見られたらラッキー! まれにしか現れない珍しい雲や現象

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『ときめく雲図鑑』より、雲や空が私たちに教えてくれる様々なことを紹介する、気象予報士菊池真以さんによる連載。第5回はなかなか見ることができない、レアな雲や現象を紹介します。

毎日のように空を見上げていると、今までに見たことのない雲や現象に出合うことがあります。あれ?もしかしたら◯◯雲かもしれない! そんなときは、夢中でカメラのシャッターを押します。今日がレアな雲や現象に出合える日かもしれない、そう思って空を眺めるだけで、ワクワクしてきませんか。今回は見つけられると嬉しくなるような、めずらしい雲たちを紹介します。

 

突然現れる不思議な隙間 【穴あき雲】

空全体に雲が広がっているとき、一部分にぽっかりと穴が開いた状態を穴あき雲と呼びます。雲の水の粒が、そこだけ氷の粒に変わる時だけに見られる珍しい現象で、この写真は何年も空を狙ってようやく撮れた写真です。大規模な穴あき雲が出現するのはまれです。

よく見ると、中にはすじ雲が出ていることが多いです。

 

強大なパワーがみなぎる 【ベール雲】

白い大きな布が覆いかぶさっているような雲を、ベール雲と呼びます。頭巾雲の頭巾の部分が横に大きく広がったり、いくつかの雲がつながったりしてベール雲になることが多く、主に入道雲のてっぺんにできます。

残暑厳しい日に。夕日に染まったベール雲が見えました。

 

危険な雲に豹変することも 【漏斗雲】

黒い雲の底にひょろひょろとしっぽのような雲が見えたら、漏斗雲かもしれません。漏斗雲は通常すぐに消えてしまうことが多く、滅多に見られませんが、実はこの垂れ下がった雲は渦を巻いていて、地面まで到達すると「竜巻」になる怖い雲なのです。

台風が近づき、大気はとても不安定な状態でした。十分な注意が必要です。

 

空高くに虹? 【環天頂アーク】

環天頂アークは虹を逆さまにしたように見える光の現象で、「逆さ虹」の別名をもちます。頻繁に空を見上げていないと出合えない現象で、氷の粒でできたすじ雲などに光が屈折してできます。空の上のほうにできるので、太陽高度が低い朝や夕方が観察のチャンスです。

空の上のほうにできるので、太陽高度が低い朝や夕方が観察のチャンス。

 

(本記事は『ときめく雲図鑑』からの抜粋です)

 

『ときめく雲図鑑』発売中

全ての雲には名前がある? もっとも身近な自然である雲を、気象予報士の菊池真以さんが解説しました。基本となる10種類の雲「きほんの10種」、ほか「かわいい雲」「きれいな雲」「ふしぎな雲」「すごい雲」「めずらしい雲」、雲と光が作るコラボレーション「光×雲」など、充実した種類の雲を美しい写真とともに紹介。見上げれば必ず目にする雲たちの名前を知ることで、毎日が少しだけ楽しくなるはずです。


『ときめく雲図鑑』
著者:菊池真以
発売日:2020年8月3日
価格:本体価格1600円(税別)
仕様:A5判128ページ

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【著者略歴】
菊池真以(きくち・まい)
気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

プロフィール

菊池真以

気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

知っていると毎日が少しだけ楽しくなる雲と空の話 From『ときめく雲図鑑』

長い梅雨が明け、いよいよ夏本番。晴れた空にゆったりと浮かぶ雲たちは、私たちに様々なことを教えてくれます。雲や空からわかることを、気象予報士の菊池真以さんが発売中の『ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)から紹介する連載です。

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