日本三大松原「虹ノ松原」を見下ろす大絶景! 佐賀県・鏡山

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佐賀県・唐津市にある鏡山。悲恋伝説が残る山は、今では日本三大松原と唐津湾の絶景が愛され、四季を通してにぎやかな山です。

鏡山全景

 

鏡山は、佐賀県北部の唐津市にあります。笠の形をした山容は古代より神の山として崇拝され、神功皇后が出兵の際、山頂に鏡を祀ったことが山名の由来だと言われています。

また、日本三大悲恋物語の一つ「松浦佐用姫」伝説の地でもあります。
佐用姫は、朝廷の命で朝鮮半島へ向かう武将・大伴狭手彦と恋に落ち、出陣の日鏡山の上から大伴狭手彦が乗る軍船に纏っている領巾を振って別れを惜しんだことから、領巾振山(ひれふりやま)とも呼ばれています。

鏡山展望台からは、日本三大松原の一つ「虹ノ松原」を眼下す絶景が広がり、白砂青松の清らかな自然と雄大な景色を満喫できます。
下山は、海岸線まで続いているように思える1278段の虹の階段を下る周遊コースを紹介します。

 

モデルコース:虹ノ松原駅~古代の森会館~鏡山展望台~虹の階段~虹の松原駅

コースタイム:虹ノ松原駅(10分)赤水交差点(20分)古代の森会館(10分)登山口(50分)鏡山展望台(20分)ひれふり展望台(40分)虹の階段登り口(20分)赤水交差点(10分)虹の松原駅 計約3時間

⇒鏡山周辺の地図を見る

鏡山は山頂まで車道が通じているために、サクラやツツジ、紅葉のシーズンは観光客で賑わいます。
JR利用であれば虹ノ松原駅から登山口まで徒歩約40分。マイカーなら県道40号線沿いの古代の森会館か武道館の駐車場が利用できます。
古代の森会館前の交差点を東へ(左折)進み、次の三差路を南へ(右折)進むと畑の先に登山口があります。
舗装された道をジグザグに登っていくと、朝早くから登られた地元の人たちと何人もすれ違います。
道の途中には、鏡商工振興会が設置した登山口と山頂までの距離を示す案内があります。ここでも地元に愛されている山なのだと頷きました。
サクラ並木に変わり傾斜がゆるんでくると、一際大きく枝を伸ばした「さよひめ桜」があります。
道が右へ鋭角に曲がった先で階段に変わります。この付近は12月下旬になるとスイセンの花がきれいな道です。

急な階段脇に植えられた水仙の花

左に松浦川や唐津湾の展望の良い場所がありそこを過ぎると、子車稲荷大神の赤い鳥居が見えてきて、すぐに芝生広場にでます。ぱっと視界がひらけ開放感を感じる所で、春には満開の桜が迎えてくれます。まずは左へ進んで鏡山展望台へ行きます。

芝生広場に出て鏡山展望台へ向かうと春には満開の桜が迎えてくれる

展望台の前には、玄海国定公園・鏡山の石のモニュメント、松浦佐用姫像、佐用姫が領巾を振った場所にあった「領巾振松」の跡には、昭和36年に和歌を詠まれた昭和天皇陛下歌碑があます。

昭和天皇陛下歌碑。松浦佐用姫が領巾をふった場所に建つ

鏡山展望台は、山と海岸線との距離が短く海を近くに感じ、眼下には白砂青松の虹ノ松原が広がっています。景色を眺めながら次第に遠ざかる軍船に領巾を振った佐用姫に思いを馳せるのもいいですね。

鏡山展望台からの眺望を楽しもう。近くには、松浦佐用姫像や玄海国定公園 鏡山の石碑がある

虹の松原の西側に見える唐津城は、城を中心に海岸線が羽を広げたように見えることから「舞鶴城」とも呼ばれ海に浮かぶ島々と相まって日本的で雄大な、絵画のような景色を見ることができます。

鶴が羽を広げたように見える唐津城

園内にかかる佐用姫橋を渡り、鏡山神社の東側の園路をひれふり展望台へ向かいましょう。

鏡山神社は神功皇后が戦勝祈願したことにより創建されたと伝えられる

三角点は、社殿の裏になる園路から少し外れた植林の中にあります。
ひれふり展望台は、観光客が少なく静かで休憩舎もあり、ゆっくり景色を楽しむ登山者が多くみられます。先程の鏡山展望台とは、違った角度からの景色が楽しめます。

ひれふり展望台

下山は来た道を少し戻って、右へ曲がって1278段の虹の階段を下ります。随所で海の展望が開けサザンカやツバキが植えられベンチでは野鳥のさえずりも聞こえてきます。

海へ向かって下りていくような虹の階段

虹の階段登り口まで下りたら車道を左へ進み赤水交差点まで戻ります。途中のY字路を左へ行くと神功皇后が船をつないだという「船繋石」や佐用姫ゆかりの閼伽水観音があり、立ち寄ってみてはいかがでしょう。

 

プロフィール

池田浩伸

佐賀県佐賀市在住。8年間NPOで登山ガイドや登山教室講師を務めた後、2019年くじゅうネイチャーガイドクラブに所属し、阿蘇くじゅう国立公園をメインに登山ガイドや自然保護活動を行なう。著書に『九州百名山地図帳』『分県ガイド 佐賀県の山』(山と溪谷社・共著)がある。

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