52.0。祓川コースは新潟県の評価ではB難度。一方、赤湯コースは鎖場やトラロープ、崩れている箇所やルートファインディングが必要な箇所もあり、C難度か?

続きを読む

フォトギャラリー:80枚

越後湯沢駅からタクシーで和田小屋まで。天候は予報通り、回復に向かっているようだ

ベニサラサドウダン

サンヨウカ

アカモノ?

登山道のあちこちにこイワカガミが沢山見られた。

神楽ヶ峰から苗場山。ここから一旦下って、再び登り返す

雷清水の水場。この時は水量豊富だった。冷たくて美味しい。

カラマツソウ?

ハクサンボウフウ?

アカモノ?

神楽ヶ峰方向を振り返る

ミツバオウレン

きつい急登を登りきると、いきなり高層湿原が広がり、思わず歓声

ワタスゲもたくさん

山頂ヒュッテ

全コース中唯一雪が残っていた箇所

チングルマとヒメシャクナゲ。これがシャクナゲの仲間だなんて・・・

タテヤマリンドウ?

坪場に向かう道は、大きな岩がゴロゴロしていて歩きにくい箇所も

坪場近辺の池塘。遠方に見えるピラミダルなピークは、鳥甲山

初日の夕暮れ。ブヨが沢山いるので虫除けは忘れずに

二日目の夜明け

山頂台地を赤湯コースに向けて進む

苗場とはよく名付けたものだと思います

テーブル状の山頂部から、ストンと急降下する。エッジは岩場

少し下ったところから苗場山の山頂部を振り返る

シラビソ廊下と呼ばれる尾根道を下る

イワカガミは、登山道沿いの至る所に咲いていた

苗場山が、平坦な山頂部の高層湿原から切れ落ちたテーブル状の山であることがよくわかる。

マイヅルソウ?

ゴザンタチバナ

面白い造形じゃあありませんか?

昨日登った祓川コースの稜線が見える

シラネアオイ?

深穴岩

ゴザンタチバナ

タニウツギ?

サラサドウダン

フクベノ平付近は、ブナが美しい

ズダヤクシュ

傾斜がきつく、足元は岩が転がり、ぬかるんでいるので注意。

蛇の抜け殻?後ほど2匹も大きな蛇に出会う

鉄橋で沢を渡る。ここまでくれば赤湯までもう少し。

二つ目の鉄橋を渡り、河原を進む

赤湯温泉山口館に到着

川に面した源泉掛け流しの露天風呂。素晴らしいお湯だったけれど、ここからまだ長時間歩くので、再び汗だくになることは必定。

温泉を堪能した後、再び急傾斜の登り返し。元橋バス停まで登山道、林道、登山道と4時間はかかると赤湯温泉山口館のおじさん。そりゃあ、秘湯なわけだ。

足場の悪い急登で再び汗ぐっしょり

小日橋。マイカー利用の登山者は、ここがゴール。しかし、バス利用者はここからまだまだきつい道のりが・・・

普通下山して林道になれば、事実上登山も終わりと思いますよね?でも、赤湯コースは甘くないんです。林道から分かれて、再び登山道に進む。ここからも荒れ気味の厳しい急登があり、びっくり。

ギンリョウソウ

世界最長のゴンドラ、「ドラゴンドラ」の下をくぐる

株立ちのブナの巨木

鉄橋を渡り、いくらなんでもこれで終わりかと思いきや・・まさかここからさらに急登があるとは・・・

要所要所に標識や、トラロープもあるのだが、コースは荒れていて、ちょっと初心者にはお勧めできないというのが、正直な感想。

最後の最後でぐんぐん「登る」!

足場の悪い急登を登りきると、無線中継基地が現れる。ここからようやくバスの通る国道17号線に下る。

最後まで苗場山にはシゴかれました。

すべての写真を見る

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

  • すてぱんさん お疲れ様でした

    苗場山の赤湯コースの状況が解りました
    日帰りでは難しいので避けていましたが、やはりこれからも敬遠するでしょう(しかし赤湯は、行ってみたい)

    山頂でゆっくりできてよかったですね(憧れです・・・日帰りメーンでは)

  • すてぱんさん こんにちは。
    真っ赤なベニサラサドウダン…綺麗〜 ツツジ類は今年あたり年だったのかな‥。
    テーブルマウンテン…っていうんだ〜。池塘に映る空も綺麗だったな‥また行きたい。
    昨夏、神楽から苗場山手前のお花畑で色々な花に出会えましたが、その先の登りが厳しくて相当こたえたのを思い出されました。

  • スーさん、コメントありがとうございます。
    スーさんなら赤湯コースなど、なんら問題ないと思いますが、下りのコースタイム7時間半となると日帰りは難しいですね。
    小日橋までマイカーかタクシーでアプローチすれば、1時間半ほど削ることができます。
    自分は、もし機会があったら、逆コースで赤湯で一泊というのもいいかなと思いました。
    アプローチが悪い分、秘湯感はたっぷりです。

  • やぎやぎさん、コメントありがとうございます。
    週末と梅雨の晴れ間が重なって、幸運でした。毎度の進歩がないのですが、花が綺麗に咲いている山は、花のことをもっと知ってから登るとより楽しめるのでしょうね。いつもそう思うのですが、なかなか花の勉強が追いつきません。

    苗場山の最後の登りはきついですよね。
    標高差から見たら、楽勝だと思っていた自分が甘かったです。
    orz

  • チングルマと混生しているのは、「ヒメシャクナゲ」と〜っても小さなシャクナゲなので…見つけられると嬉しくなる花です。
    ベニサラサドウダンの次が「サンカヨウ」かな…雨に濡れると半透明になって綺麗です。
    その次が「アカモノ」と6枚葉になって花がつく「ゴゼンタチバナ」後半「マイヅルソウ」の次にアップで撮れてます。日本固有種(1科1属1種)の「シラネアオイ」や カラマツソウ・ハクサンボウフウ?・オオカメノキ・ミツバオウレン?・サラサドウダン・ズダヤクシュ…などでしょうか?…順不同ですが参考まで…ww

  • やぎやぎさん、どうもありがとうございます!
    お差支えなければ、記事の方にも反映させてください。
    こうして教えていただき、写真と照合していくと、物覚えが悪い私も少しづつ知識が広がるようです。

    それにしても、「名前をつける」という行為はすごいことですね。
    こうやって、ある花と別の花を区別して、意味を持たせるのですから。

  • もちろんです。私も花の名前で検索することが多いので、載っていると助かります。
    反映するのは、花の名前だけでお願いします www

登った山

苗場山

苗場山

2,145m

よく似たコース

苗場山 新潟県 長野県

名峰・苗場山へ行く、もっともポピュラーなコース

最適日数
日帰り
コースタイプ
縦走
歩行時間
7時間5分
難易度
★★
コース定数
28
苗場山 新潟県 長野県

秋山郷から広大な湿原と花の宝庫の頂へ

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
8時間40分
難易度
★★★
コース定数
36
苗場山 新潟県 長野県

小赤沢から苗場山へ 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
9時間
難易度
コース定数
36
登山計画を立てる