親子登山 子どもと一緒に山へ行こう!
ファミリー登山にうってつけのコースをピックアップ コースガイド
子どもが山を好きになる! 年齢・レベル別コースを紹介

「また山に行きたい!」
子どもにそう思わせる、年齢・レベル別おすすめコースを紹介します。

データの見方

*歩行時間は大人の歩行時間目安を示しています(休憩時間含まず)。子どもと歩く場合は2倍以上かかることもあるため、余裕をもった山行計画を立ててください。
*標高差はコース累積標高差ではなく、コース中の最低標高と最高地の標高差です。
*歩行距離は、地形図をもとにした実際の距離を示していますが、実測とは誤差が生じる場合があります。

Contents
おすすめ「レベル別・親子登山コース」8選
登山レベル1

歩行時間2時間30分未満。整備された遊歩道など平坦な道が多く、危険箇所がない。日帰り。

登山レベル2

歩行時間2時間30分~4時間程度。一部傾斜のきつい斜面、岩の露出した道などはあるが、危険箇所はない。日帰り。

登山レベル3

歩行時間4時間以上。山歩きが慣れてきた子どもと経験者の親がいる家族向け。岩場通過などの危険箇所がある。山中で1泊。

01 神奈川県/幕山(626m)
ハコネダケのトンネルが楽しい! 海と岬の展望台

[おすすめ年齢、行程] ●4~6歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=2時間15分 標高差=455m 歩行距離=約4.8km
[山行コースタイム] ●幕山公園バス停(5分)幕山登山口(25分)大石ヶ平(40分)南郷山分岐(20分)幕山(40分)幕山登山口(5分)幕山公園バス停

 温泉町・湯河原の幕山は、首都圏から少し遠出の日帰り登山として、一度は登ってほしい山だ。

 幕山公園でバスを降りたら幕山登山口に向かう。この登り口は直登コース。こちらは下山コースとして、登りにはゲートがある裾回り(左)のコースをとる。広い園地の舗装路をゆるやかに登って行くと、やがて橋の先に「山の神」の鳥居が現われる。大石ヶ平の先の橋を渡れば右手に幕山への分岐がある。道標に従って登り、汗ばみ始めるころ左右に背丈以上もあるハコネダケが現われる。場所によってはハコネダケがトンネル状に山道を覆い、子どもには楽しい道だ。刈ったハコネダケが足元に敷かれていると、雨後は滑りやすいので慎重に。 南郷山分岐まで来れば残り600mで山頂だ。

 広い山頂はカヤトの草原。真鶴半島や湯河原の街が俯瞰できる。帰路は南斜面を「五郎神社」方面へジグザグに下れば幕山登山口に出る。

[アクセス]

電車=JR東海道本線・湯河原駅⇔幕山公園バス停 マイカー=西湖バイパス石橋IC⇔R135⇔真鶴道路⇔幕山公園(公園駐車場)

[関連するみんなの登山記録]

02 裏高尾/景信山(727m)
気持ちのいい尾根歩き。山頂の茶屋での一服をごほうびに

[おすすめ年齢、行程] ●4~6歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=2時間 標高差=437m 歩行距離=約5km
[参考コースタイム] ●小仏バス停(15分)登山口(30分)小下沢分岐(15分)景信山(40分)ヤゴ沢作業道入口(20分)小仏バス停

 高尾山から陣馬山を結ぶ奥高尾縦走路の中間にある景信山は、冬季の降雪時を除けば親子で通年楽しめる低山だ。小仏バス停からゆるやかな舗装路を登り、最初に現われる登山口から登ろう。いきなり急登が始まるが、ゆっくり登ればやがて広い尾根上に出る。左手に城山、小仏峠を眺めながら気持ちのよい尾根道を登りつめて行くと、小下沢からの分岐に合流。さらに広い尾根道に向かう。浮き出た木の根元に踏み跡がいくつもあり、ルートを間違いやすいが、地図などを確認し、しっかりついた踏み跡に従って登ること。やがて頭上が開けて、トイレ棟が見えてくれば山頂はもうすぐだ。

