AIを使って、保存している写真を活用してみよう! Googleレンズが教えてくれる山のこと

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山で撮ったたくさんの写真、どうしてますか? 「AI」というキーワードが盛んに叫ばれている今、その写真をAIで調べてみませんか? 山のこと、咲いている花のこと、登山用具のこと、AIが回答してくれるかもしれません。

 

登山者の多くは、登山中にたくさんの写真を撮影していると思います。フィルム写真の時代には、撮影枚数が限られるうえに、フィルムや現像のコストもかかったので、写真は山頂での記念撮影のみ、という人が大半でした。しかしデジタルカメラになってからは、撮影枚数はほぼ無制限となりました。データ保存のコストもさほどかからないので、気になるものは片っ端からメモするように撮る人も少なくなくなりました。

ところで、こうして撮った写真を、皆さんはどのように活用していますか? やはりSNSへの投稿が多いのではないえしょうか。例えば、面白いものが撮れたらTwitterへ、きれいな写真はInstagramへ、さらに山の様子がわかるように、複数枚をまとめてfacebookにも投稿といった具合で――。

さらにGPSのトラックログと一緒に、「ヤマケイオンライン」や「ヤマレコ」をはじめとした山行記録投稿システムに投稿する人も多いでしょう。ほかにも、気に入ったものだけをプリントしてアルバムにまとめている、という人もいると思います。

しかし、その後はどうでしょうか? おそらくはスマートフォンやハードディスクなどに、保存したままという人が多いはずです。外出自粛期間中の今、保存した写真を見返す機会は増えたかもしれません。それでも、写真を眺めつつ、その山行を懐かしむぐらいまでだと思います。

もちろん写真を見て、過去の山行を思い返すのは、とても楽しいひとときです。しかし、写真をもっと活用することも考えてはいかがでしょうか。撮った写真には、パッと見ただけでは解らないくらい、多くの情報が写り込んでいるものです。最近急速に発達してきたAIを利用した画像認識技術で、写真を調べてみませんか。

人の目とは異なった視点で、写真の情報を拾い上げるため、思わぬ発見をすることもあります。今回は、スマートフォンと無料アプリを使って手軽にできるその方法を、皆さんに紹介します。

 

Googleレンズで撮影した写真の情報を確認しよう!

必要なもの

  • スマートフォン(iPhone、Androidのどちらでも可。ちなみに私はAndroid)、タブレットも可
  • Googleのアカウント
  • Googleアプリ(Googleレンズ、フォト)

さらにパソコン上の写真データを調べる場合には、Windows PC(またはMac)はもちろん、保存した写真データも必要になります。

 

Googleアカウントを準備

・Googleアカウントの取得

もしまだアカウントを保持していない場合には、スマートフォンの「設定」→「アカウント」→「アカウントの追加」→「Google」→「アカウントを作成」とタップし、必要事項を入力してGoogleの各種機能が利用できる状態にしましょう。

・Googleアプリのインストール

iPhoneの場合は、App Store経由で「Googleアプリ」、「Googleフォト」をインストール。「Googleアプリ」の検索バーの中の四角いアイコンをタップすると、Googleレンズが起動します。
Androidの場合は、「Googleレンズ」、「Googleフォト」ともにプリインストールされているはずです。もしなければ、Google Play経由でインストールしましょう。

 

Tips1:Googleレンズの使い方の基本

AIを使った画像認識をするのが、「Googleレンズ」アプリです。その場でかざしたスマートフォンのカメラに写り込んだ、文字や物の形、色などをAIが判断。それに関連する情報を、画面の下部に表示する、という仕組みになっています。まずは、『山と高原地図』を広げてカメラを向けてみましょう。


すると、地図に記された山の名前をAIが判断します。そしてその山と思われる画像を表示。プランニング時に、目指す山の姿を知りたいときなどにはとても便利です。

また、実際に山を歩いているときは、登山道のかたわらに咲く花の名前を知りたいことがあるはずです。そんな際にもGoogleレンズを向けると、花の名前が表示されます。


正しい名前が表示される場合もあれば、ちょっとはっきりしない場合もありますが、画面をスクロールして「関連コンテンツ」を表示させるととで見つかることがあります。

ほかにも、山で目にした他の登山者の装備などが気になることもあるでしょう。その場合にもGoogleレンズは役立ちます。持ち主に声をかけて、気になる装備にGoogleレンズを向けてみましょう。この場合は、アプリ下部の右から2つ目のボタン「ショッピング」をタップすると、より精度が高まります。


やはり完全に同じではない品が表示される場合が多いのですが、「関連コンテンツ」をスクロールしていけば、見つかることがほとんどです。

さらに精度を高める方法もあります。画像右下の「トリミング」ボタンをタップして、気になるものをクローズアップするように切り抜いてみましょう。


このように、全体を画像認識させたときよりも、かなり正確な検索結果が表示されます。

 

