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子どもの感性を大切にした登山スクールを開催する戸高さんに、親子登山を始めるための方法や注意点を聞きました。 実際にお子さんと一緒に登山をされている方のアンケートも必見です!
まずは登山よりも、山に慣れるという視点からフィールドを選ぶのがよいでしょう。たとえば、森や沢で遊ぶだけでもよいのです。そして、そのフィールドの先に山が見えていれば、「いつかあの山にも登ってみたい」という気持ちが芽生え、次へのステップにつながります。こうした体験を積み重ねながら、より本格的な登山へとステップアップしていけるのが理想です。
初めての登山であれば、コースタイムは2時間程度、山頂付近までロープウェイが通じている山のほうが安心です。10歳以上で、本人にモチベーションがあれば、全行程が6時間程度の本格的な登山にチャレンジしてみてもよいでしょう。
こういう場合、多くの親は「もっと先まで行きたい」、あるいは「行かせてあげたい」と考えるものです。でも、その1回だけが登山ではありません。親がめざすゴールを手放してみることで、子どもの次のステップにつながることもあります。山を下りたとき、子どもが「次はもう少し先まで行ってみようかな」と思えれば、その登山は成功したといえるでしょう。
カメラで撮影させる、チョコレートを少しづつ出してあげる、休憩を頻繁にとる。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、13歳以上
なかなか興味のないものには真剣にならないので、出かける前から、花や虫の本を見て興味をそそり出し、
図鑑を持って行きました。
男性/親子登山歴1~2年/(子どもの年齢)13歳以上
木や道標や葉っぱを触らせる。 歌を歌いながら登る。 展望が良いか、登山道の雰囲気に変化の多いルートを選ぶ。 いつもよりおやつの回数を増やす。
女性/親子登山歴1~2年/(子どもの年齢)3歳以下
水遊びは最強。岩場も。単純な登りよりも、急登でも鎖場などがあると楽しみながら登れるようだ。 お菓子はスーパーマストアイテム。あとは手書きの子供向け地図を。
男性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)7歳
父子ともにコンパスと国土地理院の地図を携行し、読図をしながら登山をしている。また、カエルやトカゲ、昆虫などを見つけては写真に撮って帰宅後に調べたり、鳥の鳴き声を真似たりしている。息子の話を延々と聞く、しりとり遊びをする、双眼鏡を携行する、子どもにデジカメを渡して道中で自由に撮影させるなどは定番です。
男性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)11歳
多くの子どもは、走るように進んでは止まり、また走るように進んでは止まるのを繰り返します。一方、山に慣れた大人は一定のペースで歩きます。これは、そのほうが疲れにくい、ということを知っているからです。そこで、大人の歩き方を子どもに強制させるシーンも見かけます。
私の場合、まずは子どものペースに合わせて自分も走ったり立ち止まったりします。そして、もし急登などで子どもが疲れたときに、「走ったりしないで、ペースを保って歩いたほうが長く歩き続けることができるよ」と教えます。
歩き方にかかわらず、子どもにアドバイスをするのであれば、子ども自身が納得できるタイミングを見つけるのがポイントです。また、一から十までのすべてを親が教えるのではなく、子ども自身で歩き方や危険への対処方法を発見していけるのも、山の魅力です。
日常生活のなかでは、子どもに危険なものの多くは禁止されています。一方、山には滑りやすい道や、急斜面などの危険な場所がたくさんあります。私は子どもの安全を守るために、山にある危険をすべて排除するという方法には賛同できません。こうした場所で、子どもが自分の判断で、親に頼ることなく危険を克服できるのは、貴重な経験だと考えるからです。もちろん、子どもが自分をコントロールできなかったり、転倒が大事故につながるような場所では、ロープを使うなどして子どもの安全を確保することもあります。ただし、このような技術はプロの山岳ガイドのテクニックです。
まずは、よく下調べをして子どもの実力に合った山を選ぶこと。その上で、少しくらいの危険なら、子ども自身がもつ解決能力にまかせてみてはいかがでしょうか。
危険箇所があっても、親がロープやスリングで子どもを確保できる場所。
女性/親子登山歴5~6年/(子どもの年齢)9歳、11歳
大丈夫かな?と親が不安な箇所を子どもは意外と冒険のように楽しんでいることもあります。危険だからダメ、ではなく、だからどんなところを気をつけるといいのか、気づかせることも大切なのではと思います。とはいえ、どんなところも大丈夫という訳ではなく、見境なくチャレンジをさせることとは少し違うのですが。
女性/親子登山歴1~2年/(子どもの年齢)7歳、9歳
原則下見はしていません。危険度は子ども達の精神的な安定度による事が多かったです。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)13歳以上