 山頂付近には二軒の茶屋がある。「かげ信小屋」の酒まんじゅう・おやき、「景信茶屋」の山菜天ぷらは子どもにも人気がある。下りは最短ルートのヤゴ沢作業道から小仏バス停に戻る。

[アクセス]

電車=JR中央本線・高尾駅⇔小仏バス停 マイカー=中央道八王子IC⇔R20⇔小仏峠登山口(ヤゴ沢作業道手前に駐車スペース数台)

03 南アルプス前衛/甘利山(1740m)
レンゲツツジと富士山の眺めを楽しむ、のんびり高原漫歩

[おすすめ年齢、行程] ●4~6歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=1時間50分 標高差=100m 歩行距離=約1.5km
[参考コースタイム] ●甘利山広河原駐車場(1時間)甘利山(50分)甘利山広河原駐車場

 甘利山は高原状の山で、レンゲツツジが咲く季節は多くの人でにぎわう。甲府盆地が見渡せる山頂からの眺望は抜群で、ひときわ高い富士山と八ヶ岳が美しい。紹介するコースは整備された道が山頂まで続き、初めてのファミリーハイクにおすすめの山だ。

 林道を横切り、つつじ苑を右に見ながら、レンゲツツジが咲く遊歩道を進む。稜線らしきところに出て、左に進むとあずまやが立つ展望地に着く。斜面越しには甲府盆地が望める。少し引き返して甘利山方面をめざす。ゆるやかな高原にトレースされた道はファミリーでも安心して歩ける。木道をたどりゆるく下ると、レンゲツツジの花が多くなる。前方には凛とした富士山が顔を見せる。鞍部から階段状の斜面をひと登りすれば平坦な甘利山に着く。元気な子どもには歩き足りないほどだ。振り返ると富士山、前方には千頭星山に続く稜線が一望できる。山頂では花と眺望を楽しみながらゆっくり過ごしたい。下山は登ってきた道を戻る。

[アクセス]

電車=JR中央本線・韮崎駅⇔甘利山広河原駐車場 マイカー=中央道韮崎IC⇔R27⇔R20⇔甘利山広河原駐車場

04 富士山周辺/三ツ峠(1785m)
山小屋もあって安心。花咲く道に富士山の眺望と満足感が◎

[おすすめ年齢、行程] ●7~9歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=3時間 標高差=550m 歩行距離=約7.2km
[参考コースタイム] ●三ツ峠登山口バス停(15分)三ツ峠登山道入口(1時間20分)御巣鷹山・三ツ峠分岐(15分)三ツ峠(開運山)(10分)御巣鷹山・三ツ峠分岐(1時間)三ツ峠登山道入口

 三ツ峠は開運山、御巣鷹山、木無山の総称。最高峰の開運山への最短コースは三ツ峠登山口バス停で、車利用なら2時間かからずに山頂に立てる。山上に山小屋があるので、ファミリーハイクでも安心感は高い。

 三ツ峠登山口バス停から、天下茶屋への道と分かれ、右へ車道を進めば駐車場やトイレがある登山道入口だ。道標に従い、まずはコンクリート舗装の道を登っていく。未舗装になり大きく折り返すと、傾斜がゆるみベンチがあり休憩できる。さらに登っていけば木無山・三ツ峠分岐だ。三ツ峠(開運山)へは左の道が早い。三ツ峠山荘や木無山の展望台、屏風岩を見てから四季楽園を経て三ツ峠へと向かうなら右の道を進もう。

 左の道を進むと、トイレを経て四季楽園裏手の御巣鷹山・三ツ峠分岐に出る。富士見山荘(休業中)を経て、やや荒れた斜面を急登すれば三ツ峠だ。山頂からは富士山や南アルプス、八ヶ岳が展望できる。

[アクセス]

電車=往路/富士急行・河口湖駅→三ツ峠登山口バス停、復路/三ツ峠登山道入り口→富士急行・河口湖駅 マイカー=中央道河口湖IC⇔R139⇔R137⇔三ツ峠登山口(トイレ周辺の広場の駐車場)

