現れたら改元!? 虹色に輝く伝説の雲「彩雲」

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『ときめく雲図鑑』より、雲や空が私たちに教えてくれる様々なことを紹介する、気象予報士菊池真以さんによる連載。第3回は過去に改元のきっかけとなった伝説(?)の虹色の雲を紹介します。

白ではなく虹色に色づく雲を見たことがありますか? 一度は見つけたことがあるかもしれません。「綺麗な雲を見つけた!」「良いことがありそう」とSNSにアップされているのも時々見かけます。日本には多くの雲の伝説やことわざが残っていますが、そのなかでもこの雲には歴史に影響を与えたと思われる伝説が数多く残っています。

 

改元のきっかけとなった雲

飛鳥時代、宮中から虹色に色づく雲が見えたとして、西暦704年6月に「慶雲」と元号が改められました。また奈良時代の767年には、各地で多彩に輝く雲が報告されたことから「神護景雲」と改元されました。日本各地で発見され、歴史に名を残した虹色の雲とはなんなのでしょうか。

虹色の雲は、現れると縁起の良い兆しとして長く愛されてきました。

 

正体は彩雲

彩雲は雲が色づいて見える現象で、「慶雲」「景雲」「瑞雲」とも呼ばれます。写真のように複数の色が見られる場合もあれば、1〜2色の場合もあります。太陽もしくは月の光が雲の粒と粒の間を通る時、回折*によって曲がった光が干渉し合うことで、雲に色がついたように見えます。
*回折…波が障害物の隙間を通るときに曲がり、後ろ側に回り込んで伝わる現象。

雲が動くと色合いが次々と変わっていきます。

 

実はよく出合える現象! 彩雲の見つけ方

彩雲は、特にうろこ雲やひつじ雲にできることが多く、そういった雲を見つけたら雲が太陽や月の近くを通るのを待つのがおすすめです。太陽を直視すると目を痛めてしまうので、太陽は手や本などで隠して観察してみてください。彩雲は、よく空を眺めていれば時々出合うことができます。

月の彩雲です。夜は昼の彩雲よりも幻想的で、別の美しさがあります。

 

(本記事は『ときめく雲図鑑』からの抜粋です)

 

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全ての雲には名前がある? もっとも身近な自然である雲を、気象予報士の菊池真以さんが解説しました。基本となる10種類の雲「きほんの10種」、ほか「かわいい雲」「きれいな雲」「ふしぎな雲」「すごい雲」「めずらしい雲」、雲と光が作るコラボレーション「光×雲」など、充実した種類の雲を美しい写真とともに紹介。見上げれば必ず目にする雲たちの名前を知ることで、毎日が少しだけ楽しくなるはずです。


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著者:菊池真以
発売日:2020年8月3日
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【著者略歴】
菊池真以(きくち・まい)
気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

プロフィール

菊池真以

気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

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長い梅雨が明け、いよいよ夏本番。晴れた空にゆったりと浮かぶ雲たちは、私たちに様々なことを教えてくれます。雲や空からわかることを、気象予報士の菊池真以さんが発売中の『ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)から紹介する連載です。

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