梅雨時の山岳エリアでは天候の異変や急変の前兆を見逃さずに! 島崎三歩の「山岳通信」第191号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年6月25日に配信された191号では、梅雨時の山岳エリアは天候変化が早いことを説明、天候の異変や急変の前兆を感じた場合には早めに計画を変更することを推奨している。

 

6月25日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第191号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月16日、北アルプス焼岳で、単独で入山した65歳の男性が、何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助したものの死亡が確認された。

  • 6月16日、上水内郡信濃町の御巣鷹山で、仲間と2人で山菜採りのため入山した74歳の男性が、御巣鷹林道付近で滑落する山岳遭難が発生。長野中央署及び消防が救助しましたものの死亡が確認された。

  • 6月18日、北アルプス白馬岳で、単独で入山した32歳の男性が、白馬岳を登山中に雪渓上で足を滑らせて滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリ及び大町警察署山岳遭難救助隊員、北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会白馬班救助隊員により救助された。

  • 6月20日、中央アルプス将棊頭山で、単独で入山した52歳の男性が下山中に道に迷い行動不能となるなる山岳遭難が発生。男性は翌21日に伊那警察署山岳高原パトロール隊員により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月2週は、山岳遭難の発生はありませんでした。長野県は、先週梅雨入りとなりました。雨が降ると、登山道が滑りやすくなり、転倒や滑落の危険性が増すのはもちろんですが、過去には霧などで視界が悪くなり、道迷いとなる遭難や夏でも風雨により、低体温症となる遭難が発生しています。
また、長い雨が続いた場合や局地的な豪雨になると、普段は水が流れていない場所が沢になったり、増水により橋が流されてしまう場合があります。天候は、安全な登山を計画する上で大切なチェック項目の一つです。長期的な予報を確認するだけでなく、登山中も天候の異変や急変の前兆を感じた場合には、無理な行動をせずに、計画を変更しましょう。

6月3週は、4件の山岳遭難の発生があり、うち2件はお亡くなりになっています。また、4件中3件は、単独登山者の遭難でした。新型コロナウイルス感染防止のため、日帰りによる単独登山や山菜採りを計画している方もいるかと思いますが、往復のコースタイムや技術的・体力的な難易度に、無理が生じてはいませんか。信州の山は、まだまだ残雪が多い山域もあり、軽アイゼンでは滑落のリスクが大きい箇所もあります。ご自身の技術や体力にゆとりを持った山域選びと計画を立てましょう。

なお、梅雨のシーズンですので、天候チェックは特に入念にお願いします。梅雨時の山岳エリアは天候変化が早く、予報とは異なる場合があります。登山中も天候の異変や急変の前兆を感じた場合には、早めに計画を変更しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「入山注意報」を発表しています。 6月以降、これまでの登山シーズンとの大きな違いは――

  • ①山岳における救助活動は、必要に応じて感染防止対策を講じた上で出動するため、通常より救助に向かう時間を要する。
  • ②多くの山小屋が例年より営業開始時期を遅らせているため、相談・休憩・避難・環境維持としての機能が低下する。

となっています。

また、以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

「登山者への5つのお願い」は以下の動画もご参照下さい。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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