カンタンだけど奥深い! よくわかるタイムラプス講座

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まだまだあまり知られていないタイムラプス。ここでは撮影のテクニックではなく、タイムラプスを理解するための基本知識を紹介します。

文・写真=成澤広幸(星空写真家、タイムラプスクリエイター)

まずは動画を見てみよう!

 

 

タイムラプスって写真なの?動画なの?

「タイムラプス」はパラパラ漫画のようなコマ送り動画と同じで、もともとの素材は写真だが、それらを動画として表現する方法だ。

1秒間につき30枚ほどの写真を使用するのが一般的で、たとえば10秒のタイムラプス動画を作りたい場合、30枚×10秒=300枚の写真が必要になる。ビデオカメラではデータ量が膨大になる数時間の記録も、写真であれば間隔を空けて一枚一枚を効率よく撮影できる。

また、単なる動画よりも「時間の経過による景色の変化」を印象的に表現可能だ。近年は映画やアニメでもこの手法が用いられ、以前より注目される表現方法となった。

1~6のような連続する多数の静止画をつなぎ合わせて、「時間の経過」そのものを表現する手法がタイムラプス。7は静止画で時間経過を表現しているが、これを動画に置き換えるイメージだ。

 

どうやって撮影しているの?

普段から趣味でカメラを楽しんでいる人なら、タイムラプスの撮影は実は簡単だ。インターバル撮影ができれば、カメラはなんでもいい。

また、星空の撮影は難しい印象があるかもしれないが、タイムラプスのなかでは最も手軽であるように思う。なぜなら、星空撮影は昼間の撮影のように明るさに大きな変化がないためだ。シャッタースピードなどの設定が済んだら、あとはただ時間が流れるのを待つのみ。その間は星空を眺めたり、カメラを放置して朝まで寝たりと、自分の好きなように時間を使える。動画にするのは自宅に帰ってから。

編集方法についてはここでは省くが、撮影自体はとてもシンプルだ。

撮影の設定さえ済めば、撮影が終わるまでの時間の使い方は自由。ファインダーをのぞき続ける必要もないので、星空を楽しみながら撮影できる。


特別な道具がいろいろ必要でしょ

タイムラプスの撮影に最低限必要なのはカメラと三脚のみ。しかし、カメラと三脚のみで撮影した素材をつなぎ合わせて作った動画は、どうしても単調な作品になってしまう。美しい景色をより美しい動画として表現するためには、カメラの台数を増やしたり、専用機材を導入したりといった工夫が必要だ。機材は増えるが、表現の幅が広がるので楽しい悩みでもある。

また、以前は機材を持ち運ぶのにも苦労したが、近年は小型化が進み、軽量・コンパクトな機材が増えた。写真のような機材を使えば、登山でも苦にならず、ワンステップ上のタイムラプス撮影を楽しめる。

MIOPS/Capsule360

スマートフォンの専用アプリと接続すれば、自動で回転や撮影を行なってくれるので手軽に動きのある撮影が楽しめる。●価格=3万5000円+税 重量=340g 問:ノビテック

MIOPS/Capsule360用スライダー50㎝

Capsule360と同じアプリを使用し、特定の間隔で写真を撮りつつレール上でカメラを左から右に動かしてくれる。●価格=4万7250円+税 重量=1450g 問:ノビテック

 

どんな場所が撮影におすすめ? 注意することは?

星空が目的なら、上部が開けた場所ならどこでも適している。山並みを入れて雲海も撮影したいなら稜線に山小屋やテント場がある場所がいい。ただし、山の向こうに都市がある場合、光害で星空が撮れないことがある。

そのほかの注意事項は私の体験だが、熱帯夜の撮影ではカメラのレンズに虫がついて、もさもさと動くタイムラプスになった。また、風景写真を撮る感覚で縦構図で撮影したら、タイムラプスでは両側が真っ黒になってしまった。カメラストラップをつけたまま撮影し、タヌキがストラップを引っ張って三脚が倒れ、カメラを壊してしまったこともある。

【失敗例①】真っ暗な空を求めて山に登ったが、光害で星が撮影できなかった

【失敗例②】レンズに虫がつくと残念な動画になる

【失敗例③】タイムラプスでは縦構図ができないので注意

 

タイムラプス動画をもっと見てみよう

成澤広幸HP:www.hiroyukinarisawaphotography.com/timelapse
Youtubeチャンネル:Hiroyuki Narisawa Timelapse Film​

山と溪谷2020年9月号より転載)

プロフィール

成澤広幸

星空写真家。タイムラプスクリエイター。スタジオ、天体望遠鏡メーカー勤務を経て独立。全国のカメラ専門店・量販店で実施した星空撮影セミナーを基に『成澤広幸の星空撮影塾』(双葉社)を2018年に刊行。 https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/

From 山と溪谷編集部

発刊から約90年、1000号を超える月刊誌『山と溪谷』。編集部から、月刊山と溪谷の紹介をはじめ、様々な情報を読者の皆さんにお送りいたします。

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