●Tips2:スマートフォンに保存している写真をGoogleレンズで調べる

Googleレンズはここまで紹介した基本的な使い方のほか、スマートフォンに保存している写真データも画像認識できます。


Googleレンズを立ち上げたら、右上の四角のアイコンをタップします。するとストレージ内の写真が表示されるので、調べたい写真を選択します。すると画像認識が始まるので、あとは実物にかざしたときと同様に、認識した結果が画面下部に表示されます。

もちろん、ここでも写真のトリミングができるので、写真の一部分だけをクローズアップして調べることも可能です。

 

●Tips3:オンラインストレージの写真をGoogleレンズで調べる

Googleレンズでは、スマートフォンのストレージだけでなく、オンライン上のストレージの画像認識も可能です。

山での写真はスマートフォンではなく、デジタルカメラで撮影する人も多いでしょう。撮影した写真をあらかじめオンラインストレージに保存しておけば、それをGoogleレンズで調べることが可能です。


Tips2で紹介した、ストレージ内の写真を表示させる画面で、左上のメニューボタン(横棒3本のアイコン)をタップしましょう。

すると左側に、「次から開く:」というメニューが現れて、画像認識の対象にできるストレージ一覧が表示されます。調べたい写真のあるストレージ名をタップして写真を選べば、Tips2と同様に画像認識の結果が表示されます。

 

●Tips4:PC内の写真をGoogleフォトに保存する

写真を保存するオンラインストレージとして、優れているのは「Googleフォト」です。オプションで「高画質」を選べば、写真のサイズが16メガピクセル(MP)まで圧縮されるものの、写真データが無制限、かつ無期限で保存されるので安心です。

スマートフォンで動作する「Googleフォト」アプリには、Googleレンズの機能が搭載されています。アプリ上で表示させた写真の画像認識も可能です。もしまだ使っていなければ、ぜひ試してみるといいでしょう。

Googleフォトに写真をアップロードする方法でGoogleが推奨しているのは「バックアップと同期」というアプリを使うものです。あらゆる写真を、自動でGoogleフォトに転送できるので便利です。

ただし、すでにたくさんの写真を持っている人は、相応の段取りと時間が必要です。ここではもっと簡単に、必要な写真だけをGoogleフォトにアップロードする方法を説明します。


PC、またはMacのブラウザでGoogleにアクセス。右上のログインボタンをクリックし、作成したアカウントでログインしましょう。すると名前が表示されるようになり、その右にあるメニューボタン(9個の点がならんだアイコン)をクリック。さらに「フォト」をクリックします。


ここで上部に表示される、「+作成」をクリック、表示されるプルダウンメニューから「アルバム」をクリックします。


するとアルバムの作成画面になるので、タイトルを入力。あとは画面中央に好みの写真をどんどんドロップしていくと、その写真が入ったアルバムができあがります。このアルバムは、同じGoogleアカウントでログインしている他のPCやタブレットはもちろん、スマートフォンからも閲覧可能です。

 

●Tips5:Googleフォトの写真をGoogleレンズで調べる

スマートフォンでGoogleフォトを立ち上げて、下の「アルバム」アイコンをタップ。するとTips4で作った、アルバムが表示されています。

そのアルバムを開いて調べたい写真をタップすると、右下にGoogleレンズのアイコンが現れます。それをタップすることで、Tips1と同様の方法で写真に写っているものを画像認識させることができるようになります。

この方法で、過去写真をどんどんGoogleレンズで画像認識させてみましょう。Tips1では文字や花、装備の例を紹介しましたが、山そのものや食べ物、動物なども、画像認識させることでさまざまな情報が表示されます。

 

目の前にあるもの・写真を、どんどん調べよう!

目の前にあるものを調べるのがGoogleレンズの基本の使い方ですが、ストレージ内の写真も調べることができるほか、Googleフォトを併用することで、さらにたくさんの写真を調べることが可能です。

ときには見当違いの検索結果が表示されたりするものの、予想外の発見をすることも多いはずです。ぜひ皆さんも、AI技術の進歩を感じつつ、いろいろな写真で試してみてください。

プロフィール

木元康晴

1966年、秋田県出身。東京都山岳連盟・海外委員長。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅢ)。『山と溪谷』『岳人』などで数多くの記事を執筆。
ヤマケイ登山学校『山のリスクマネジメント』では監修を担当。著書に『IT時代の山岳遭難』、『山のABC 山の安全管理術』、『関東百名山』(共著)など。編書に『山岳ドクターがアドバイス 登山のダメージ&体のトラブル解決法』がある。

 ⇒ホームページ

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