パーティで登山する際は必ず目の届く範囲で行動を 島崎三歩の「山岳通信」第193号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年7月9日に配信された193号では、登山中に仲間とはぐれた事案があったことから、パーティでの登山のあり方について説明している。

 

7月9日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第193号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月29日、南アルプス三伏峠付近の三伏沢で、27日から渓流釣りのため入山していた77歳の男性が、下山中に疲労のため行動ができなくなる山岳遭難が発生。男性は29日に、飯田警察署山岳遭難救助隊員、飯田広域消防本部隊員及び大鹿村役場職員により救助された。

  • 6月30日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、仲間と入山していた27歳の男性が、白馬鑓温泉から下山中に同行者とはぐれて道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は大町警察署山岳遭難救助隊員及び北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会白馬班救助隊員により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月1週は、2件の山岳遭難の発生がありました。パーティで登山する際は、離れたりすることなく、必ず目の届く範囲で行動しましょう。仲間と別れて一人になることは、単独登山と変わりません。気がつけば、仲間の一人が「いない」「下山しない」「小屋に到着しない」ということになりかねないため、パーティでの登山のあり方について再考してみましょう。

梅雨が明ければ本格的な夏山登山シーズンとなるため、登山を計画中の方も多いと思いますが、登山は危険を伴うスポーツですので、事前のトレーニングは欠かせません。また、登山計画書を作成する際は、計画書の中にエスケープルート等を盛り込んでおくことも必要です。さらに、計画書の中にタイムリミットを設けることで安全で無理のない登山計画となるはずです。

 

長野県内入山注意報発表中

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「入山注意報」を発表しています。 6月以降、これまでの登山シーズンとの大きな違いは――

  • ①山岳における救助活動は、必要に応じて感染防止対策を講じた上で出動するため、通常より救助に向かう時間を要する。
  • ②多くの山小屋が例年より営業開始時期を遅らせているため、相談・休憩・避難・環境維持としての機能が低下する。

となっています。

また、以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

信州の山小屋応援プロジェクト開始!

長野県では、ふるさと納税で山小屋の支援をよびかける「信州の山小屋応援プロジェクト」を、7月1日より、ふるさとチョイス内で開始しました。本プロジェクトを利用して長野県にふるさと納税を行うと、返礼品はないものの自身の経済的な負担なしに寄付ができることになり、結果的に登山者のオアシスである山小屋を支援できることになります。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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