冬はスノーシューで
雪を満喫しよう!
イラスト=津村仁美 2023.12.01
初めてのスノーシュー
基本装備とアドバイス
いよいよ、スノーシーズンの幕開け! 冬の人気アクティビティの一つとして思い浮かぶのが、ふかふかの雪原を歩くスノーシューハイクだ。冬も山に親しみたいけれど、いきなりアイゼン&ピッケルを装着して歩くのはハードルが高い・・・。そんなジレンマを抱える雪山ビギナーさんにもおすすめのアクティビティだ。
取材・文=小野泰子、写真=花岡 凌、モデル=山下舞弓(ジオット)
スノーシューハイクのススメ
雪遊びと言われて、どんな光景が思い浮かぶだろう。街に積もった雪で雪だるまを作ったり、スキー場でスキーを楽しんだり・・・。冬の間だけ楽しめる非日常感に気持ちを高揚させたことがある人は多いだろう。
スノーシューハイクは、そんな冬の雪遊びの究極とも言える。
スノーシューは雪の上を歩くとき、足が深く沈まないようにサポートしてくれるアイテムだ。フレームが大きいので、雪との接地面が広く、浮力が高い。ふわふわの新雪を感じながら、スムーズに歩くことができる。
人の手が入っていない大自然にスノーシューをつけて歩けば、見えるのは一面の雪景色。冬の自然界に棲む動植物を観察するもよし、真っ白な雪原に自分の足跡をつけるもよし。スノーシューを履いて雪の上を歩くというシンプルさが、十人十色の遊び方を生み出す。
「雪山」や「冬の大自然」という言葉に、危険意識をもつ人はいるはずだ。もちろん、冬の自然環境に踏み出す以上、一定のリスクは存在する。しかし、インストラクターの同行の下で行なわれるスノーシューツアーも日本全国に存在する。ツアーでは、装備をレンタルできることも多い。「興味はあるけれど、なにから始めたらいいのかわからない」という人は、まずはスノーシューツアーに参加してみることをおすすめする。
この冬は、スノーシューをつけて、雪の世界に飛び込もう!
さっそく装着してみよう
スノーシューはモデルによって装着方法が異なる。ここではストラップ式のスノーシューの一例を紹介しよう。
スノーシューには左右がある。印が付いているので確認し、片足ずつ装着する。
靴をスノーシューにのせ、足指の付け根あたりにベルトをかけ(写真1)、そのベルトを足の甲から足首に向け、回しかけていく(写真2)。歩行中に外れないよう、最後にベルトをしっかり締め上げる(写真3)。
シーン別 歩き方のコツ
フラットな場所
左右のスノーシューがぶつからないよう、やや足幅を取りつつ、かかとを引きずるように歩く。トレッキングポールは、ひじの角度が90度くらいになるよう長さを調節する。
緩い上り斜面
足裏の母指球に力を入れ、スノーシューの前歯を利かせながら登る。かかとを支える「ヒールリフター」機能がつく場合はラク。トレッキングポールは短めに。
緩い下り斜面
長めにしたトレッキングポールを前方に突き、かかとから脚を下ろす。重心は鉛直方向で、前のめりにならないように気をつける。
装備・持ち物をチェック
スノーシューハイクでは、防水・防風・防寒を意識したウェア&用具選びが必要になる。雪山用の登山装備を一式持っている人は、その装備をそのまま流用できる。一式そろえるには相当値が張るので、初めはレンタル品を利用するのがいいだろう。雪山登山の装備がなくても、スキーウェアやスノーブーツなど代用できる用具もあるので、インストラクターやスノーシューガイドにアドバイスをもらおう。
トレッキングポール
バランス保持に欠かせない。無雪期用の径が小さいバスケットから、径が大きいスノーバスケットにつけ替えること。
防寒着&肌着
寒さをしのぐための防寒着は、ダウンや化繊綿のジャケットがおすすめ。肌着はメリノウールや化繊素材などの速乾性が高いものを。
ヘッドウェア
頭や顔回りの防寒対策にマスト。ニット帽とネックウォーマーのセットで温かく。保温力が高いのはメリノウール素材。
サングラス or ゴーグル
紫外線から目を守るために必須。サングラスなしで行動すると雪面の反射で、「雪目」という炎症を起こす原因に。
冬用ウェア
丈夫かつ防水・防風性に優れたウェアをいちばん上に着用。登山用の雪山ウェアならどこにでも対応できるが、場所や天候次第ではスキーウェアやレインウェアでも対応できる。
ザック
日帰りハイクなら30~35Lが目安。防寒着などが濡れないよう、内部に防水のスタッフバッグを入れて対処する。
冬用シューズ
冬用登山靴がベストだが、ハイカットかつ防水性があるシューズなら代用可能。靴下と併せて寒さに対応できるようにしよう。長靴は冷えてしまうのでNG。
冬用ソックス
夏用よりパイルがしっかりした厚手を履く。足先を温めたり、疲労を和らげたりしてくれる。夏用の二枚重ねで代用可。
ゲイター
靴の中に雪が入るのを防ぐために着用。積雪が多い場合、丈は長めの方がよい。ゲイター一体型の靴やパンツもある。
グローブ
保温材入りのグローブを選ぶ。もしくは、ウール素材のグローブにレイングローブを重ね着けする。
スノーシュー
購入に迷うときはレンタル店で借りるのも手。スノーシューツアーでは貸し出してくれるところも。
持ち物リスト
- 地図
- コンパス
- ヘッドランプ
- 予備電池
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 行動食
- 飲み物
- 日焼け止め
- 救急セット
- 健康保険証
- マスク
- 消毒液
- ウエットティッシュ
お役立ちアドバイス
スマホは冷やさない!
気温が低いとスマホのバッテリーはどんどん減る。冷やさない、濡らさないために胸ポケットに入れるとよい。モバイルバッテリーも持参を。
保温ポットで暖をとろう
保温力の高いポットは冬場に大活躍。ほっとひと息つけるだけでなく、体の中から温まることで低体温症の予防になる。
寒い季節は凍らない行動食を
氷点下でも凍らないものを選ぶ。なおかつ、高カロリーな大福やどら焼き、羊羹がおすすめ。おにぎりやパンは水分を多く含むのでカチコチに。
地図は紙とアプリの併用を
紙地図とコンパスは必須だが、ホワイトアウトで視界が不明瞭だと、現在地の特定が困難に。その場合はGPSで現在地がわかる地図アプリが有効。
あれば便利な携帯マット
腰を下ろして休憩したいとき、コンパクトで軽量な折り畳み式マットがあるとよい。雪面からの冷えの伝わり具合は、これ一枚で雲泥の差。
スノーシューツアー検索
初めてのスノーシューはガイド・レンタル付きのツアーで。スノーシューツアーに参加することで、「スノーシュー遊びって、どこに行ったらできるの?」、「初めてのスノーシュー遊びは不安・・・登山ガイドと一緒に歩きたい」、「スノーシューってどうやって使うの? 買う前に雪原で使ってみたい」といった不安や疑問も解決する。
雪山登山の入門エリアとしても人気の八ヶ岳をはじめ、日本全国のスノーシューツアーをまとめている。日程や価格など、あなたにあったスノーシュー体験ツアーを探してみよう。