登山道具とECOについて。考えて、行動しよう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

好日山荘の女性スタッフ有志「おとな女子登山部」によるリレー連載。緊急事態宣言で登山自粛の中、好日山荘池袋西口店に勤務するなみへ~さんが、「登山道具とエコについて、知ってもらいたいこと」というテーマで寄稿してくれました。

 

こんにちは。好日山荘おとな女子登山部・なみへ~です!

新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言の真っただ中で原稿を書いています。今回は、山に行けない日が続く中で、山道具の整理をしながら、登山道具とECOについて、私が考えることをお伝えしたいと思います。

好日山荘では96年目の約束として「ECOで、好日=エコジツ」に取り組んでいます(⇒好日山荘のエコプロジェクト「エコジツ」 )。

「大切に使う」「無駄をなくす」「守る」を柱に、100年先の山トモへ今ある景色を残していきたい…、そんな気持ちがこめられています。以下に紹介するのは、好日山荘の店舗や私が実際に行っている取り組みの一例です。みなさんもこの機会に「エコ」について考えてみませんか?

 

メンテしながら「大切に使う」。使い切ったらリサイクルへ

好日山荘の各店舗では、リサイクルダウンやリサイクルウェア(一部の店舗)の回収をはじめました。反響は大きく、特にリサイクルダウンを持ち込む方は多いと感じています。ダウンウェアだけでなく、羽毛布団の持ち込みも見受けられます(笑)。生まれ変わって山で活躍できる寝袋やダウンウェアになる日が来ると思うと嬉しいですね。

各店舗に設置された大きなBOXで回収中(最上部写真)。 一部店舗ではパタゴニア製品の回収も行っています


山道具はメンテナンスをしっかりすることで長く使い続けることができます。そこで、全店にメンテナンスサポートデスクを設置し、靴やザックなど、山道具の修理からお手入れのご相談まで、好日山荘の山好きスタッフがメンテナンスに関する幅広いアドバイスをしています。

各店舗に設置されているメンテナンスサポートデスク


日常のメンテナンスというと「洗濯」です。レインウェアやダウンウェア、寝袋、メリノウールのウェアなどは、実は自分でも簡単に洗濯できるんですよ。洗濯機でも洗濯できますが、私は手洗い派です。

専用の洗剤で洗うだけなので簡単! 特にグランジャースの洗剤は、世界で最も厳しいと言われる“ブルーサイン認証”を受けており、環境に負担がかからないよう配慮されています。いざ洗濯しよう! と思うと面倒なので、自分のお風呂タイムに一緒にお風呂で洗濯しています。アウトドア用の洗剤は泡立ちが少なくすすぎが楽ちん、なのに汚れがごっそり落ちるので癖になります。

用途にあった洗剤を使うといいですよ! “海へ・・・”は普段の洗濯に使用中


お風呂で洗ったり、洗面台で洗ったり。意外と簡単です


また、登山靴やバックパック、トレッキングポールなども、お手入れすることで長く使えます。破損した場合は店舖にあるパーツで修理できるものもありますので、まずは捨てる前にご相談ください。店舗での対応ができない場合はメーカーに依頼し、修理します。少し時間がかかることもありますが、店舗スタッフにご相談ください。

 

マイバッグ、マイボトル、マイ箸で、「無駄をなくす」

今ではスーパーなどで当たり前になっている「レジ袋の有料化」ですが、好日山荘の店舗でもレジ袋の有料化が始まりました。マイバッグのご持参を推奨していますので、買い物の際にはぜひマイバッグをお持ちください。

私も普段からマイバックを持ち歩き、レジ袋をもらわないよう工夫しています。バックパックがひとつあるだけで、両手もふさがらず何でも入るので便利ですよね。登山用のバッグにはポケッタブルになり、丈夫で軽いバッグもありますので、普段のバッグにしのばせておくのにおすすめです。

マイバッグのほかにも、マイボトルやマイ箸の携行もおすすめします! こちらもコンパクトになり持ち運びに便利なものがたくさんあります♪

マイボトルのおすすめは色々あります。ひとつはプラティパス。飲み終わった後、小さくたためるのが魅力。仕事のあとに食事の予定がある時は、荷物が減らせてとっても楽です。

ボトル類は周りの山仲間も同じものを持っていて、デザインが被ってしまうこともあります。名前を書いてもいいのですが、みんなステッカーを貼って自己主張しています^^。私は自分だけの柄を、と思いデコパージュで花柄デザインにしています。愛着が湧きますよ~。


プラティパス&アルミボトルはデコパージュで女子力高めに!


また、山屋ならおなじみの“山専ボトル”は、保温力抜群、いつまでも中身が温かいので、寒い季節には重宝します。なみへ~は自宅で一番大きい山専ボトル(900ml)に、朝、お湯を沸かして入れています。1日お湯を沸かさず、ボトルのお湯でコーヒーなどを飲みます。電気ポットのように常に温かい便利なものもありますが、電気代の節約にも活躍してくれます。

最後のおすすめは定番のナルゲンボトル。マイボトルの中では一番人気なのではないでしょうか? BPA FREEで環境にやさしい樹脂を採用しているので、安心して使えます。

カラーやサイズも豊富で、耐熱温度の幅は広く、熱いお茶を入れて冷ましながら飲んだり、凍らせたりしてもOK。使い勝手が良いのです。なみへ~のナルゲンボトルはWWFという環境保全団体のパンダマーク入り! 個人的にWWFに入会し活動を支援しています。


なみへ~のマイ箸。使わないときは小さくできる優れもの

 

自然環境を「守る」活動に参加しよう!

