私が読んだ「山の本」|漫画家・エッセイスト鈴木ともこさん

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登山界の著名人に聞く、山の本。最初に出会った山の本や、感銘を受けた山の本など、いろいろなテーマで山の本を紹介してもらいました。今回は漫画家・エッセイストの鈴木ともこさんにお聞きします。

 

最初に出会った山の本

『もりのえほん』
著=安野光雅(福音館)

文字が一切ない、森の絵本です。森の中に動物や鳥、不思議な顔などが「隠し絵」として描かれていて、じいーっと見ていると浮かび上がってくる1冊。
思い返すと、2歳くらいのときに出会い、繰り返し眺めていたこの本が「最初」のような気がします。今は実際に山の中、森の中で、この絵本からもらった「見つけ出す楽しみ」「小さな命に気づく喜び」を実体験できていることが、なおうれしく、この本への思いも増しました(今も本棚にあります)。

 

最も感銘を受けた、影響を受けた山の本

『山小屋ごはん』
著=松本理恵(山と溪谷社)

山登りをはじめて、山についてもっと知りたいと思ったとき、表紙の写真とタイトルに惹かれて手にした本。まだ見ぬ山と山小屋への憧れ、ひとつのごはんの背景にある思いや物語が文章から立ち上ってきます。山小屋の空気まで感じられるような写真も素晴らしく、何度も読み返しています。山と山小屋、人の思い、心づくしのごはん。私の「好き」が詰まった世界です。

 

最近読んだ山の本

『日本女性登山史』
著=坂倉登喜子・梅野淑子(大月書店)

江戸時代から近代登山まで、女性の登山や登山家に関する史実が、写真と共に細かく紹介されている一冊。女性がどのような思いで山に登ってきたのか、どのようなスタイル(服装)だったのかがわかります。時代と共に変わったものもあれば、いつの時代も、自分らしい服装で、山に向き合う女性たちの生き生きとした表情は変わらず、そのことに温かな力をもらえます。

 

「山の日」におすすめしたい山の本

『山登りはじめました』シリーズ
著=鈴木ともこ(KADOKAWA))

自著で恐縮ですが、山登りの楽しさ、山の素晴らしさを追体験していただきたいと思って描いたコミックエッセイです。高尾山のような手軽に行ける低山から、北アルプスや屋久島のような憧れの高山まで。山登りが好きな方にも、これから山登りをはじめたいという方にもオススメです。山小屋グルメや下山後のお楽しみやお土産情報も詰まっているので、本を読みながら、山への思いをふくらませていただけたらうれしいです。

 

※この記事は、2016年に制作した「登山界の著名人に聞く 私が読んだ山の本」を再構成したものです。

プロフィール

鈴木ともこ

漫画家・エッセイスト。1977年東京都生まれ。登山歴11年。自身の山登りの体験を描いたコミックエッセイ『山登りはじめました』シリーズなど著書多数。山好きが高じて、長野県松本市に移住。ハイキングから北アルプスまで、家族で山登りを楽しんでいる。Instagramhttps://www.instagram.com/suzutomo1101/

登る前にも後にも読みたい「山の本」

山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。

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