花に会いに春の低山へでかけよう!
山の花はいつごろから?

 首都圏、関東地方で、本格的に春の花が咲き始めるのは例年3月末~4月初めごろから。この時期は木々が芽吹き始める時期でもあり、桜(ソメイヨシノ)の開花とほぼ同じころにあたる。

 毎年、桜の開花予想やニュースは各地から届く。この「サクラ予報」で、例年より花が早い、遅いなどを判断することもできる。

 桜のあとは芽吹きが盛んになり、さらに新緑がまぶしい季節となって、花も陽春の種類へと変わっていく。

エリアによって花期が違う

 花の咲く時期は、大雑把にいえば標高と地域によって変わる。標高が高いところ、南部より北部のほうが気温が低いので、そのぶん開花が遅れる。

 例えば、南側に位置する房総半島では1月からスイセンや野草が咲き始める。より高い山、関東北部の気温が低い山へ野草の芽吹きが移動するのは4月に入ってから。木々の芽吹きが始まるのは、さらにあとになる。

天候を予想して計画を

 関東、特に南部の冬は空気が乾いて晴天が続くが、春になると雨が多くなってくる。過去のデータでは、1月が雨・雪の日が2日、曇りの日が5日ほどだが、4月は雨が8日、曇りが8日ほどに増える。

 春の雨も季節の風物だが、やはり晴れた日のほうが花のウオッチングや撮影をしやすいので、長期予報など参考にして計画を立てたい。

 なお、3~4月の天気は1週間周期で変わる傾向があり、毎週、同じ曜日に雨が多くなることも覚えておくとよい。

花の時期の登山用具は?

 春の低山ハイキングには、基本的なハイキング用具+観察の用具でOKだ。ただし、前項で触れたように、天気が変わりやすい季節で雨降りも考えられるので、雨具はしっかり用意したい。

 俗に「三寒四温」といわれるように、日によって寒暖の差がある季節。ウェアの選択に迷うが、基本的に低山なので、寒さに対しては街のウェアにもう1枚、フリースなどの防寒ウェアを持っていく程度で十分だろう。

 逆に、予想外に暖かく汗をかくこともあるので、肌着には吸汗速乾性のTシャツを着ておくとよいだろう。

花を観察するための必需品

 観察用具には、メモ帳、筆記用具、図鑑、ルーペ、カメラ、双眼鏡などがあるとよいが、まずは必要と思われるもの、手近にあるものを持っていくとよい。基本は自分の目でじっくり見ることが大切だ。

 性能のよいルーペは高価だが、100円ショップの虫メガネでも十分に役立つ。図鑑は、慣れないうちは花の色別に分類されているもの、出かけるエリアの植物に特化したものなどが使いやすいだろう。

石丸 哲也(いしまる てつや)

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師など幅広く活動している。著書に『ヤマケイアルペンガイド 関東周辺 週末の山登り ベストコース160』『ヤマケイ新書 東京発 半日ゆるゆる登山』『関東百名山』(すべて山と溪谷社)などがある。