アジサイの名所を巡る鎌倉ハイキング。大仏コースで今年の状況をチェック

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アジサイの名所は各地にあります。神社仏閣や名園、公園緑地などに多く、低山に接して、手軽で短いハイキングを楽しめるところも多数。梅雨の晴れ間にサクッと楽しめるコースが豊富なのもうれしいところです。定番の鎌倉・大仏コースを歩いてきたので、ご報告を。

長谷寺眺望散策路の斜面を埋めるアジサイと経蔵を見下ろす

私としては、鎌倉といえばアジサイ、アジサイといえば鎌倉で、毎年、シーズンに複数回、出かけるほどです。アジサイの名所は北鎌倉エリアの明月院と長谷・極楽寺エリアの長谷寺が双璧ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で拝観が制限されています。

また、鎌倉のハイキングコースは昨年の台風、大雨で大きな被害を受け、いまだに大半が通行禁止となっています。開通している大仏コースを歩き、コース中のアジサイスポットの様子なども紹介します。

今回のコースは、昨秋に上梓したヤマケイ新書『東京発 半日ゆるゆる登山』の6月第4週「源氏山を越えてアジサイの古刹を結ぶ」に記したように、江ノ電極楽寺駅から長谷寺などをたずね、大仏コースへ。源氏山から北鎌倉に下って明月院をたずね、JR横須賀線北鎌倉駅へゴールする行程をとることが多いです。

正味の歩行時間は2時間ほどですが、ゆっくりアジサイを観賞したり、写真を撮ったりして、一日かけて歩いています。長谷寺、明月院ともに超人気で混みあいますが、長谷寺は6月30日まで当日限定配布の整理券で鑑賞可能。。

コース上には、ほかにもアジサイのスポットとして、成就院、御霊神社、光則寺、源氏山公園と葛原岡神社などがあります。それぞれの状況はレポート内でふれます。(取材日=2020年6月20日)

モデルコース:稲村ヶ崎駅~長谷寺~源氏山~鎌倉駅

行程:
【日帰り】稲村ヶ崎駅(40分)長谷寺(1時間)葛原岡神社(20分)源氏山(40分)計約2時間40分

標準的な歩行時間は約2時間40分で、逆コースの場合も同様です。葛原岡神社の北側、浄智寺へ下る道は通行禁止になっています。北鎌倉へ出たい場合も化粧坂を下り、亀ヶ谷坂経由などで向かうのがおすすめ。源氏山から北鎌倉駅まで40分ほどです。

 

例年に比べてアジサイ不足なので、今回は江ノ電稲村ヶ崎駅をスタートにしました。稲村ヶ崎公園にもアジサイが植えられており、海岸は小規模ながら岩礁で、江ノ島や箱根、晴れていれば富士山も望めるビュースポットです。鎌倉の海も山も楽しめることも魅力。逆コースにすれば、七里ヶ浜温泉で入浴や食事をして帰ることもできます。

海に向かって開けた稲村ヶ崎公園から江ノ島、箱根方面を眺める

稲村ヶ崎公園を出て、静かな裏道を選んで極楽寺駅へ。なお、鎌倉のハイキング、ウォーキングは住宅地を通るところも多いので、住民の迷惑にならないよう静かに歩く、むやみに写真を撮らないなどの心配りが大切です。

丸形の郵便ポストが立ち、ロケにも使われる極楽寺駅、山門前にアジサイが咲く極楽寺ともに風情あるところです。鎌倉駅側の橋の上からは、江ノ電唯一のトンネルがよく見えるので、しばらく待って、通過する電車とともに、写真に収めました。

成就院は、由比ヶ浜、材木座海岸を望む参道に咲くアジサイで知られていますが、今年はコロナウイルス感染防止と株を休ませるため大半の花が刈り取られていました。しかし、本堂前に10種類ほどのアジサイの切り花が置かれて、お寺の心遣いが感じられました。

