6月の北アルプスは冬山と同じ程度の装備が必要という認識を 島崎三歩の「山岳通信」第190号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年6月11日に配信された190号では、装備・技量が不足している登山者の遭難について言及。最新の登山道情報を確認することの重要性を説明している。

 

6月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第190号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月3日、北アルプス鹿島槍ヶ岳で、日帰りの予定で単独で入山した77歳の男性が、下山途中で疲労により行動不能となり一時行方不明となる山岳遭難が発生。男性は翌4日に、大町警察署山岳遭難救助隊員により発見され、同行され無事に下山した。

  • 6月6日、北アルプス爺ヶ岳で、仲間と4人で入山したパーティのうち、45歳の女性が滑落したほか、2人(56歳男性、53歳女性)も負傷や技量不足のために行動不能となる山岳遭難が発生。3人は翌7日に大町警察署山岳遭難救助隊員により救助され、大町市内の病院に収容された。

北アルプス・爺ヶ岳での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月8日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月1週は、4件の山岳遭難の発生がありました。真夏日が続き、山に雪が残っているとは想像しにくいところですが、信州の山々は標高が高く、夏になっても登山道上に雪が残る箇所があり、滑落や道迷いのリスクが伴います。
この時期は、アイゼンやピッケルの携行を迷うところですが、登山計画の際には、必ず最新の登山道情報を確認し、少しでも不安がある場合は装備品を見直しましょう。また、自身や仲間の技量に見合った山域を選び、決して無理をしない登山をお願いします。

なお、長野県の多くの山小屋では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業予定や方法を変更しています。こちらも入山前に必ず最新の情報を確認しましょう。また、少しでも体調に不安がある場合は、登山は中止にしましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「入山注意報」を発表しています。 6月以降、これまでの登山シーズンとの大きな違いは――

  • ①山岳における救助活動は、必要に応じて感染防止対策を講じた上で出動するため、通常より救助に向かう時間を要する。
  • ②多くの山小屋が例年より営業開始時期を遅らせているため、相談・休憩・避難・環境維持としての機能が低下する。

となっています。

また、以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

「登山者への5つのお願い」は以下の動画もご参照下さい。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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