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いよいよ富士登山! 登山中の注意点はコレだ!

 いよいよ、待ちに待った富士登山。5合目に立ったら、あとはひたすら頂上を目指すだけ、と思っていたら甘い! 5合目での準備、登山道の歩き方、急なトラブルやアクシデント対策などを、この章でしっかりとチェックして欲しい。

五合目に着いたらすぐに出発は危険。じっくり体を慣らそう

▲レストハウスで腹ごしらえするも良し。体を高度に
慣らすために、五合目で足慣らしが大切

 登山口の五合目に着いたら、すぐに出発せず、最低30分は軽く散歩をしたり、ストレッチをしておこう。これは、体を高度に慣らすためだ。五合目でも標高は2,500m前後、じっくり体を慣らして高山病対策をしておく必要がある。

 また、出発前から水を十分に補給しておくべきだろう。とくにエアコンの効いたバスや車に長時間乗車していた場合、軽い脱水症状を起こしているケースがあるからだ。

 水分を摂るとトイレが気になるが、トイレはこれから山小屋ごとにあるので心配不要だ。行動中の水をしっかり買い揃えたら、さぁ出発!

 なお、昼間は紫外線が強いため、日焼け止めを塗るなどの対策も忘れずに。

 
歩き方は「ゆっくり」が基本。先は思った以上に長いゾ!

▲富士山の登山道は、頂上に近づくにつれ急登
となる。しっかりペース配分しないとあとがキツイ!

 歩きはじめの30分~1時間ほどの体が温まってくるまでは、ごくゆっくり歩くのが登山の基本だ。

 富士山の主要コースは、五合目から六合目にかけては緩斜面で、ウォーミングアップにちょうどよい条件となっているので、この間はあせらずにゆっくり歩こう。

 六合目からは傾斜が強まり本格的な登りになる。歩行ペースは呼吸が無理なく続く範囲にとどめ、歩幅は普段よりも小刻みにしよう。

 姿勢は前かがみならないよう背筋を伸ばし、靴底全体で地面をとらえるようにして歩くと、バランスが安定する。

 なお、歩き方とは関係ないが、行動中は携帯電話の電源は切っておいたほうが良い。富士山では電波は入るが、市街地と比べると弱い。その状況では電源を消費しやすいので、山頂に到着する頃にはバッテリー切れとなってしまう。非常時のためにも、使うとき意外は「電源はOFF」がポイントだ。

 
休憩は登山技術の基本。1時間に1回はBreak Time

▲1時間に1回は、人の往来の邪魔にならない
ところで休憩を取ろう。

 登山では疲れたら休憩するというより、疲れる前に休憩をとって、コンディションを維持する。

 富士山は頂上までひらすら登りが続くので、もし途中でぐったり疲れてしまったら登山の続行は困難だ。そこで30~40分歩いたら5~10分の休憩をはさみ、このリズムをなるべくくずさないよう登っていく。

 休憩地は山小屋周辺やほかの登山者の妨げにならない登山道わきのスペースなど。コースを外れず、落石や滑落の危険がないところを選ぼう。

 
水分補給はしっかりと! カロリーの高い食べ物を持っていこう

▲途中の山小屋には、食べ物も飲み物も販売
されているので安心。ただし、街より高い
ことは覚えておこう

 長い時間を歩く登山では、日常の昼食といった決まった食事以外にも、休憩ごとにエネルギー源を補給する。そのための食料が行動食。糖質を多く含む菓子類やフルーツ、汗とともに失われたミネラル分を補給できるサプリメント食品などが適している。

 水分は休憩時に限らず、歩行中でもこまめに補給すると効果的。飲料はペットボトルのお茶やスポーツドリンクなど出発時に1リットル程度用意し、あとは途中の山小屋で購入するとよい。

 
高度障害が起きたら迷わず下山。救護所もあるので利用したい

▲アクシデントが起きたら、下山する
しかない。重大なアクシデントの場合は
救護所の利用も念頭に

 もし登山中にアクシデントが起こったら、迷わず下山しよう。富士登山のアクシデントで多いのは、頭痛や吐き気。これは高山病の兆候である。高山病は酸素吸入によって一時的に緩和することもあるが、登り続ける限り、改善する例はあまりない。対処の基本は登山を中止して下山することだ。

 外傷やネンザなどの場合は応急処置をする。そのための救急薬品は登山の必需品だ。グループで1つは用意しておこう。

 また吉田口の七合目・八合目と富士宮口八合目には救護所がある。重大な事故の場合は、携帯電話か山小屋から110番通報をして救助を求める。

 
悪天候時は下山も考慮。雷が鳴ったら急いで逃げ込め!

