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ここで紹介する山々のうち、関東、東海の太平洋岸の標高300~800m程度の山ならば、降雪量は少なく、平地まで雪が降るようなとき以外では、比較的雪の心配は少ない。
しかし、標高が800m以上の山になると、平地が雨でも山は降雪ということも考えられる。当日の天気だけでなく、山行数日前の天気なども確認しておくと、山に雪が残っているかどうかが想像できるだろう。
行きたい山の近くに山小屋やビジターセンター、自治体の窓口がある場合は、雪の状況などは直前でも確認してから出かけたい。
冬から春にかけては、常に残雪や凍結が考えられるため、4~6本爪の軽アイゼンは必携だ。もちろん事前に自分の登山靴に装着・着脱ができるよう練習しておこう。
例えば、山梨県のJR中央線沿線のような、富士山より北側にある山から展望を得ようとする場合、その山の北側から登るのか、南側から登るのかによって楽しみは異なる。
北側から登る場合、稜線や山頂に出るまで富士山の姿が見えないことが多い。そのため山頂で想像を超えて大きな山体の富士山を見られたときの感動は大きい。南側から登る場合、途中から富士山が見えてくるケースが多く、富士山を振り返りながら登ることができる。
ただし、冬から春にかけては、北斜面では遅くまで雪が残っていたり、地面が昼近くまで凍結していたりする。南斜面を登る場合は、反対に、凍結した道が日を浴びて緩み、ぬかるんでいたりする。それぞれのよい面・悪い面を考えて、山行を計画しよう。
公共交通を利用する場合は、起点・終点にとらわれず、縦走するようなルートをとることができる。ただしコースによっては、バスの本数は少なく、時刻表は事前に確認したい。
マイカーの場合は、電車やバスのように時刻表にとらわれず、自由な時間に移動できるが、登山口に駐車場または駐車スペースがあるルートを選ぶ必要がある。また、起点と終点が同じか、再び起点に戻って来られるようなルートを設定しなくてはならない。
どちらも一長一短あるので、山行計画を練って、余裕のあるプランを立てよう。
真上から見た富士山の裾野はまん丸ではなく、北西から南東にかけての軸が長い楕円形をしている。長い軸の延長線上から眺めるとほっそりと見え、北東から南西にかけての短い軸の延長線上から眺める富士山はどっしりとした山体に見える。
また五合目付近には、北側に小御岳、南東側の宝永山の噴火跡があり、東側の丹沢方面から見ると肩を張ったように見える。
●南側から:越前岳、発端丈山など
左側稜線が急斜面であるのに対して、右斜面はなだらかで優美な曲線を描く。宝永山の噴火口を正面にして、山頂左に剣ヶ峰が見える。
●東側から:石割山、丹沢山塊など
中腹左に宝永山、中腹右に小御岳の出っぱりが目立つ。山頂右に大日岳を見る。
●北側から:御坂黒岳など
どっしりした山体に見える。山頂から左下に流れる吉田大沢の沢筋が目立つ。山頂正面に久須志岳、山頂直下に岩盤のひさしが見える。
●西側から:長者ヶ岳など
大沢崩れの荒々しさを見ることができる。急斜面のため、冬は雪がつきにくい。山頂右に剣ヶ峰、左に白山岳の突起を見る。
日の出・日の入り時に、富士山山頂に太陽がかかる状態を「ダイヤモンド富士」と呼ぶ。例えば丹沢・塔ノ岳では2月23日、10月19日(語呂合わせで、フジサン、塔、行く)前後、丹沢の大山では3月2日前後、高尾山では冬至のころに見られる。
展望地点から富士山までの距離が長いほど、太陽の大きさと比べて富士山が小さくなるのが特徴だ。
富士山に当たる太陽光線は、季節や時刻によって変化する。
例えば、日の出(日の入り)位置は春分・秋分では真東(真西)で、冬至には東南東(西南西)、夏至には東北東(西北西)に寄る。また、日中の太陽高度は冬至には低く、夏至には高くなる。
こうした特徴を踏まえて、富士山の北側の山で展望する場合を例にすると――。
冬至には、一日のうちで太陽高度が最も高くなる正午前後でも、光線が富士山北側斜面まで届かないため逆光気味になり、雪で覆われて白いはずの山体が灰色気味になる。
一方、春分・秋分前後には、日の出時刻には山体左半分にしか太陽光線が当たらないが、時間経過とともに山体全体に光が当たり始める。
夏には、日の出位置が東北東であるため、日の出直後から富士山の山肌のかなりの部分が順光線を浴びる。
富士山は独立峰のため、特別な雲が出る場合がある。代表的なのは笠雲で、山頂上部に傘をかぶったような形だ。富士山を乗り越える風が、冷たい風の層と暖かい風の層の段になっている場合に出現する。
風が強すぎる場合には、山頂上部ではなく、少し離れた位置に吹き飛ばされたように発生し、吊し雲と呼ばれる。