05 南アルプス前衛/入笠山(1955m)
ゴンドラ利用でスズラン咲く湿原から絶景の山頂へ

[おすすめ年齢、行程] ●7~9歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=2時間45分 標高差=170m 歩行距離=約6.6km
[参考コースタイム] ●ゴンドラ山頂駅(15分)入笠湿原(15分)御所平峠(30分)入笠山(20分)首切登山口(20分)大阿原湿原(20分)首切登山口(30分)入笠湿原(15分)ゴンドラ山頂駅

 入笠山は花の山として知られ、湿原に群生するスズランが有名である。ゴンドラ「すずらん」を利用して山頂駅へ。入笠湿原から入笠山、大阿原湿原の周回コースは花と展望、カラマツの美林が楽しめる。特に新緑と紅葉の季節がおすすめ。ゴンドラ山頂駅を出て、道標に導かれカラマツの樹林帯を進む。林道を横切り入笠湿原に入る。初夏の湿原はスズラン、クリンソウ、ズミなどのたくさんの花が咲く。雨上がりなど木道が濡れている時は滑りやすいので慎重に歩こう。車道沿いの遊歩道を進み御所平峠へ。ここから山頂まで傾斜がきつくなり、足元には岩が露出している。ズミの花咲く灌木帯を抜けると入笠山だ。入笠山山頂は広々した平坦地で、八ヶ岳連峰や南アルプスなど三六〇度のパノラマが楽しめる。山頂を南に進み首切清水を経て大阿原湿原へ。帰りはカラマツの美林を楽しみながら車道を入笠湿原に向かう。

[アクセス]

電車=JR中央本線・富士見駅⇔ゴンドラ山麓駅⇔ゴンドラ山頂駅 マイカー=中央道諏訪南IC⇔富士見パノラマリゾート(ゴンドラ駐車場)

06 六甲/摩耶山(702m)
家族登山旅行にぴったり。神戸を見下ろす展望台から羊の遊ぶ牧場へ

[おすすめ年齢、行程] ●7~9歳以上 日帰り
[データ] ●歩行時間=2時間50分 標高差=70m 歩行距離=約4.2km
[参考コースタイム] ●星の駅(30分)忉利天上寺(30分)穂高湖休憩所〈シェール槍往復40分〉(20分)自然の家(30分)六甲山牧場南ゲート(20分)六甲山牧場北ゲート

 六甲山の西の中心地・摩耶山は、山上のお楽しみが多いエリア。神戸の1000万ドルの夜景、絶好の展望地・掬星台。ケーブルカー・ロープウェイを乗り継ぎ、楽に山上へ。ゴールは人気の観光地、六甲山牧場だ。

 摩耶ロープウェー・星の駅を出ると、そこは港町神戸が見下ろせる掬星台。広い公園のようになっている。北側から六甲全山縦走路に入ろう。散策路を抜けてオテル・ド・摩耶の前を通り、忉利天上寺へ。掬星台の展望から西が見渡せ、明石海峡大橋が望める。アゴニー坂を下り、ドライブウェイに出て、今度は穂高湖に向かう。静かにたたずむ山上の憩いの場だ。穂高湖の北西にはシェール槍があるので時間があれば登ってみよう。穂高湖周辺でゆっくりしたら自然の家に上がり、ドライブウェイを六甲山牧場に向かう。六甲山牧場では牛や羊とふれあえたり、バター・チーズ作り体験ができる。帰りは北ゲートにあるバス停から掬星台に戻る。

[アクセス]

電車=往路/JR&阪神・三宮駅、阪急神戸・三宮駅⇔摩耶ケーブル下バス停、復路/六甲山牧場バス停⇔摩耶ロープウェー山上駅バス停 マイカー=阪神高速魚崎出口⇔六甲山牧場駐車場

