下山メシのよろこび、初関西！すばらしい展望＆カレーライスを六甲山「摩耶ビューテラス702」で

下山後に味わいたい粋なごはんを紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシのよろこび」。今回は、関西の山「六甲山」へ遠征だ。山旅らしく、あまり登山に時間をかけ過ぎず、素晴らしい景色とおいしいご飯をいただく。

関西の山に登ってみたい。思い立って六甲山に向かった。

関西の山と言って真っ先に思いつくのが六甲山。兵庫県神戸市の須磨区から宝塚市に連なる、全長56kmの山系だ。昔も今も多くの登山者に愛されている山で、ハイキングコースもたくさんある。どこを歩こうかと考えて、短時間で山頂に立てて、すばらしい眺めが楽しめそうな摩耶山を目指すことにした。

阪急電車に乗って王子公園駅からてくてく歩く。住宅街を進み、登山口に進むといきなり街から山へ景色が変わった。コンクリート舗装の道から古い石段の残る道へ。それほど標高は高くないし歩く時間も短いと思っていたが、なかなかの登りに汗をかく。

樹林に囲まれて見晴らしがいまひとつの摩耶山山頂を過ぎ、掬星台（きくせいだい）へ。広々とした山頂は多くの人で賑わっていた。ロープウェイがあり、すぐそばまでバスも走っているので、観光客の姿も多い。掬星台の展望デッキからは、神戸港から大阪湾、すばらしい海の眺めが広がっていた。海の向こうにうっすら見えているのは四国や紀州の山々らしい。

頑張って歩いて思ったより早くたどりつけたので、ロープウェイ山頂駅に併設のカフェで一息つくことにした。赤い鉄階段を登っていくと、店の入口にテラス席が。登山をしてきたとおぼしき人たちが食事をしながらくつろいでいる。バーベキューをしているグループもいて、煙とともに肉の焼けるいい匂いが漂う。うらやましいが、ひとりでバーベキューはさすがに無理だ。

店内は落ち着いた雰囲気。奥にある本棚がちょっとおしゃれな感じ。ソファの席や、海を望むカウンター席が心地よさそうだ。運良く窓際の席に座ることができた。

一番人気とメニューに書いてあったカレーライスをオーダーした。周りを見渡すと、たしかにカレーを食べている人が多いみたいだ。そして他の人が飲んでいるビールが妙に美味しそうに見える。でも今日はこのあと登山道を歩いて下らなくてはならないので、ノンアルコールビールにする。

待つことしばし、カレーライス登場。

思ったより小ぶりのお皿に、品よく盛りつけられている。10種類のスパイスとココナッツミルクを加えてじっくり煮込んだ、とメニューにある。さっそく一口。ココナッツミルクが効いているのか、まろやかな味わいで、食べているうちにじわじわーっと辛さがやってくる。スパイスの風味はあるけれど主張しすぎない感じが、個人的には好ましい。登山で疲れていてもすんなりと食べられる味と量だな。口にするとほろほろっとほどけるチキンもいい感じ。

カレーを食べながら、ノンアルコールビールを一口。

…ああ、ビールとカレーは合うんだな。カレーを混ぜたご飯はピリリと辛くて味わい深くて、ビールのおつまみとしても優秀だ。どんどん飲めてしまって、気付けば缶がからっぽになっていた。天気がよくて、窓からさんさんと光が降り注いで気持ちがいい。居心地のいい空間で、美味しいものを食べられるって本当に幸せだ。

…幸せ過ぎて、やっぱりビールが飲みたくなった。今日はロープウェイとケーブルカーで下山しよう。

「すいません、ビールください！」