▲悪天候時の撤退の判断は難しい。周囲の状況と
天気予報を参考に、無理と思ったら下山する
のが賢明だ

 夏であれば台風が近づくケースがあるが、台風がまだ遥か遠くにあったとしても、富士山では大きく影響を受けるもの。登山して大丈夫かどうかは、直前情報をしっかりチェックしておこう。なお、台風が接近したら登山は不可能だ。

 また、行動中に急に天候が崩れるケースも決して珍しいことではない。周囲の状況をみて判断することになるが、思い切って下山することは正しい行動である。とくに雷が鳴ったら、すぐに登山はとりやめ、近くの山小屋に避難することが大切だ。

 携帯電話、カメラなどの電気製品の電源はすべて落とし、通り過ぎるのをじっくり待つしかない。雷が鳴っての行動は、自殺行為だ。

 
休憩・食事・トイレ・宿泊、山小屋を上手に利用しよう

▲事前に富士山以外の山に登っておこう。
首都圏近郊在住者なら、手軽な高尾山
などで準備してみては?

 ごく簡素な施設の山小屋も、高所の環境では、貴重なオアシス的な存在となる。癒しを求めることはできなくても、エネルギー補給と、寒さや風をよけ体を休ませることができる貴重な拠点だ。

 「山小屋のサービスが悪い」という人もいるが、山小屋に泊まる最大の目的は頂上に立つための足がかりとすること。ひと時でも体を休ませ、高度に慣れることを優先して考えれば、多少のことは気にしない割り切りも、山小屋利用のコツだろう。

 そんな山小屋で、少しでも清潔・快適に過ごしたいと考えるなら、バンダナを枕カバーにしたり、ウェットテッシュを持参して汗をぬぐうなど工夫をしよう。

 
楽しみながら登るのがコツ、焼き印・自然観察など楽しみ方さまざま

▲山麓で売っている編み笠は、登山中の日焼け対策
に役立つ。ちょっと目立つけど機能的だ

 子どもに限らず、コレクションは楽しいもの。富士登山でのコレクションと言ったら、何といっても登山口で買った金剛杖(1000円程度)。山小屋を通過するたびに焼き印(ひとつ200円程度)を押してもらうことができるので、まさに日本一のスタンプラリーとなる。

 他にも、登山道に普通に落ちている、おもしろい形の溶岩や軽石などを観察するも良し。デジカメを持たせれば、富士火山ならではの傑作写真が撮れるだろう。また、袋菓子を持っていけば、気圧の影響でパンパンに膨らんだ袋はきっと大人でも楽しめるだろう。

 最近では、「コスプレ登山」登山も流行りだ。揃えの帽子やTシャツで登ったり、おかしな格好で登る人はよく見かける。装備不足にならない程度の格好で、富士登山を楽しもう!

 
頂上直下の急登は難所。無理せずゆっくり進め!

▲頂上に近づくにつれ急登が続く。もし息が
続かなくなったら、立ち止まって深呼吸を!

 九合目付近まで登ってくると、いよいよと期待が高まってくる。夜間登山なら日の出の時刻が気になってくる。

 ただし頂上直下は傾斜が強く、高山病の兆候も出やすい条件だけにオーバーペースは禁物。これまで通り、休憩をはさみながら、無理のないペースで登っていこう。

 もし息が続かなくなったら、立ち止まって深呼吸する。ゆっくりと息をはいて深く吸い込む複式呼吸をするだけでもだいぶ違う。あとは気力でがんばろう。

 
夜間登山は危険がいっぱい。十分な装備と心構えを!

