丹沢山系、蛭ヶ岳からダイヤモンド富士を鑑賞

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都市近郊人気の山に神奈川県の屋根、丹沢山系があります。この山系の最高峰、蛭ヶ岳は神奈川県の最高峰でもあります。山頂までのアプローチが長いものの、山頂の蛭ヶ岳山荘が通年営業をしていることもあり、年間を通じて登山者で賑っています。2月にダイヤモンド富士を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

2月9日、檜洞丸を隔てて富士山山頂に沈むダイヤモンド富士の鑑賞。前日は山頂の左隅、翌日は右隅へ沈む

 

蛭ヶ岳は山頂からの展望に優れており、相模平野を眼下に相模湾が広がり、さらには箱根連山、西丹沢の主峰・檜洞丸を隔てて富士山や遠く南アルプスまで望めます。春の芽吹きから初夏のツツジの頃、秋の紅葉期から晩秋にかけてこの山は各コースからの登山者で賑います。

塔ノ岳からのルート、蛭ヶ岳手前の鬼ヶ岩から奥に檜洞丸から富士山を添えて丹沢主峰の蛭ヶ岳がそびえる

 

さらに、例年11月2日と2月9日頃には山頂からダイヤモンド富士が鑑賞できます。特に2月の檜洞丸を前景に白銀の富士山山頂へ沈むダイヤモンド富士は圧巻です。

山頂までは主に西丹沢、檜洞丸ルート、丹沢主脈の塔ノ岳、丹沢山からのルートと、神奈川県北部、相模原市緑区青根地区からのコースがあります。今回は、マイカー登山におすすめの青根ルートを紹介します。

通年営業の蛭ヶ岳山荘が頂上に建つ。宿泊後、焼山や檜洞丸へ縦走する中継地となる

 

モデルコース:釜立沢コース登山口~蛭ヶ岳(往復)

行程:
【1日目】神ノ川林道ゲート・・・八丁坂ノ頭分岐・・・ゲート・・・青根分岐/黍殻山避難小屋・・・八丁坂ノ頭・・・姫次・・・地蔵平・・・蛭ヶ岳(泊/約5時間)
【2日目】蛭ヶ岳・・・地蔵平・・・姫次・・・八丁坂ノ頭・・・青根分岐/黍殻山避難小屋・・・ゲート・・・八丁坂ノ頭分岐・・・神ノ川林道ゲート(約4時間)

⇒蛭ヶ岳周辺の登山地図を見る

国道413号線から青根地区に入り、神社、消防署、旧青根中学校横を通過して、神ノ川ヒュッテへ向かう道を左折して林道に入ります。小沢を渡るとゲートがあり、右い狭い駐車スペースがあります。ゲートを通過してしばらく登り、八丁坂ノ頭登山口を通過します。10数分後、東海自然歩道でもある釜立沢コース登山口に着き、ゲートを越えて作業用モノレール車庫前から登山開始です。

カラマツ林に囲まれた姫次に着くと、左手にこれから登る蛭ヶ岳が樹林帯越しに望まれる

 

堰堤を越え、急登後、ベンチで小休止。ジグザグの登りを繰り返すと焼山からの主脈コースと合流します。途中、八丁坂ノ頭を右に分けて緩やかな尾根を登っていくと、檜洞丸と大室山の背後に富士山が望まれる姫次に到着します。一段下り、原小屋平へ向かいます。広葉樹林帯の地蔵平から北丹沢の奥深さを味わうことでしょう。両脇の鹿除けフェンスを目印に雪原を進みます。

蛭ヶ岳山頂から相模湾側に丹沢主脈の塔ノ岳、丹沢山、鬼ヶ岩が一望となる

 

随所に階段が設けられて登山道は整備されています。最初の長い階段を登り切ると、登ってきた姫次から檜洞丸、大室山、富士山と展望が開けてきます。ベンチが置かれた台地から見上げる蛭ヶ岳山頂へは急階段を詰めます。山頂には蛭ヶ岳山荘が建ち、ベンチが置かれ360度の展望が待っています。(取材日=2018年2月9日)

蛭ヶ岳山頂から相模平野の夜景と翌朝のご来光が眺められる。蛭ヶ岳の売りの一つ

 

※積雪期の山は、雪の状態や天候によって、難易度、コースタイムが大きく変わります。計画時には必ず出発前後の天候やエスケープルート、山小屋などの避難できる場所を確認しておきましょう。

プロフィール

白井源三

神奈川県相模原市生まれ。1989年ヒンドゥークシュ登山隊に参加、ゴッラゾム5100mに登頂。2005~2007年に南米取材。アコンカグアBCとインカ道をトレッキング。著書に『戸隠逍遙』(クレオ刊)、『北丹沢讃歌』(耕出版刊)、『冬の近郊低山案内』(山と溪谷社・共著)、『分県登山ガイド 神奈川県の山』(山と溪谷社・共著)など。丹沢の写真展を多数開催。

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