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五箇山の自然や、受け継がれてきた生活の知恵・文化遺産を継承していく「五箇山自然文化研究会」

日本山岳遺産基金レポート
その他 2020年08月20日

日本の山々がもつ豊かな自然・文化を次世代に継承していくために設立された「日本山岳遺産基金」。これまで日本全国の計35箇所を日本山岳遺産として認定してきた。ここでは、認定地で活動する団体をとりあげ、そのコンセプトや実際を紹介していく。今回は、富山県・大笠山で活動する「五箇山自然文化研究会」だ。

★過去記事:登山地の昨日・今日・明日と日本山岳遺産基金の役割

写真=五箇山自然文化研究会

大笠山から笈ヶ岳(右)と仙人窟岳(左)を望む。

大笠山は、標高1,822m。日本三百名山、一等三角点百名山にも選出されている。その名の通りゆったりとした山容が特徴的で、山頂南西部には千丈平と呼ばれるブナ純林の高原が広がる。山頂部は展望が利き、南に笈ヶ岳(おいずるがたけ)や白山、西は金沢平野、北は日本海、そして、東には北アルプスの山々を望むことができる好展望地である。

一方登山となると、桂湖登山口からフカバラ尾根を通る登山道は標高差が1200mあり、長く急峻。取り付きからハシゴではじまり、鎖場、細尾根と続き、慎重さを要する登山となる。尾根上には火成岩や凝灰岩が多く、天然の檜や五葉松が自生し、登山道の途中には人が入れるほどの洞(うろ)を持つ大木もある。

 

五箇山自然文化研究会

大笠山は富山県南西部の南砺市・五箇山という地域にある。隣接している岐阜県大野郡白川村の白川郷とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されている。五箇山自然文化研究会は、「五箇山の自然・受け継がれてきた生活の知恵・文化遺産についての認識を広め、その継承に努めること」を目的として1993年に設立された。

主な活動は、世界遺産菅沼合掌集落での解説活動、茅場の整備、白山国立公園桂湖での外来種除去、子どものための自然教室(星空観察会)、五箇山の信仰や歴史についての研究、そして、五箇山山岳エリアでの登山道・峠道の整備など、実に幅広い。富山県自然解説員(ナチュラリスト)や日本野鳥の会、富山県天文学会のメンバーが多数在籍し、得意分野を活かし活躍している。

伝統文化の聞き取り調査の様子。取材は映像にすることで後世へ貴重な資料として残す。

 

大笠山に水源地までの歩道を新設

大笠山での山岳環境保全活動は、環白山保護利用管理協会の正会員となり、2007年から始めた。2013年には著しく老朽化していた避難小屋を山頂近くへ移し、建て替えを行っている。

そして2020年8月、日本山岳遺産基金の助成金を活用して水源地まで約200mの歩道を新設した。

「大笠山の水場は、ガイド本でも記載されていますが止まっていることも多く、水の確保には水源地の沢まで歩く必要がありました。さらに、水源地の沢までは道らしい道はないので、慣れていないと危険です。また、新しい避難小屋は山頂付近にありますが、水場までは1時間ほど歩かなければなりません」と、団体のメンバーである城道さんは言う。

水場までの歩道を設けることで、登山者にとって利便性が向上する。また、管理者としても水場があることで作業負担軽減にもつながるのではないかと考えた。登山道からはずれる水場へは、道迷いを防ぐための目印として「五箇山和紙」で作ったピンクリボンが木にくくりつけられた。

作業には8名の有志が集まった。ピンクリボンには日本山岳遺産基金のマークも印刷された。

今秋には、大笠山が日本山岳遺産に認定されたことを記念した「記念登山」のイベントも予定している。五箇山自然文化研究会は、安全登山の啓発を行うと共に、大笠山の魅力をより多くの方に広める活動を続けていく。

※新型コロナウイルス感染予防対策の関係で、イベントの中止や日時変更の場合があります。最新情報は、五箇山自然文化研究会のFacebookをご確認ください。

★日本山岳遺産認定地 詳細:大笠山[ 富山県 ]五箇山自然文化研究会(2019年)

2020年度 日本山岳遺産基金認定地募集中! みなさまの活動を支援します

日本山岳遺産基金では、2020年度の日本山岳遺産の候補地と支援団体を募集しています。認定された支援団体には、活動費を助成します。2020年6月現在、全国35の山岳エリアを「日本山岳遺産」として認定し、合計1776万円を助成しています。

支援団体の条件

  • 法人格を有する団体。または、同程度に社会的な信頼を得ている任意団体。
  • 山岳環境保全などの活動を、特定の山岳エリアで3年以上行っている団体。
  • 支援対象事業の実施状況、予算、決算などの財政状況について、当基金の求めに応じ適正な報告ができる団体

助成対象となる活動費の主な用途

  • 資材・物品の購入など。またはこれらの修繕などの経費。
  • 旅費・交通費、宿泊費、食費、通信連絡費、現地事務所の光熱費等の経費。
  • 資料の翻訳、印刷、出版等に係る経費。

助成金総額 250万円(予定) 申請締切日 2020年8月31日 ※消印有効

詳細は日本山岳遺産基金のウェブサイトをご覧ください。
https://sangakuisan.yamakei.co.jp/isan-kikin/entry.html

 

日本の山
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