高尾山ナビ

高尾山を歩く基本

Text by 佐々木 亨   Illustration by 神田めぐみ

山歩き中の注意

ゆっくり歩くのがコツ。トイレは公衆施設を利用

起伏があり、土や小石、階段など、歩き進むごとに変化のある高尾山の道を歩く第一のコツは、ゆっくり歩くこと。歩くペースの目安としては、息が無理なく続く状態である。

リズムを作って歩こう

さらに急な坂道や階段、つまずきそうな石や木の根があるところでは、一歩一歩、足を置く地面を確認できるくらいのペースが理想的。また登山口を出発して最初の30分ほどは、体を慣らすためにごくゆっくり歩き、以降はおよそ40~50分歩いたら5~10分の休憩をはさむ、こんなリズムをつくって歩いてみよう。

なお、高尾山でのトイレは、公衆施設を利用するのが基本。登山口では用を済ませてから歩きはじめ、休憩地やコースの途中でも公衆トイレがあったらなるべく寄っておきたい。

水分はこまめに補給、"おやつ"で元気回復

歩くと汗をかき、体から水分が失われるため、行動中は水分補給が大切。高尾山では登山口や山頂の売店などで飲料を購入できるが、6号路や稲荷山コースなどには売店はない。
水筒やペットボトルを携行し、いつでも水分補給できるようにしておきたい。飲料はさっぱりした味のお茶や、ミネラル分も補給できるスポーツドリンクなどがよい。

水分はこまめに補給

一度に多くの量を摂るのではなく、休憩ごとに、ひと口かふた口。のどの渇きを感じたら、歩きながらでも、こまめに補給するのがポイントである。携行する飲料は、目安として3~4時間の歩行で最低500ミリリットル、気温の高い季節には熱中症を防ぐため、それ以上の量を携行したいところ。

また昼食のお弁当のほかに、菓子類やフルーツなどの"おやつ"を用意し、休憩時に口にすると、糖分を補給し元気になれる。

急坂の登り下り、段差のある場所での注意点

急坂や階段の登りでは、息が切れないよう、ペースを抑えることを心掛けよう。小石がザラザラとして滑りやすい斜面では、足を逆ハの字に置くと、靴底のグリップがききやすくなる。
下りは、惰性にまかせてドスンドスンと着地すると、ひざにかかる負担が大きく、転倒の危険もある。こうした場合は歩幅を小刻みにして、衝撃がかからなよう静かに足をおくとよい。靴底をなるべく地面にフラットに置くよう心がけると、より安定感が増す。

体を斜めに向けて負担を少なく

またコース中には、露出した木の根や岩石、丸太を組んだ階段などによって大きな段差が生じているところがある。そんな場所では、正面向きではなく、段差に対して体をやや斜めに向けて足を上げ下げすると負担がかかりにくくなる。

ハイキングマナーを守って気持ちよく歩こう

高尾山の貴重な自然を守っていくため、ゴミを捨てない、植物を採らない、道以外の場所へ踏み込まない・・・。これは重要かつ常識的なルールである。必ず守ろう。さらにこんなハイキングマナーを実行すると、気持ちよく歩ける。

ハイカー同士が交差するのに充分な道幅がないところでは、登ってくるハイカー優先で、下り側が道をゆずることが基本。そのうえで安全に待機できる場所の有無やお互いの人数などによって臨機応変に対処しよう。

気持ちよく歩ける配慮を

後ろに早く歩きたい人がいたら道をゆずる、追い抜きたいときはひと声かけるなど、お互いが気持ちよく歩けるように配慮する。

また、大勢の人が行き来する場所は別として、ハイキングコースでは、行き交うハイカー同士で挨拶をすると、お互い気持ちがいいもの。急坂などで息がつらいときは、軽く会釈をするだけでも気持ちは伝わるので、ぜひ実行したい。

もしものときのために備えておきたいもの

うっかり転んで手足を軽くすりむいた、ということもよくある話。そんなときには応急手当が必要になるが、何も持っていなければお手上げだ。そのため携行したいのが、絆創膏や消毒液、包帯、虫さされ薬などのファーストエイドキット。必要最小限の薬品類をポーチなどにコンパクトまとめて携行すると安心だ。

また、すりキズなどの応急手当では、キズ口についた砂や泥を洗い流すため、ペットボトルに真水(水道水)入れて携行すると、水道のない野外でも対処できる。もちろん状況によっては、携帯電話などから110番(山岳地での緊急時は警察へ)し、救援を依頼する必要もある。

山で夕暮れを迎えてしまったら…

アクシデントがあり、山中で夕暮れを迎えてしまったときに役立つのが懐中電灯。登山では頭に装着するヘッドライトが使われるが、小型のペンライトのようなタイプでもリュックにしのばせておくと安心である。

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