県内の標高の高い山は積雪のある場所も。冬山の登山装備の準備を 島崎三歩の「山岳通信」第204号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年10月22日に配信された第204号では、標高の高い山では積雪となっていることに言及。冬用の登山装備と低体温症の危険性について説明している。

 

10月22日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第204号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月13日、上田市武石上本入の山林内で、仲間と2人できのこ採りのために入山した79歳の男性が、入山後に連絡が取れなくなる事象が発生。親族らが捜索したところ、山林内で倒れている男性を発見したものの、死亡が確認された。

  • 10月14日、北安曇郡小谷村の雨飾山で、仲間と2人で入山した72歳の女性が、雨飾山登山口へ向けて下山中に転倒して腹部を打って行動ができなくなる山岳遭難が発生。女性は大町警察署山岳遭難救助隊員により救助された。

  • 10月14 日、下伊那郡阿南町西条の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した54歳の男性が、きのこ採り最中に滑落。死亡が確認された。

  • 10月15日、中央アルプス千畳敷カール内で、仲間と2人で入山した75歳の女性が、千畳敷カール内の遊歩道を散策中につまずいて転倒し、負傷する山岳遭難が発生。女性は駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊員などにより救助された。

  • 10月15日、八ヶ岳連峰の南沢で、単独で入山した36歳の男性が、南沢を美濃戸登山口へ向けて下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は茅野警察署山岳遭難救助隊員により救助された。

  • 10月17日、北アルプスの横通岳、2人で入山した60歳の男性と58歳の女性が、常念岳から大天井岳へ向けて縦走中に天候不良のため道に迷い、行動ができなくなる山岳遭難が発生。2人は北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月3週は7件の遭難が発生しました。標高の高い山では積雪があり、冬用の登山装備が必要です。この時期は、汗をかいたまま行動し続けるとすぐに体の体温が奪われ、低体温症になる危険性があります。特に稜線上を行動する場合は、天候、目的地までの時間や体力を考えて行動するとともに防寒着を着用してください。

また、先週はきのこ採り中に3名の方が亡くなっています。きのこ採りは登山道等のない藪や斜面に分け入って行うため、道迷いや滑落の危険性が非常に高くなります。きのこ採りに入山する際は、以下の点に注意をしてください。

  • 入山場所と予定を家族等に伝えておく 
  • 携帯電話、雨具、ヘッドライト、非常食などを携行する 
  • 単独での入山は控える 
  • 急斜面などの危険箇所には入り込まない 
  • 熊などの野生動物に注意する 
  • 体調を万全にして入山する 

なお、県内では熊の目撃や負傷事案が発生しています。行動中は鈴やラジオなどを携行し、テント場では、食料やゴミなどを外に放置することのないようにしましょう。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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