▲最近では、御来光目当ての登山客で夜中でも
山頂付近は大混雑。くれぐれも事故には
気をつけよう

 七~八合目の山小屋に泊まり、頂上でご来光を迎えるには、山小屋を午前1時前後には出発する。夜間の気温は10度を下回るので、まずセーターやレインウェア、帽子、手袋などで防寒する。

 照明はヘッドランプを使う。夜間も登山者が列をなし、その列について登っていけば、道に迷うといった心配はない。ただし、体力的にはハードだ。もし不安を感じたら、朝まで山小屋でゆっくり休み、明るくなってから頂上を目指そう。

 
頂上からは郵便が出せる! 山頂登頂記念グッズはイロイロあるぞ!

▲富士山頂郵便局からは、登頂記念の
絵葉書を送れるサービスもある

 富士宮ルートの山頂には夏の間、郵便局がオープンしている。事前に手紙を用意して山頂から出すのも良いが、郵便局や周辺の売店では、さまざまな記念ハガキや登頂証明書代わりのはがきなどが準備されている。夏休みの思い出には最高となるはずだ。

 また、山頂で忘れてはならないのが、本サイトでもおなじみ、富士山山頂写真家の小岩井大輔氏の写真集だ。山頂山小屋「扇屋」に立ち寄った際には、ぜひ小岩井さんを応援してほしい。

 なお、山と溪谷社では、山頂山小屋「扇屋」に、今年も「登頂証明書ダウンロードサービス」を設置。設置してあるQRコードに、携帯電話をかざせば、登頂証明書をダウンロードできるので、ぜひ挑戦してほしい。

 
山頂にたどり着いたら、余裕があれば「お鉢めぐり」へ

▲火口を一周する「お鉢めぐり」にトライして
ぜひ最高点・剣ヶ峰を踏み、日本最高地点に立とう!

 無事、頂上に登り着き、これからご来光を待つなら、まずは体が冷えないうちに防寒を整えよう。

 ご来光のあとは、山頂火口を一周するお鉢めぐりへと足を延ばしたい。お鉢めぐりの所要時間は約50分。ハイライトは、なんといっても富士山頂の最高点・剣ヶ峰への登頂だ。

 ただし、風雨が強いときや体調がすぐれない場合、無理は避けよう。各コースの頂上に登り着くことで富士山登頂は達成できた。五合目まで安全に下山することを優先しよう。



富士「下山」は登山以上のミッションとなる!

 山頂にたどり着いて、達成感いっぱいとなったあとは、「日本一」の下山が待っている。この長い道のりを歩くミッションにも、大切なノウハウがある。

下山前の最大のミッションは、水の確保&トイレ

▲下山前に、水とトイレは忘れずに!
 多少高価でも、水の確保は必須だ

 登頂した安堵感からか、忘れがちなのが下りの飲料水。これを忘れると、ノドカラカラの状態で砂漠のような道をえんえん歩くことになる。

 特に河口湖ルート(吉田ルート)へ下山するときには、八合目付近で小屋近くを通過する以外は、まったく店がない下山路を歩くことになる。

 ご来光後、燦々と照りつける日差しの中、木陰も沢水もない溶岩の乾いた道。しかも下りの距離も高さも日本一。そんな中を4時間以上歩くことを考えたら、高価でも山頂で飲料水を確保しておくことをお勧めしたい。

 ついでに、トイレも遠いゾ。

 
下山のツラさは登山以上!? 土砂対策・埃対策を万全に!

▲下山路はひたすら下るのみだが、
考えている以上にツライことは覚悟しておこう

 みごと登頂を達成できても、無事、下山するまでが富士登山だ。気を引き締め直して下山をはじめよう。主要4コースのうち富士宮ルートと御殿場ルートは、登り着いた頂上から同じコースを下りはじめるが、吉田ルート・須走ルートは下山専用道へ進む。

 なお、須走口と吉田口の下山路は八合目で分岐するので、間違いのないように必ず標識を確認しよう。間違えると、もう一回8合目まで上りなおすことになるぞ!

 なお、下りで重要なのは、砂&土埃対策。靴に入り込む砂はスパッツで防ぎ、砂ぼこりがひどいときはマスクやゴーグルで対策しよう。また下りではストックや登山杖が役立つ。

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