みなさんは、自然環境を守る活動にどのように参加していますか?

好日山荘としては、神戸にある自社倉庫に再生エネルギーを導入したり、六甲山グリーンベルト事業や、「高尾の森づくりの会」へ参加をすることで、自然環境を守る活動をしています。

なみへ~個人では、寄付以外にも、個人で森林ボランティアなどに参加しています。最近では、関東の御岳エリアで、御岳エリアの秩序を保とうと活動する「御岳クライマーズコミュニティ」に参加し、御岳エリアの清掃活動も行いました。ゴミを拾うことでどんなものがゴミになるのか、無駄になるのか気づかされました。

活動を通じてできるだけゴミにならないようなもの、環境に負担をかけず継続使用できるようなもの選択することが必要だと感じました。


台風後の荒れた御岳エリアを、
クライマー、パドラー、ランナー、ハイカーと、ローカルの方で清掃しました


好日山荘のウェブショップでは、イラストレーターの鈴木みきさんによる「勝手に山のこと」というグッズを販売しています。鈴木みきさんご自身が始めたこの活動は、商品を購入すると、山を守る各地方の団体に寄付できる仕組みになっていて、好日山荘はそのお手伝いをしています。お買い物をしながら気軽に山へ貢献できるのがポイントです。


最新作の手ぬぐい。布マスクとしても活用できる優れもの


時々は、山の道具を家でも使って、あえて不便さを楽しむ時間も必要だと感じています。最近、私はTVをあまり見ません。ただ音がほしいだけで見たり、時計代わりにつけたり・・・というのが無駄に感じてしまったのです。

たまにはTVを消して、電気の使用をお休みしてみませんか? 山の地図を広げ、ランタンをつけて過ごしてみると、気持ちもやさしく穏やかな気持ちになりますよ。


ランタンの灯りでまったり。コンパクトになるソーラーランタンやキャンドルランタンなどもあります


山のウェアは過酷な環境でも耐えられるようテストして作られています。そのため、毎日使っても長い間使い続けることができるので、買い替える無駄が減りました。

登山をはじめてからはメリノウール製品に出会い、今では山だけでなく普段着としても愛用しています。ウールは羊の毛。私は動物も好きなので、動物愛護の精神からいうと、ウールや皮製品を使うのは躊躇していました。最近では“エシカル”や“サスティナビリティ”という言葉も耳にするようになり、道具やウェアなどの作られている背景が劣悪な環境でないか、無駄がないかも意識するようにしています。

そんな時、バーグハウスのメリノウールは、ミュールジング(*)されていない羊のウールを使用していると知りました。

(*)羊毛用に品種改良されたメリノ種は、臀部・陰部の皺に糞尿がたまりやすく、蛆虫が繁殖しやすい。それを予防するため、皮膚と肉を切り取ることをミュールジングというのですが、無麻酔で行われ、また傷跡の治療なども行われないため、羊にストレスを与えると考えられています。

ニュージーランドでは、2007年までにミュールジングが廃止されています。ストレスのない環境で育った羊たちの毛をまとっているだけで心も癒されます。ウールなのに縫製もしっかりしているので、長く愛用できます。山の道具やウェアって高価だなと感じる方も多いと思いますが、それだけ丈夫で長期間活躍してくれるのです。


なみへ~愛用のメリノウール。薄手から中厚の出番が多いです!


好日山荘で取り扱うメーカーも、様々な形で環境活動、CSR活動を行っていますので、そういうところも注目して、山道具、山ウェアを選んでいただくのがよいと思います。


様々なアウトドアメーカーで環境への取り組みが進んでいます


山道具を日常にも取り入れ、一緒に持続可能な社会を目指して行きましょう! みなさんも山道具を使うことでエコを意識し、長くお付き合いしていただけたらと思います。

 


今ある景色をそのままに、100年先の山トモへ…

⇒好日山荘のエコプロジェクト「エコジツ」

プロフィール

なみへ~(好日山荘おとな女子登山部)

東京生まれ埼玉育ち。10年ほどサーフィンを楽しみ、サーフトリップででかけた屋久島でトレッキングの楽しさに目覚める。登山スタイルはピークハント中心で、岩のナイフエッジを求めてクライミングを始める。旅行好きなので海外トレッキングにも出かけている。やりたがりのおとな女子最高齢。最近は家で猫とだらだらしすぎて体重が5キロも増えたのがもっぱら悩みの種。これから雪山の季節、ちょっとずつ山に行き始めたのですがまだまだ不安。。。体力UPの為ウォーキングを始めてみました~!
⇒おとな女子登山部メンバーはこちら

好日山荘 池袋西口店

日帰りハイキングから長期縦走、クライミング、沢登りまでさまざまな登山スタイルに対応する品揃えを誇る登山用品店。2階にある「マウントラボ」では、ロープワーク講習や山道具の選び方講座など、さまざまな勉強会が開催されている。

所在地/東京都豊島区西池袋3丁目27-12 池袋ウエストパークビル
TEL/03-5958-4315
営業時間/時短営業中につき好日山荘のWebサイトを参照
アクセス/池袋駅西口方面「1b」出口すぐ。
http://www.kojitusanso.jp/shop/kanto/#tokyo

好日山荘おとな女子登山部 リレー連載

登山用品専門店の好日山荘で、2013年より女性スタッフ有志により立ち上がった「おとな女子登山部」。 「自分たちが山を真剣に楽しみ、次の山に挑戦すること」「お客様にもっと山を好きになってもらうこと」を目標に、ブログでの発信や登山イベントなどを行っている。 その活動の様子と女子目線での登山感を伝えていく。

編集部おすすめ記事