3日午前中に寒冷前線が通過するとの予報。前線通過にともない落雷や吹雪となる恐れあり
天気・気温
山と周辺の状況
29日の午前9時時点の情報です。イギリスの中期予報センターECMWFの天気図によると、連休後半の5月3日と4日に厳しい気象状況になる可能性が高まっています。
北アルプス付近は3日午前中に寒冷前線が通過すると予想されています。この寒冷前線通過にともなって落雷の可能性があり、十分注意が必要です。
槍穂高連峰では冷たい雨が降り、標高の高いところでは午後になってみぞれ混じりとなってくるかもしれません。
西穂山頂付近では南西の風16m前後と風が強まってくる予想です。
朝鮮半島付近は深い気圧の谷となり、その中心はまるで地上天気図のように等圧線が丸く閉じています。
これは“寒冷渦(かんれいうず)”と呼ばれるもので、偏西風の蛇行が激しくなると、深い気圧の谷となったところが流れから切り離されて渦を巻いてしまうものです。この寒冷渦の接近にともない、気温はどんどん下がってきます。
西穂山頂付近では5月3日の6時には4℃、21時は−2℃くらいまで下がり、4日は西穂山頂付近で-11℃、標高の高い槍ヶ岳や奥穂高岳等では更に気温は下がると予想されます。北アルプスでは雪が降り、風も強いので吹雪となる可能性が高まっています。西穂山頂付近では一日をとおして20mを超える西寄りの風が吹き、大荒れの天気となる可能性があります。
低体温症、凍傷、強風による転落・滑落・テントの倒壊、降雪による滑落や疲労凍死等に十分注意しなければなりません。
毎年のように、ゴールデンウィークの頃には悪天候にともなう遭難事故が発生していますが、そのほとんどは今回予想されているような春から冬に逆戻りするような急激な気象変化によるものです。
春山の装備で入山した登山者に、厳冬期のような気象状況が襲い掛かればひとたまりもありません。
まだ先の予報ですので、これから状況が変わってきたり、時間的なズレが発生してくる可能性も十分あります。
今後の最新の気象情報に基づき、慎重に判断していただくようお願い致します。
雪が融けたり凍ったりを繰り返すため、時間帯によって足元の状態がめまぐるしく変化しています。
融雪が進み岩肌も多く露出したり、雪の固い所がないので一番嫌な状態で、技術的にもかなり難しい状況です。
特に下山の際は、一歩一歩慎重に下ることを心掛けましょう。
気温が急激に上昇すると、稜線に張り出した雪庇(せっぴ)が融け、崩壊するものも現れてきます。
状況によっては雪庇の崩壊が起点となってブロック雪崩が発生することもあります。
そして、朝晩と日中の体に感じる気温差が非常に大きくなることがあります。
その時々に応じて服装調整を行いながら登山をお楽しみください。
これからは、雪面状況や気象状況の変化が激しい時期になりますので、事前に気象情報をよく確認し変化に対応できるよう準備してお越しください。
登山道の状況
●新穂高ロープウェイ~西穂山荘間
ロープウェイから西穂山荘までは樹林帯で、冬のルートになっています。
最近は暖かい日も多く、雪面は融けたり凍ったりを繰り返しています。固い部分が多いですが、トレースを外れると深く雪を踏み抜くこともあるので、ご注意下さい。
●西穂山荘~丸山
丸山までも目印をつけています。踏み跡があれば山荘から20分程で行ける距離ですが、吹雪になると目印も見えづらくなりますので十分に注意が必要です。融雪が進んでハイマツが露出してきていますので、アイゼンで傷つけないようにご配慮をお願いします。樹林帯に比べて風が非常に強くなるため、防寒・暴風対策をしっかりしてお出かけください。
●丸山〜独標
丸山からお花畑までは、広い尾根の登りが続きます。吹雪の際は道迷いが発生しやすくまりますので、悪天候時に無理な行動は控えましょう。
西穂独標の100mほど手前から険しい岩稜帯となります。この辺りからは信州側に雪庇が発達し、滑落すれば大きな事故にもつながりますので、怖いと思う方は絶対に無理をなさらないでください。またトレースがあっても安易に信用してはいけません。必ずご自身で状況を確認し判断しましょう。アイゼン・ピッケルは必携です。
●独標~西穂山頂
例年に比べると積雪量は少なめですが、雪庇などはそれなりに発達しています。独標から山頂へは、険しい岩場をアップダウンを繰り返しながら進みますが、無雪期でも上級者向けのルートですので、積雪期はさらに難しく危険度が増します。初心者の方は安易に立ち入ってはいけません。ルートは岩と雪のミックスで、雪面の状態によって慎重にルートを選ぶ必要があります。
●西穂山頂~奥穂高岳
