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山旅をZINEにしよう![2]白馬岳編

山の「記憶」を「記録」に
その他 2020年05月03日

こんにちは。フリーランス編集者の小野泰子です。仕事だけでなく、プライベートでもZINE(ジン/小冊子)を作っている、根っからの雑誌好きです。山や旅、そして日常で気になったことを拾い上げ、紙に落とし込んで一冊にまとめる作業を長年楽しんでいます。

ZINEとは、MAGAZINE(マガジン/雑誌)に由来する造語なのだとか。個人が自費で制作したり、大手の流通を通さずに広めたりする小冊子を指します。

この連載では、山旅がより思い出深いものになるZINE作りを提案したいと思います。毎回、私が出かけた山を題材に、自由自在なZINEの世界をご紹介します。第2回目は北アルプス・白馬岳(しろうまだけ)編。

現在は「ステイホーム」の期間で、山に出かけられないもどかしさはありますが、こんなときこそ過去の山旅を懐かしく振り返ったり、そのときに感じたことを“山ZINE”という形に仕立ててみませんか。

 

Contents

●白馬岳の山旅

●使った材料

●作り方
 1_テーマを決める
 2_見せ方を考える
 3_仕様を考える
 4_レイアウトする
 5_印刷する
 6_折る

●最後に

 

白馬岳の山旅

私が山を始めるきっかけとなったのが白馬岳でした。社会人1年目の夏、同じく登山初心者の親友と2人で猿倉登山口に降り立ち、いきなり大雪渓をえっちらほっちら登ったのです。若気のいたりというか、無謀というか……。過去の私に「登山はステップアップが大事!」と説教したいですね。

案の定、プチハプニングだらけ、でも達成感に満たされたこの山旅から、歳月は流れてン十年。3年前に再び、猿倉~大雪渓~白馬岳~栂池という同じルートで山頂をめざす機会がやってきました。今度は5人パーティで、白馬岳頂上宿舎裏手の窪地でテント泊です。

前回は登頂したものの、小雨であたり一面真っ白だったので、今回は山頂からの眺望を楽しみにしていました。幸い、天気に恵まれ、パノラマビューを満喫したのですが、それ以上に印象に残ることがありました。「雪渓を渡る風」の存在です。ときにはひんやりと、ときには熱気をまとって吹き下ろす風を受けながら、雪の上を一歩、また一歩進んでいきました。日差しが強い稜線歩きでは、雪渓から吹き上げてくる風が心地よくて。下界では決して味わえない「ここだけの風」を強く意識した山旅でした。

 

1日目、風を感じながら、大雪渓を登る。小柄なメンバーの赤いザックがひと際大きく見え、雪に映えた

 

使った材料

・A4の紙1枚。たったこれだけ! 
カッターなどの道具は不要です。

 

作り方

1 テーマを決める

山に出かけ、心動かされたことをテーマにします。白馬岳登山では前述のとおり、風が印象深く、これをテーマに。タイトルはテーマを表現できるものがよく、「SHIROUMADAKE 雪渓を渡る風」にしました。まんまですね(笑)。

2 見せ方を考える

テーマがもっとも伝わる見せ方を考えます。風は視覚では伝えにくいモチーフですが、写真と言葉で効果的に表せたらと思いました。たくさんの写真を撮りましたが、みんなでワイワイしているカットではなく、どこか静けさのあるカットを選びました。あえて、後ろ姿だったり、フレームのなかにメンバーが1人だけだったりといった。言葉は少なめに、端的に。でも余韻が残るような語調にしました。

風をメインテーマに、テント場に注ぐ朝の光、懐かしの猿倉にも少しふれ、内容に厚みをもたせました。サブ的要素を膨らませすぎると、テーマがブレてしまうのでご注意を。

 

2日目、白馬岳山頂へと稜線を歩く1人のメンバー。下から吹き上がる風を感じつつ

3 仕様を考える

第1回目の鳥取県・伯耆大山(ほうきだいせん)編では、A4の紙を重ねて片側で留める「平綴じ」という製本をご紹介しました。

今回は、「綴じない」ZINEを作ってみましょう。巻き折り、観音折り、じゃばら折りなど、1枚の紙の折り方を変えれば、ざまざまな見せ方ができます。こういった1枚ものの印刷物は、「ページもの」の冊子に対し、「ペラもの」と呼んでいます。

白馬岳編では、まずA4の紙を2つ折りにし、さらに観音折りにしました。観音折りはその名のとおり、観音開きのように開いていく楽しさが2回あります。そのあとに2つ折りも開くので、トータルで3回わくわく感が!

ペラものの折り方の一例。下段の2つ折り+観音折りが、今回の仕様

4 レイアウトする

今回も普段からなじみのある文書作成ソフト(Word)のお世話になりました。A4の両面にレイアウトするので、表面用、裏面用に分けて作業します。いずれも横長の設定に。

2つ折りにする関係で、表面の上半分は正位置で、下半分は逆位置でレイアウトします。逆位置は、写真や文字を「挿入→図形→吹き出し」機能で正位置に配置したあと、「回転」機能で180度向きを変えています。 裏面は全面、正位置でOK。

表面のレイアウト下半分では、写真も文字も逆位置にすることがポイント

5 印刷する

A4の紙を用意し、両面にカラーで印刷します。紙の銘柄や色により、実際の写真データと風合いが多少異なりますが、それが紙モノのおもしろさ。手元にあれば、いろいろな紙で試してみましょう。もちろん、ノーマルなコピー用紙でも構いません。茶色のクラフト紙は百均でも手に入ります。珍しいところでは、譲り受けた点字用紙を再利用しました。

裏面を印刷。左は、上からクラフト紙、オフホワイトの上質紙、コピー用紙。右は点字用紙

6 折る

まず、表面を上にして広げ、短辺のセンターを2つ折りにします(写真1枚目)。その状態から、長辺のセンターを2つ折りに(写真2枚目)。次に、内側に向かって両端を折り込みます(写真3枚目)。このとき、センターのギリギリまで折り込まないこと。1~2㎜ほど隙間がないと、畳んだときにごわついてしまいます。 

2つ折りにし(写真1枚目)、そのあと観音折りにし(写真2~3枚目)、畳んで完成(写真4枚目)


最後に

いかがでしたか? 今回は材料が紙1枚で、綴じる作業はなくて折るだけ。簡単にできるので、量産して山仲間に配ってみるのもいいですね。パソコンでのレイアウトに手間取るようであれば、台紙に写真を切り貼りしたり、手書き文字を加えたりしてはどうでしょうか。あまり気構えず、どんどん形にしてもらえるとうれしいです。

写真・映像 知識・雑学
教えてくれた人

小野泰子(フリーランス編集者)

登山、トレッキング、散歩といった歩くこと全般をテーマに、山岳系の雑誌、書籍、ウェブに携わる。プライベートでも四季を通じて山に入り、縦走、アルパインクライミング、雪山登山にいそしんでいる。アイルランドでの3週間のトレッキングなど、旅の記憶を手製本に落とし込むこともライフワーク。山のみならず、街で出合った“山の片りん”をインスタグラム(@ono_b_yasuko)に投稿中。

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