食事は山の楽しみのひとつです。同時に、最後まで歩き通すためのエネルギー源にもなります。そこで、私はおにぎりなどのお弁当のほか、食べやすいゼリータイプのサプリメント食品も用意します。山中でコンロを使ってスープなどを作るのも楽しいでしょう。
親はこうした基本食を用意して、子どもにはお菓子類を選ばせます。山で食べるためのお菓子を選べるのは、登山へのモチベーションを高めることにつながるからです。
コンビニで子供に自由に選ばせる。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、13歳以上
山小屋での食事を中心に考えることで、荷物の負担が減り食事の準備に手間がかからないようにしているが、できれば自炊を行いたい。
男性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)13歳以上
必ず自宅で試食。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)13歳以上
食事もイベントなので、うきうきわくわくするようなもの、子どもの好きなもの ごみが出ないもの、手軽に食べられるもの。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)13歳以上
一定の時間で区切ることなく、子どもの気分や体調に合わせて臨機応変に対応します。もし、疲れているようであれば「だいじょうぶ?」と声をかけ、休憩の必要があれば休みます。休憩時間も同様。アメを食べ終わったなど、タイミングを見て歩き始めるようにします。
子どもが歩くのに飽きていたら、葉っぱなどで遊んだり、温かい飲み物をコンロで作ったりして、休憩時間を多めにとります。これにより、再び、歩く気力が回復するはずです。
私の場合、挨拶などのマナーを子どもに強要させることはありません。たとえ教えなくても、親や周囲の大人の行動に合わせて、子どもたちは自然と挨拶をするようになります。
ゴミについても同様。親がゴミを持ち帰るようにすれば、子どもがゴミをその場に捨てることもありません。ただし、不注意でゴミをポケットから落としてしまうようなケースもあるので、そうしたときは親がフォローしましょう。
現在地の確認。
男性/親子登山歴1~2年/(子どもの年齢)13歳以上
子どもはポケットのゴミをすぐに落とすので、毎回ジップロックに入れるなど注意をしている。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)13歳以上
鎖場などの危険地帯での集中登山、足元注意!
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)9歳、13歳以上
ジャンプしない。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)8歳、13歳以上
すり傷、足首の捻挫が代表的なケガです。そこで傷口を洗うための水(水道水、市販のミネラルウォーター)は、飲料用とは別に用意しておきます。傷口を保護するための絆創膏やガーゼも役立ちます。転んだときに手を傷つけないよう、あらかじめ手袋で保護しておくのもよいでしょう。
足首の捻挫はテーピングで固定します。テーピングはさまざまなシーンで役立つので、使い方を知っておきましょう。
このほか、虫よけスプレー、紫外線対策の帽子やUVカットクリームも忘れないでください。夏は熱中症にも要注意です。子どもの反応が鈍くなった、ボーっとしているなどの場合、熱中症の可能性があります。熱中症になったら木陰などの涼しい場所に寝かせ、水や塩分(ナトリウム)の含まれたスポーツ飲料を補給し、首を冷やすなどして体温を下げます。
夏場は、毒のある虫に刺されたときに毒を抜く、ポイズンリムーバー携行します。
男性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)5歳
消毒液、抗ヒスタミン剤を携行します。高山病に効果があるといわれる漢方薬も。
男性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)10歳、12歳
熱さまシートとムヒです。
女性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)3歳、4歳、7歳
車酔い袋、冷えピタ、けがのぬり薬、自由な大きさに切れるバンドエイドも重宝します。
女性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)7歳、13歳以上
巻いたり、縛ったり、吊ったり、何かと便利な手ぬぐいを持参します。
男性/親子登山歴7年以上/(子どもの年齢)10歳
アロマオイルを携行します。いい気分転換になり、薬なしで回復することもあります。
女性/親子登山歴3~4年/(子どもの年齢)13歳以上
戸高雅史(とだか・まさふみ)
1961年生まれ。福岡教育大大学院修了。ヒマラヤを舞台としたアルパインスタイルを得意とし、96年にK2無酸素単独登頂。現在は、小学生から大人までの自然体験ガイドを主宰。保育園、中学、大学など様々な学校で登山の授業を行なう。
著書に『山登りABC はじめよう親子登山』(山と溪谷社)http://masa-fos.comなどがある。