07 北八ヶ岳/天狗岳(2646m)
親子でステップをめざすなら。北八ツ縦走にチャレンジ

[おすすめ年齢、行程] ●10~12歳以上 1泊2日
[データ] ●歩行時間=1日目/3時間30分、2日目/5時間25分 標高差=1日目/登り610m、2日目/登り546m、下り796m 歩行距離=1日目/約5.6km、2日目/約7.7km
[参考コースタイム] ●1日目/稲子湯(20分)みどり池入口(30分)屏風橋(1時間)こまどり沢(30分)みどり池(1時間10分)本沢温泉、2日目/本沢温泉(1時間)夏沢峠(30分)箕冠山(20分)根石岳(40分)東天狗岳(1時間)中山峠(5分)黒百合平(45分)唐沢鉱泉分岐(25分)八方台分岐(40分)渋ノ湯

 アクセスのよさ、多彩なルート、充実の山小屋群を誇る八ヶ岳。そのなかでもワンランク上の山をめざすファミリーにイチオシなのが、双耳峰・天狗岳をめざす北八ヶ岳の山旅だ。

 1日目は、稲子湯を起点に針葉樹の原生林と山上湖を経て、内湯と露天風呂がある山小屋・本沢温泉をめざす緑のトレッキング。エメラルド色をしたみどり池から見上げる天狗岳北壁には、思わず歓声を上げるだろう。本沢温泉に着いたら、硫黄岳の爆裂火口を見ながら露天風呂で疲れを癒そう。

 2日目は、根石岳から天狗岳への主稜線を豪快にアップダウンする圧巻の縦走が待っている。根石岳から眺める天狗岳稜線は第一級の美しさだ。2日間で北八ツの「静と動」が堪能できる。

 ルート上に山小屋が多いので、水の補給、軽食、トイレ利用など、子連れの山旅に心強い。時間と体力の余裕があれば、ぜひ最高点の西天狗岳を往復しよう。ファミリーで成し遂げた喜びは、生涯忘れられないはずだ。

[アクセス]

電車=往路/JR小海線・小海駅→稲子湯バス停、復路/渋の湯バス停→JR中央本線・茅野駅 マイカー=中央道須玉IC⇔R141⇔みどり池入り口(稲子湯駐車場、みどり池入り口に駐車スペース)

08 北アルプス/唐松岳(2696m)
アルプスデビューに最適。山のいいとこどりをゴンドラ利用で

[おすすめ年齢、行程] ●10~12歳以上 1泊2日
[データ] ●歩行時間=1日目/4時間30分、2日目/3時間20分 標高差=861m 歩行距離=約9.8km [参考コースタイム] 1日目/八方池山荘(1時間20分)第三ケルン(2時間)丸山(1時間10分)唐松岳頂上山荘、2日目/唐松岳頂上山荘(30分)唐松岳(20分)唐松岳頂上山荘(1時間40分)第三ケルン(50分)八方池山荘

 八方池山荘から唐松岳をめざす本コースは、白馬三山と鹿島槍・五竜岳の眺望、高山植物が咲く尾根路、白馬岳を映す八方池、荘厳な日の出など見どころが多い人気コース。

 1日目、グラートクワッドリフトで八方池山荘前へ。花が多い湿原コースから第二ケルンへ。第三ケルン手前で八方池に進み、水面に映る白馬三山を眺めよう。下ノ樺から灌木帯を登り扇雪渓へ。ケルンが立つ丸山は展望地で絶好の休憩ポイントだ。不帰ノ嶮を眺めながら鎖場を通過すれば唐松岳頂上山荘に着く。

 2日目、朝食後、朝日に輝く唐松岳をめざそう。山頂に立つと𠝏・立山連峰や五竜岳などの絶景が広がる。雄大な山々を眺めたら山荘まで戻り八方池山荘に下山する。鎖場とガレ場は注意して通過し、爽やかな山々と花を楽しみながら八方池山荘に戻ろう。

[アクセス]

電車=JR大糸線・白馬駅⇔八方バス停⇔徒歩で八方アルペンライン⇔八方池山荘 イカー=上信越道・長野IC⇔R19⇔八方アルペンライン(ゴンドラ駐車場)