このエントリーをはてなブックマークに追加

梅雨時期は視点を変えて海岸線のウォーキングはいかが? 三浦半島・荒崎海岸で鎖場・岩礁歩きを満喫

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2020年06月23日

天候が不安定な梅雨時期の登山は気が進まない人も多いだろう。こんなときは、視点を変えて海辺を歩いてみてはどうだろうか? 海を見ながら岩稜登山(気分)を楽しめる三浦半島・荒崎海岸を紹介する。

 

天候がはっきりしない梅雨は、行き先選びが難しい季節です。そんなときこそ少し視点を変えて、海岸線のウォーキングを試してみるのはいかがでしょうか? 行き先は「いい山」ではありませんが、コース次第で一風変わった、山歩き気分が楽しめます。

歩き始めてすぐに現れる「どんどんびき」と呼ばれる細長い入江。このような、山とは違った地形が連続します


なかでも神奈川県の三浦半島は、登山者が楽しめるような海岸線のウォーキングコースが充実しています。中でも、初めての人にオススメなのが荒崎海岸です。ここは「荒崎シーサイドコース」として整備されていて、岩礁伝いに歩くことができるほか、鎖場も現れて変化に富んでいます。

荒崎シーサイドコースハイキング

コース行程:
荒崎バス停・・・潮騒の丘・・・弁天島・・・栗谷浜漁港・・・長浜海岸・・・矢作入口(約2時間)

⇒モデルコースはこちら

 

新鮮な海の景色と地層、そして潮風を満喫するトレッキング

荒崎海岸の入口となる荒崎へは、京急久里浜線の三崎口駅から、京急バスで向かいます。所要時間は約23分で、運賃330円。休日は1時間に2本程度の運行があります。

荒崎でバスを降りたら、海沿いの車道を歩いて荒崎公園へ。まずは右手の「潮風の丘」へと向かいましょう。階段を登りきった上の広場が、標高22mの城山頂上で、二等三角点も設置されています。

眼下には表面がギザギザになった、白と黒の層が縞模様を描く岩礁の向こうに海が広がっています。山にはない景観に、とても新鮮な気持ちを味わえるはずです。

城山の二等三角点と、そこから見下ろした岩礁。泥岩と火山岩が交互に積もって出来た岩です


道を引き返して、「どんどんびき」という狭まった沢のような入江を見てからトイレ前を過ぎると、いよいよ本格的なシーサイドコースがスタートします。海蝕洞窟の十文字洞を回り込み、コンクリートの橋を渡って弁天島の脇を通過します。

島とは言いつつも地続きの弁天島。切通しのようになった部分を通り抜けます


岩場の側面を鎖伝いに慎重にトラバースする箇所はスリルを味わうこともできるでしょう。洞門を潜り抜けて小さな砂浜である箕輪の浜へ。続いて左の大きなこうもり穴ぐらを過ぎ、私有地になっているお仙ヶ鼻を急な階段で通過すれば、小栗湾の漁港へと出て一息つけます。

まるで山の岩稜帯のようなしっかりした鎖場を通過して、岩の穴を通り抜けます


漁港の先の小さな砂浜からは、今度は佃嵐崎の岩礁帯へと進みます。岩の区間を通過して左に回り込めば、砂浜が広がる長浜海岸です。

例年であれば7月中旬には海水浴場が開設されるこの砂浜を横切って、その先の防波堤の手前まで歩けばコース終了。あとは車道を東へ進み、国道134号を渡れば三崎口駅に戻る矢作入口バス停です。

迫力ある佃嵐崎の岩礁帯を過ぎると、ガラリと雰囲気が変わりおだやかな長浜海岸を歩きます


海岸の美しさを満喫できるこのコースの、もうひとつの楽しみが海浜植物です。海の間近という生育環境の厳しさは、高山にも似ています。まるで高山植物を思わせるような、色鮮やかな花を咲かせる植物も目立ちます。

6月下旬から7月にかけてのこのコースでは、ハマユウやスカシユリ、ハマゴウなどの花が咲いているので、探しながら歩いてみましょう。

長浜海岸のハマゴウと、箕輪の浜近くで咲いていたスカシユリ


なお、このコースは市街地からは、さほど離れていないため、本格的な登山装備は不要です。それでも、できればローカットのトレッキングシューズをはいて、動きやすい服装で向かうことをオススメします。行動食と飲料水、それにレインウェアと、簡単なファーストエイドキットも忘れないようにしましょう。

そして、もう一つ気をつけたいのが海水面の高さです。満潮時には水位が上がるため、トラバースを強いられる箇所が増え、飛び石伝いにジャンプしなければいけない場面も現れて一気に難易度が上がります。

海水面の高さは、事前に気象庁のウェブサイトで知ることが可能です。以下に手順を紹介すると――、

  • ①「潮位表」で検索して気象庁のウェブサイトにアクセス。
  • ②「関東地方・伊豆諸島」→「油壺」とクリック。
  • ③「表示期間」に行きたい日の日付を入力。
  • ④「毎時潮位(グラフ)」と「毎時潮位(表)」にチェックを入れて、「各項目を入力してクリック」をクリック。

すると、その日の予想が表示されます。コース前半の、岩礁帯を通過する時刻の潮位が80cm以下であれば、問題なく行動可能です。

気象庁のウェブサイトで自由に閲覧できる潮位表。行動可能の目安は、潮位80cm以下


このコースは、一気に歩けば2時間ほどのコースですが、海の景色は新鮮で、あれこれ寄り道したくなるはずです。行動時間は、たっぷり余裕をとっておくのが良いでしょう。

 