やはり丸形ポストがある力餅家の角を曲がると御霊神社。鳥居の真ん前を江ノ電が横切り、アジサイと電車の写真を撮れることから、ここも人気スポットになっています。社殿の両側から裏にかけて、様々なアジサイが植えられて、一時、通行禁止になっていた散策路も開通していました。

人気の撮影地、御霊神社前の江ノ電とアジサイ

長谷寺の当日券は、午前と午後があり、枚数が限られています。収玄寺のアジサイを観賞した後、午後一番で長谷寺へ向かい、無事、ゲットできました。通常、拝観料は眺望散策路の入場を含めて500円ですが、今年は1000円で、差額の500円が医療用に寄付されるそうです。眺望散策路を除く拝観には制限がなく、拝観料も通常の500円です。

境内最上部の斜面に植えられた約40種類、2500株以上という、色とりどりのアジサイの花、海や鎌倉市街の眺めをゆっくり楽しんで下りてくると、もう当日券は売り切れとのことでした。

長谷寺の北側にある光則寺もアジサイの名所です。こぢんまり小規模ですが、寺の風情にふさわしく、小ぶりで地味な伝統的品種が多く、植えられたもののほかに鉢植えも並んでいます。目立たないのですが、寺務所の前に置かれた鉢植えのウサギゴケも必見。花の大きさは3mmほどですが、置かれているルーペで見ると、名前に納得のかわいい姿です。

左上から時計回りに高徳院の大仏、光則寺のウサギゴケ、大仏コースの山道、光則寺の清澄沢アジサイ

次の高徳院は、数は多くありませんが、大仏の周囲に点々とアジサイが植えられています。大仏坂トンネルの手前右手から階段を登ると大仏コースのハイキングが始まります。指導標など整備されていますが、意外に急で滑りやすいところや露岩が一部にあります。

源氏山へは尾根道で、タブノキ、イヌビワなど暖地の海岸に多い常緑広葉樹が見られるのは鎌倉ならでは。尾根上の住宅地に出ると、右手に逗子方面の海が開け、源氏山公園に入ります。三差路を左へとり、アジサイが点在する園路を進むと、突き当たりが葛原岡神社。鳥居前の広場、参道には様々なアジサイが植えられ、鎌倉のアジサイ新名所になっています。

葛原岡神社に詣でたら源氏山へ向かいますが、行きに通った園路の東側に沿う細い道にもアジサイが植えられています。源頼朝の座像ある広場から源氏山山頂に登り、少し戻って化粧坂を下ります。ひと下りで住宅地に出ますが、すぐ先の右手山側斜面にもアジサイが列植されています。土曜日で明月院は閉門、そもそも神奈川県民ではないので、パスして、横須賀線沿いの道を鎌倉駅へ向かいました。当日は夏日でしたが、海からの涼風が心地よく、登りも短いので、大汗をかくことなく、快適に歩けました。

(上)葛原岡神社参道いのアジサイ (下)化粧坂下のアジサイ

6月25日、カルチャースクールの引率で裁縫してきました。アジサイの咲き具合は全体に見ごろか、ややピーク過ぎで、例年より若干、早いかなと感じました。しかし、場所によってはツボミもあったので、今週末の27~28日はもちろん、翌週も充分に楽しめると思われます。ただし、ピークが過ぎると花が刈り取られる場合もあります。長谷寺と明月院以外の寺社は、ほぼ通常通り公開されていますが、時間の短縮、ご朱印の非対応などがあるので、確認してお出かけを。最新の情報が鎌倉観光協会のサイト(https://www.trip-kamakura.com/)にまとめられています。
 

プロフィール

石丸哲也

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師などとして活動している。
山頂に立つことだけを目的とするのでなく、山を旅する感覚で、登るプロセスや自然にふれることを大切にして山を楽しむことを心がけている。
国内では北海道の利尻山から屋久島の宮之浦岳まで全国の山を登り、海外ではペルーアンデス、ヨーロッパアルプス、北米のヨセミテ、メキシコ、カムチャツカなどの山に足あとを残す。

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