西穂高岳~奥穂高岳間の縦走路は、無雪期でも最も難しいといわれるルートの一つです。積雪期はさらに危険な状況となります。相当な熟達者以外は絶対に立ち入ってはいけません。
●上高地~西穂山荘
春先まではほとんど人の行き来がありません。道標がありますが積雪期は迷いやすく、ご自身でルートファインディングできなければ、経験者の同行が望ましいです。トレースの無いことがほとんどですので、ワカンやスノーシューを用意した方が無難です。
●西穂山荘~焼岳
冬の時期はほとんどこのルートを通る人がいません。また明確な目印もありませんので、経験者・土地勘のある方以外はお勧めしません。
詳細、最近の登山道の画像はこちら↓
http://www.nishiho.com/tozan.htm
●【お知らせ】岐阜県、長野県では、登山届の提出が義務化されています。
長野県登山安全条例
http://www.pref.nagano.lg.jp/kan…/tozanjorei/tozanjorei.html
岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例
http://www.pref.gifu.lg.jp/…/bosai/sangaku/11115/jourei.html
・ネットでの届出が便利です。下記のサイトをご利用ください。
岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会のオンライン届出ページ
http://www.kitaalpsgifu.jp/climbing.html
公益社団法人日本山岳ガイド協会のオンライン届出ページ
http://www.mt-compass.com/
登山装備
まだしばらくの間は、本格的な冬山装備が必要です。
徐々に春めいてきましたが、これからは雪面や気温の状況変化が激しい時期です。服装や装備は臨機応変に使い分けましょう。
冬用の靴や暖かいウェアなど基本の装備はもちろん、ツェルトや非常食等、緊急時に備えた装備もお持ちください。
山荘から下の樹林帯は雪の状態によってワカンまたはスノーシューとアイゼンとを使い分けます。ロングスパッツやストックも必要です。
山荘から上の稜線へ行くには、アイゼン・ピッケル必携です。丸山より上へ行かれる方はヘルメットも必要です。
ゴーグル・サングラス・目出し帽・冬用帽子・グローブ各種(アウター・インナー・薄手の物等)もお忘れなく。
注意点
●登山の注意
安全に山を楽しむための啓蒙活動も行われていますが、残念なことにこのところ事故が相次いでいます。
楽しみにしていたはずの登山で、突然の不幸が訪れるのを間近で見るたびにやり切れない気持ちになります。
中には運の悪い事故もありますが、多くの場合は実力・体力不足や悪天候での行動など、明らかな原因が認められます。
他人事だと思わず、ご自身の問題として登山の在り方を見直していただきたいと切に願っています。
●携帯電話情報
【ドコモ、au】 山荘付近・稜線ともに繋がります。
【ソフトバンク】 山荘西面なら繋がります。
山荘自家発電時、携帯電話、スマートフォンの充電ができます(20分間100円)。充電の際はご自身の充電アダプターをご用意ください。
お知らせ
西穂山荘
http://www.nishiho.com/
北アルプス南部の山小屋では唯一通年営業しています。
・寝具は布団・毛布・枕を御用意していますので、シュラフは不要です。
・山荘に御宿泊のお客様も飲料水はペットボトルの販売のみとなります。
・消灯は21時です。
・お風呂はありません。
●山荘現地へのお問い合わせ
西穂山荘は北アルプス南部の山小屋では唯一通年営業しています。
(現地電話:0263-95-2506)
外での作業中や電話線が不調の際、現地の電話は通じないときがありますが、無休で営業しております。
現地の電話は、固定電話の他に携帯電話の回線(080-6996-2455)も新たに開設しました。
なお、ご予約は松本事務所(0263-36-7052)へお願い致します。
昨年の今頃の様子は?
新穂高ロープウェイから山荘までのルートを一部変更2023.04.23
融雪は進みましたが、凍結箇所もあるので8本爪以上アイゼンで2023.04.30
GW最終日は雨。5月8日から新穂高ロープウェイが運休です2023.05.07
天気は雪から雨に。山荘周辺の積雪は70㎝ほど2023.05.14
西穂山荘周辺の過去の様子
西穂山荘
- 電話番号:
- 連絡先住所:
- 長野県松本市中央1-11-25 西穂山荘事務所