一般登山道上での行動こそ安全登山に「全集中」をしていきましょう 島崎三歩の「山岳通信」第206号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年11月12日に配信された第206号では、滑落や転倒の多くは危険箇所ではなく一般登山道上で発生していることを指摘し、安全登山にも「全集中」をしていきましょう、と述べている。

 

11月12日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第206号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月3日、北アルプスの槍ヶ岳で、単独で槍ヶ岳へと入山予定だった36歳の男性が下山しないことから、翌4日早朝から県警ヘリで救助している。

  • 11月7日、戸隠連峰の戸隠山で、4人パーティで入山した59歳の男性が戸隠山山頂から下山中に岩場で足を滑らせて滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 11月8日、上田市の独鈷山で、4人パーティで入山した54歳の男性が独鈷山山頂から下山中にバランスを崩して滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

上田市独鈷山の遭難現場の状況/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)11月9日付
 
  • 11月8日、北アルプスの蝶ヶ岳で、3人パーティで入山した87歳の男性が三股登山口からきのこ採りのため入山中に仲間とはぐれ、道に迷う山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月5週は0件、11月1週は4件の山岳遭難の発生がありました。長野県では、多くの山域で紅葉の見頃を迎えていますが、標高の高い山域から徐々に着雪が確認されるようになり、冷え込みが日増しに厳しくなっているほか、日没も早くなっています。

滑落や転倒の多くは、いわゆる危険箇所ではなく、一般登山道上で発生しています。浮石によるバランス崩し、砂利でのスリップ、岩や木の根でのつまずきなどが直接的な要因です。下山するまで気を抜くことなく、慎重に行動をすることが大切です。せっかくの登山や紅葉狩りも、ケガをしてしまえば台無しになってしまいます。美しい紅葉を楽しみながら、安全登山にも「全集中」をしていきましょう。

県内では、熊の目撃や負傷事案が発生しています。行動中は鈴やラジオなどを携行し、テント場では、食料やゴミなどを外に放置することのないようにしましょう。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

長野県山岳高原観光課では、登山の安全対策に役立てるために、今年の7月~10月に長野県内の山域で登山をされた方を対象に、登山と登山計画書についてのアンケートを行っています。

アンケート内容は、対象の山行での登山計画書の届出状況や届出方法、また、登山情報収集方法などについてで、山行ごとに、複数回の回答が可能となっています。

アンケートの調査結果は、長野県および株式会社山と溪谷社で集計・分析し、今後の活動の資料といたしますので、ぜひご協力をお願いします。

なお、回答者の中から抽選で10名に、人気の登山用品のプレゼントもあります。

アンケートに回答

※アンケート締切:12月11日(金)正午まで

 

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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