記録・ルポ
教えてくれた人

木元康晴

1966年、秋田県出身。東京都山岳連盟海外委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(ステージⅢ)。2009年から登山ガイドの仕事を始め、2011年から『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』『岳人』などで数多くの記事を執筆。
ヤマケイ登山学校『山のリスクマネジメント』では監修を担当。著書に『IT時代の山岳遭難』、『山のABC 山の安全管理術』、『関東百名山』(共著)など。

同じテーマの記事
断崖に秘かに咲くウチョウランを求めて起伏の激しい岩稜を登行する 秩父・二子山
低山ながら、切り立った断崖、絶壁に富んだ山容を誇る二子山。下部には最難ともいわれるフリークライミングのエリアを持つことでも知られています。梅雨の短い晴れ間に、ウチョウランが咲くという岩稜へ撮影山行に向かいました。
梅雨の晴れ間を狙って、ちょうど残雪の消えた谷川岳へ。ロープウェイを使って夏山を満喫する
雪解けも進み、標高の高い山も本格的な登山シーズンへと突入する。日本随一の豪雪地帯として知られる越後山脈の盟主・谷川岳も残雪が消え、その下から高山植物が咲き出す。晴れ間を狙って、都心から日帰りで行くには丁度よい。
アジサイの名所を巡る鎌倉ハイキング。大仏コースで今年の状況をチェック
アジサイの名所は各地にあります。神社仏閣や名園、公園緑地などに多く、低山に接して、手軽で短いハイキングを楽しめるところも多数。梅雨の晴れ間にサクッと楽しめるコースが豊富なのもうれしいところです。定番の鎌倉・大仏コースを歩いてきたので、ご報告を。
希少な花が咲き、奇岩が並び立つ修験の山 栃木県・庚申山
古い修験道の山、栃木県足尾・庚申山。コウシンソウとコウシンコザクラが咲き、奇岩が並び立つ岩稜地帯を巡る山旅へ。
記事一覧 ≫
最新の記事
記事一覧 ≫
こんにちは、ゲストさん
◆東京の天気予報[山域を変更]
明日

曇一時雨
明後日

(日本気象協会提供:2020年7月5日 17時00分発表)
[ログイン]
ユーザ登録・ログインすることで、山頂天気予報を見たり、登山履歴を登録・整理・分析して、確認できます。
NEW 御嶽山の登山道を守る活動 参加者募集!
御嶽山の登山道を守る活動 参加者募集! 岐阜県で御嶽山の登山道を守る取り組みがスタート。編集長萩原、五の池小屋主人と登る特別企画で参加者を募集!
NEW 雨の季節に。パタゴニア「レインシャドー」が復活
雨の季節に。パタゴニア「レインシャドー」が復活 パタゴニアがレインシェル「レインシャドー」シリーズを一新! リサイクル素材、3層構造のストレッチ生地でより快適に!
NEW 後ろが長い傘をチェック!【山MONO語り】
後ろが長い傘をチェック!【山MONO語り】 高橋庄太郎さんの連載は、ユーロシルムの「後ろが長い軽量傘」を雨の中で。ザックを覆うような構造や使用感のレポート
NEW 山小屋を支援しよう【山小屋エイド基金】
山小屋を支援しよう【山小屋エイド基金】 コロナ禍で営業できない山小屋を支援するため、クラウンドファンディングを立ち上げました。ご協力をお願いします(外部リンク)
萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記
萩原編集長のヒマラヤ未踏峰挑戦記 NHKのTV番組でおなじみ萩原編集長、2013年秋にはネパール・ヒマラヤ未踏峰、「アウトライアー」に総隊長として参加。そ...
山道具の買い方・選び方はプロに訊け
山道具の買い方・選び方はプロに訊け 数ある登山道具の中から、自分にピッタリの用具を選ぶには? 登山用具を知り尽くしたプロショップのスタッフが、そのツボを説明...
梅雨時期こそ登りたい、登るべき山
梅雨時期こそ登りたい、登るべき山 雨降りの中で登山をするのは、やはりオススメできないが、梅雨時の今こそ登りたい山はたくさんある!
登山ボディをしっかり作ってから山へ!
登山ボディをしっかり作ってから山へ! 登山自粛、自宅待機で、すっかり鈍ってしまった身体を、チェック&メンテナンスしたから山へ向かいましょう!
NEW 大自然のダイナミズムに触れる北海道の山
大自然のダイナミズムに触れる北海道の山 北海道の山々から厳選! 踏破したい憧れの名山&コース7選
高山植物の女王・コマクサに会える山へ
高山植物の女王・コマクサに会える山へ ほかの植物が生息できないような砂礫地で、孤高に、可憐な姿を見せるコマクサ。殺風景な風景に力強く咲く「女王」を見られる山へ...
新緑が輝く季節、緑を満喫する山
新緑が輝く季節、緑を満喫する山 山肌の色が枯野色から緑色へと急激に変わる季節。山の緑が最も美しい時期に、緑にこだわって行くのにオススメの山。
レンゲツツジが山肌を彩る季節です
レンゲツツジが山肌を彩る季節です 初夏の時期、山肌を朱色に染めるレンゲツツジ。例年は6月下旬がピークだが、今年は今が最盛期。行くなら今でしょ!